海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
食卓を囲んでいると、誰かの過去の失敗が思いがけず話題に上り、和やかな空気が一気ににぎやかになるような場面があります。
そんな場面にぴったりの「take a chance」を、『モダンファミリー』シーズン1第3話の後半、模型飛行機の事故でけがをしたフィルの経緯をジェイが説明し、家族から昔の失敗を蒸し返されるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「take a chance」の意味とニュアンス
take a chance
意味:思い切ってやってみる、リスクを承知でやってみる
chanceには「機会」のほかに「賭け・リスク」というニュアンスもあり、take a chanceは結果がどうなるかわからないまま、あえて行動に出るという意味で使われます。前置詞onを伴い、take a chance on something/someoneの形で「(物事や人に)賭けてみる」という使い方も一般的です。
似た表現にtake a riskがありますが、take a chanceが結果への期待も含んだ前向きなニュアンスを持つのに対し、take a riskは危険性そのものを強調するニュアンスが強くなります。どちらも決断を語る場面で使われる表現ですが、聞き手が受け取る印象は少し異なります。
また、chanceという単語には「偶然」という意味も含まれており、take a chanceには自分の力だけでは結果をコントロールしきれない、という含みも隠れています。だからこそ、行動に踏み切ること自体に勇気や決断力が必要な場面で選ばれる表現になっています。結果を保証されない中で一歩を踏み出す、その姿勢そのものに価値が置かれた表現だと言えます。
【ここがポイント!】
- 「take a chance」の核は、結果が読めないまま思い切って行動に出るイメージ
- take a riskとの違いは、危険性より結果への期待に重心があること
- 新しい挑戦や決断を語る場面で前向きな響きを添えられる表現
『モダンファミリー』S01E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
模型飛行機の事故でけがをしたフィルが家に運ばれてくると、ジェイが経緯を淡々と説明する場面です。すかさずクレアが父の過去の失敗を持ち出し、同席していたマニーが思わず口を挟みます。
Jay: I didn’t ask him to be there. He insisted. He took a chance. This is what happened.
(俺があそこにいてくれと頼んだわけじゃない。あいつが自分から言い張ったんだ。あいつは思い切ってやってみたんだ。それでこうなった。)Claire: Kind of like the time you ran over his foot?
(昔パパがフィルの足を車で轢いた時みたいに?)Manny: You ran over his foot?
(彼の足を轢いたんですか?)Jay: That was an accident.
(あれは事故だ。)Claire: You know, dad, you did it on purpose.
(パパ、正直言ってあれはわざとでしょ。)Modern Family Season1 Episode3 (Come Fly with Me)
シーン解説と心理考察
模型飛行機の事故でけがをしたフィルが運ばれてくると、ジェイは「俺があそこにいてくれと頼んだわけじゃない。あいつが自分から言い張ったんだ。あいつは思い切ってやってみたんだ。それでこうなった」と、責任は自分にないと弁明します。事故の経緯を淡々と説明する口調から、ジェイが自分の非を素直に認めたがらない保守的な性格が表れています。
すかさずクレアが「昔パパがフィルの足を車で轢いた時みたいに?」と過去の“前科”を持ち出すと、居合わせたマニーが「彼の足を轢いたんですか?」と丁寧な口調で驚きを見せます。ジェイは「あれは事故だ」と短く言い訳しますが、クレアに「パパ、正直言ってあれはわざとでしょ」と畳みかけられてしまいます。娘であるクレアが遠慮なくジェイの過去の失敗をあげつらう掛け合いから、この家族特有の遠慮のない距離感がにじむ場面です。年長者であるジェイに対しても物おじせずに切り返すクレアの態度からは、この家庭での父娘の力関係も垣間見えます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
目の前にある「機会(chance)」という賭けのカードを、結果がわからないまま思い切って「取る(take)」イメージを思い浮かべると覚えやすい表現です。成功するか失敗するかわからないカードを手に取る様子が、「思い切ってやってみる」という意味につながります。
フィルが模型飛行機のテスト飛行に自分から名乗り出た経緯も、まさに結果を確かめないまま行動に出たtake a chanceの一場面でした。踏み出すかどうか迷う時、このカードのイメージを思い出しておくと役立ちます。
例文で覚える「take a chance」
結果が読めないまま思い切って行動する場面で使えるtake a chanceを、3つの例文で確認していきましょう。
I decided to take a chance and apply for the job even though I wasn’t fully qualified.
(資格が十分ではなかったが、思い切ってその仕事に応募することにした。)
転職や新しい挑戦を語るビジネスの場面です。even thoughで条件が整っていなかったことを添えると、決断の思い切りの良さがより伝わります。
Sometimes you just have to take a chance on love.
(時には恋愛にも思い切って賭けてみないといけない。)
恋愛の決断について話すカジュアルな場面です。on loveのようにonの後に対象を置く形も、あわせて覚えておきたい使い方です。
A: Are you sure about this investment?
B: Not really, but I’m willing to take a chance.
(A:この投資、本当に大丈夫?)
(B:正直わからないけど、思い切ってやってみるつもりだよ。)
投資や決断のリスクについて話す場面での会話です。be willing toと組み合わせることで、覚悟を決めた様子が伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
take a risk
(リスクを取る)
take a chanceは結果への期待も含む前向きなニュアンスがあるのに対し、take a riskは危険性そのものを強調するニュアンスが強くなります。
give it a shot
(とりあえずやってみる)
take a chanceはリスクを承知の上での決断を表しますが、give it a shotは結果の重大さに関わらず気軽に「試してみる」ニュアンスが強い表現です。
go out on a limb
(危険を承知で行動する、あえて弱い立場に身を置く)
take a chanceは結果が不確実な行動全般を指しますが、go out on a limbは周囲の反対や批判を覚悟の上で自分の意見や行動を貫くニュアンスが強くなります。
Note|日常の決断からビジネスの意思決定まで広がるtake a chance
take a chanceは、友人同士のカジュアルな会話から、ビジネスの重要な決断を語る場面まで、幅広いフォーマル度で使える表現です。日常会話では「思い切って告白してみる」「新しい趣味を始めてみる」といった軽い決断にも気軽に使われますが、ビジネスの文脈では「未経験の分野に挑戦する」「新規事業に投資する」といった、より重みのある決断を語る際にも自然に使われます。
フォーマルな場面で結果の不確実性を強調したい時は、take a riskやtake a gambleといった、よりリスクの重さを感じさせる表現に置き換えられることもあります。一方でtake a chanceは、危険性よりも「結果への期待」を含んだ前向きな響きを保ったまま使える点が特徴です。
『モダンファミリー』のこの場面でも、ジェイは娘の夫であるフィルの行動を評して「思い切ってやってみたんだ」とtake a chanceを使っていました。家族の間のくだけた会話の中でも、この表現は自然に馴染む言葉として使われています。畏まった場面でなくても違和感なく使えるという点も、この表現の使い勝手の良さを支えています。
カジュアルな場面でもビジネスの場面でも通用する言葉として、状況に応じて使い分けられるようにしておくと、表現の幅がぐっと広がります。同じ一言でも、場の空気に合わせて選び取れるようになると、決断を語る場面での会話がより自然になります。
まとめ|結果が読めないまま、それでも一歩を選ぶ言葉
take a chanceは、結果がどうなるか分からないまま、それでも思い切って行動に出る時に使える表現です。
新しい挑戦や決断を語る場面で、危険性よりも前向きな期待を込めて使える一言として、会話に自然と馴染みます。
模型飛行機のテスト飛行を買って出たフィルの一件をめぐって、ジェイの弁明、クレアの追及、マニーの驚きが次々と重なっていくやり取りは、この家族の遠慮のない距離感と、失敗さえも笑い話に変えてしまう空気をよく表す場面と言えます。世代の異なる三人がそれぞれの反応を重ねていく様子も、このシーンならではの味わいです。


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