海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン12 第22話から、謝ってもらえないまま「許す」と伝える英語を取り上げます。母ビバリーとぶつかったレナードが、最後に自分から I forgive you と口にする場面が起点です。
許すという言葉は、謝罪への返事として使うものと思われがちです。傷ついたと伝える段階から、許しを受け取る側の返事までを順に見ていきます。
「傷ついた」と伝える前に、謝罪を促す言い方
ビバリーが本のための調査としてレナードと過ごしていたと分かり、レナードが怒ったあとの場面です。レナードとペニーの部屋と思われる場所で、ペニーがビバリーに話しかけます。
Penny: You know, Leonard was really upset. Shouldn’t you go talk to him?
(ねえ、レナードすごく動揺してたよ。話しに行ったほうがいいんじゃない?)Beverly: And send the message that he can get what he wants by throwing a tantrum? I don’t think so.
(それで、かんしゃくを起こせば望みが通るというメッセージを送るの?そうは思わないわ。)Penny: Beverly, put down your phone and go apologize to your son.
(ビバリー、電話を置いて息子に謝ってきて。)TBBT Season12 Episode22
Shouldn’t you ~? は否定疑問の形で「〜したほうがいいんじゃない?」と促す言い方です。命令よりやわらかく、相手に考えさせる響きがあります。throw a tantrum は「かんしゃくを起こす」で、子どもが泣きわめく様子にも使われる表現です。ペニーは続けて go apologize to ~ と、謝りに行くようはっきり求めています。go のあとに動詞の原形を続けるのは、話し言葉でよく見られる形です。このあとビバリーは、ペニーの言葉にも tantrum という語で応じ、取り合っていません。
後の場面で、ペニーが席を外し、レナードとビバリーが二人になります。落ち着いたかと尋ねるビバリーに、レナードはこう答えます。
Leonard: No, I’m not calm. You really hurt me.
(いや、落ち着いてない。本当に傷ついたんだ。)Beverly: That wasn’t my intention.
(そんなつもりはなかったわ。)Leonard: It doesn’t matter what you intended. What matters is the way you made me feel.
(どういうつもりだったかは関係ない。大事なのは、母さんが僕にどう感じさせたかだ。)TBBT Season12 Episode22
You really hurt me. は、傷ついたことを主語と動詞で率直に伝える一文です。これに対する That wasn’t my intention. は「そんなつもりはなかった」という意図の弁明で、謝罪の言葉は含まれていません。レナードは What matters is ~ の形で、意図より受け手の気持ちに話の軸を戻しています。
謝罪がなくても「I forgive you」
ビバリーが母親としての失敗を並べに来たのかと返したあと、レナードはこう告げます。
Leonard: Doesn’t matter, you’re never gonna change. If I want you to accept me for me, then I guess I’m gonna have to accept you for you. So I forgive you.
(どうでもいい。母さんは絶対に変わらない。僕をありのままに受け入れてほしいなら、僕も母さんをありのままに受け入れるしかないんだろうね。だから許すよ。)Beverly: I didn’t ask you to forgive me.
(許してほしいなんて頼んでいないわ。)Leonard: Too bad. I forgive you anyway. And I forgive myself for taking so long to do it.
(お気の毒さま。それでも許すよ。それに、許すのにこんなに時間がかかった自分のことも許す。)TBBT Season12 Episode22
forgive は、相手の謝罪がなくても使える動詞です。ビバリーの I didn’t ask you to forgive me. は「頼んでいない」と突き放す返しですが、レナードは Too bad.(お気の毒さま)で受け流し、I forgive you anyway. と重ねます。anyway は「それでも」「どのみち」で、相手の反応に左右されない決意を添える一語です。
forgive myself for ~ing は「〜したことで自分を許す」で、自分自身に向けた許しも同じ動詞で表せます。主語と目的語を入れ替えるだけで、相手への許しと自分への許しを並べて言える組み立てです。
ビバリーは、確かに気分がいいと認めます。何がと聞くレナードへの答えはこうです。
Beverly: You forgiving me. It means a lot. Thank you.
(あなたが私を許してくれたこと。とてもうれしいわ。ありがとう。)TBBT Season12 Episode22
It means a lot. は「とても意味がある」、つまり相手の行動が心に響いたと伝える感謝の一言です。この話の中で、ビバリーから謝罪の言葉は出てきません。それでも許しを受け取る返事は成り立っています。
まとめ|許しは謝罪を待たずに言える
You really hurt me で気持ちを伝え、I forgive you anyway で許しを宣言し、It means a lot で受け取る。forgive は謝罪への返事に限らず、自分から差し出せる言葉です。一連の流れで覚えておくと、こじれた会話を英語で追いやすくなります。
親子のぎこちないやり取りの中で交わされる短い言葉にも、この回らしさが表れています。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事にも目を通すと、この親子の会話の流れがつかみやすくなります。


コメント