海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第2話に登場する、細部にこだわり続ける相手をたしなめる言い方と、それでも食い下がる切り返しの表現です。ルネッサンスフェアから帰ってきたシェルドンたちが、歴史考証へのこだわりを巡ってやり取りするロビーの場面には、指摘をなだめる一言と、なおも粗探しを重ねる返しが対照的に描かれています。
「Worst Renaissance Fair ever.」という大げさな一言から見ていきます。
「最悪だった」と一言で切り捨てる誇張表現
ルネッサンスフェアから戻ってきたばかりの4人が、コスチューム姿のままロビーで言い合う場面から始まります。
Sheldon: Worst Renaissance Fair ever.
(史上最悪のルネッサンスフェアだった。)Leonard: Please let it go, Sheldon.
(頼むから、もうその話はやめてくれ、シェルドン。)TBBT Season2 Episode2 (The Codpiece Topology)
Worst 〜 ever は、「史上最悪の〜」と体験全体を一言でまとめて切り捨てる誇張表現です。細かい理由を並べる前に、まず結論から大げさに言い切ってしまう言い方で、「最悪の一日だった」のような日常の場面にも応用できます。対するレナードの let it go は、「その話はもう終わりにして」と話題を切り上げてほしいときの一言です。手放す・こだわりを捨てるという基本の意味が、そのまま「もう気にしないで」という頼み方に転用されています。
具体例を並べ立てて、史実の誤りを主張する
シェルドンの言い分はここで終わりません。何が問題だったのか、具体的な根拠まで持ち出して主張を続けます。
Sheldon: It was rife with historical inaccuracies. For example, the tavern girl serving flagons of mead, now her costume was obviously Germanic, but in 1487 the Bavarian purity laws or Rhineheitsgebot severely limited the availability of mead. At best they would have had some sort of spiced wine.
(史実的な誤りだらけだったんだ。例えば、蜂蜜酒のジョッキを運んでいた酒場の女の衣装は明らかにゲルマン風だったが、1487年当時、バイエルンの純粋令、いわゆるラインハイツゲボットによって蜂蜜酒の流通は厳しく制限されていた。せいぜい香辛料入りのワインが精一杯だったはずだ。)TBBT Season2 Episode2 (The Codpiece Topology)
be rife with 〜 は、「〜だらけだ」「〜がはびこっている」と、好ましくない状態が数多く存在することを表す言い方です。欠点や問題点を並べ立てるときによく使われます。文中の at best は「よく見積もっても」「せいぜい」と、最も好意的に解釈しても到達できる上限を示す言い回しです。1487年という具体的な年号まで持ち出す念の入れようが、この場面の粗探しの徹底ぶりを物語っています。
指摘されてもなお続く切り返しと、「nitpick」の成り立ち
あきれたレナードが一言たしなめると、シェルドンは悪びれることなく次の指摘を重ねます。
Leonard: You’re nitpicking.
(重箱の隅をつついてるだけだろ。)Sheldon: Oh-ho! Really? Well here’s another nit for you. The flagons would not have been made of polypropylene.
(ほう、本当にそうか? なら、もう一つ粗探しをくれてやろう。あのジョッキがポリプロピレン製だったはずがない。)TBBT Season2 Episode2 (The Codpiece Topology)
nitpick は些細な欠点をあれこれ指摘することを指す動詞で、nit はもともとシラミの卵という意味です。髪の毛を一本一本たどって卵を探し出すような細かい作業が、そのまま「重箱の隅をつつく」という行為の呼び名になっています。シェルドンは指摘をそのまま逆手に取り、another nitともう一つの粗探しを差し出すことで、たしなめられてもなお主張を譲らない姿勢を見せています。
まとめ|たしなめる一言と、譲らない切り返し
Worst 〜 ever、let it go、nitpick、rife with、at best。細部にこだわる相手をたしなめる表現と、それでも指摘を重ねる切り返しの表現が、この場面には並んでいます。nitpickの語源を知っておくと、細かすぎる指摘というニュアンスがより具体的に伝わってきます。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話を通して、英語表現の型を見ていきましょう。
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