「留守電で友情をフォローアップする」―かしこまった電話英語とその意外な使いどころ|『ビッグバン★セオリー』S02E13で学ぶ英会話

『The Big Bang Theory』コラム: 「留守電で友情をフォローアップする」―かしこまった電話英語とその意外な使いどころ|『ビッグバン★セオリー』S02E13で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第13話に登場する、電話やメールで使うようなかしこまった言い回しです。友達作りに本腰を入れたシェルドンは、同僚のクリプキに残す留守番電話でも、アンケートを手渡す場面でも、私的な用件をあえてビジネス文書のような堅苦しい言葉で語ります。

そのギャップの面白さと、日常でも応用できる型を見ていきます。

目次

名乗ってから用件を切り出す、留守電のかしこまった型

アパートの部屋で、レナードがペニーの受信箱を整理してあげている場面に、シェルドンの留守番電話の声が重なります。相手は同僚のクリプキです。

Sheldon: Hello. This is Sheldon Cooper. I’m leaving a message for Barry Kripke. Barry, It was pleasant seeing you today in the cafeteria. I saw that you purchased the chef’s salad. Apparently, you did not know that the chef’s salad is kitchen trickery, to utilize scrap meat. Nevertheless, I hope you enjoyed it. I’m following up on our pending friendship, and I look forward to hearing from you regarding its status. Sheldon Cooper.
(もしもし。シェルドン・クーパーだ。バリー・クリプキ宛てにメッセージを残している。バリー、今日カフェテリアで会えて何よりだった。シェフサラダを買ったのを見たが、あれが半端な肉を使うための調理場のトリックだとは知らなかったようだね。とはいえ、楽しんでもらえたなら幸いだ。保留中の友情についてフォローアップしており、その進捗について返事をもらえるのを楽しみにしている。シェルドン・クーパーより。)

Penny: What’s up with Ichabod?
(あの「イカボッド」、どうしたの?)

TBBT Season2 Episode13 (The Friendship Algorithm)

This is [名前]. I’m leaving a message for [名前]. は名乗ってから用件の相手を明示する留守電の定型です。さらに I’m following up on our pending friendship, and I look forward to hearing from you regarding its status. と続けます。follow up on 〜(〜についてフォローアップする)も look forward to hearing from you regarding 〜(〜について返事を楽しみにしている)も、本来は仕事のメールで進捗を確認するときの言い回しです。それを「友達になりたい」という私的な望みに転用しているところに、このセリフの面白さがあります。

ペニーが「イカボッド」とからかい混じりに反応する様子からも、この留守電がどれだけかしこまって聞こえるかが伝わってきます。ビジネス文書のような言葉づかいは、本来こみいった業務連絡の進捗を丁寧に伝えるためのものですが、私的な頼みごとの前置きとしてあえて使うと、慇懃無礼にも律儀にも聞こえる表現になります。留守電に限らず、メールの書き出しで「〇〇の件でご連絡しました」と丁寧に切り出したいときにも、同じ発想の型が応用できます。

職場の同僚のように、身近な悩みをかしこまって言い換える

友達作りのために、シェルドンはペニーにアンケートまで作成します。ペニーの部屋のドア越しに、その目的を説明する場面です。

Sheldon: It’s a questionnaire I devised. I’m having some difficulty bonding with a colleague at work, so I’m doing a little research to better understand why my current friends like me.
(私が考案したアンケートだ。職場の同僚と打ち解けるのに少々苦労していてね、今の友人たちが私のどこを気に入っているのかを、よりよく理解するための調査をしている。)

TBBT Season2 Episode13 (The Friendship Algorithm)

I’m having some difficulty bonding with a colleague at work. という言い方に注目です。ここでの「同僚」とは、実際には友達になろうとしているクリプキのことですが、シェルドンはそれを職場の人間関係の課題であるかのように語ります。have difficulty -ing(〜するのに苦労している)は、私的な悩みをオフィスの相談事のように置き換えて話すときにも使える型です。

do a little research to better understand 〜(〜をよりよく理解するために少し調べている)という言い方も、個人的な好奇心を、業務上のちょっとした調査であるかのように見せる効果があります。友達に「どうして私のことが好きなの?」と直接聞く代わりに、こうした調査めいた言葉を挟むことで、質問そのものが柔らかく響く、というのがこの場面の見どころです。アンケートという形をとることで、答えを直接迫るのではなく、選択式の質問という一枚のクッションを挟んで本音を引き出そうとしている、と読み取ることもできます。

責めずに理由を分析し、次の一手を提案する再アプローチ

電話がつながらないクリプキに、シェルドンは再度かけ直します。アパートの階段でハワードたちと合流した直後のシーンです。

Sheldon: Hello, Kripke. Yes, Sheldon Cooper here. It occurred to me you hadn’t returned any of my calls because I hadn’t offered any concrete suggestions for pursuing our friendship.
(もしもし、クリプキ。ああ、シェルドン・クーパーだ。私からの電話にどれも折り返しがなかったのは、我々の友情を進める上での具体的な提案をしていなかったからではないかと思い至った。)

TBBT Season2 Episode13 (The Friendship Algorithm)

It occurred to me that 〜(〜だと思い至った)は、相手を責めることなく状況の理由を分析して切り出す言い方です。「あなたが悪い」ではなく「私の側の準備が足りなかった」という形に理由を置き換えているところがポイントで、相手を責める代わりに自分の落ち度を先に認める姿勢が伝わってきます。そのうえで concrete suggestions for pursuing 〜(〜を進めるための具体的な提案)と続けることで、反省から次の一手への移行がスムーズに聞こえます。

返事がない相手に催促するとき、単に理由を尋ねるのではなく、こうして理由を分析してから提案する型は、私的なやりとりでも角が立ちにくく響きます。この直後、シェルドンは食事や飲み物、趣味の話題を次々と提案していきますが、それも「具体的な提案を重ねる」という同じ発想の延長線上にある行動と言えます。返信のないメールに「〜が原因かと考え、念のため別の案もお伝えします」と書き添えるときの参考にもなりそうです。

まとめ|かしこまった言い回しは、私的な場面でも使い道がある

This is Sheldon Cooper. I’m leaving a message for 〜、I’m having some difficulty bonding with a colleague at work、It occurred to me that 〜。本来ビジネスの場で使うかしこまった言い回しを、友達作りという私的な場面に転用する面白さを見てきました。丁寧さや慎重さを伝えたい場面で、そのまま応用できる型と言えます。

次回も『ビッグバン★セオリー』の会話を通して、英語表現の型を見ていきましょう。

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