海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
長旅のあとに腰がぼろぼろになっていたり、嵐で庭がめちゃくちゃにされていたり——何かに「徹底的にやられた」と感じる瞬間は、暮らしの中にときどき訪れます。
今回は、その「ひどい目にあわせる」にぴったりの「do a number on」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン7第20話の終盤、カフェテリアでハワードが自らの恥ずかしい過去を打ち明けるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「do a number on」の意味とニュアンス
do a number on
意味:〜をひどい目にあわせる、めちゃくちゃにする
do a number on は、対象に大きなダメージや混乱を与えることを表す口語表現です。物・身体・精神のいずれにも使え、「徹底的にやられた」という被害の大きさが含まれます。
ここでの number は、ステージの「演し物」や「一発の芸」のような感覚に近いものです。誰かが対象に対して「ひと仕事・ひと芸」をやってのけ、その結果、後にはぼろぼろの状態だけが残る——そんなイメージから「ひどい目にあわせる」という意味が生まれたと考えられます。
天候・病気・出来事などが人や物を痛めつけたと言うときによく登場します。カジュアルで生き生きとした響きがあり、日常会話でネイティブがよく使う表現だと言えます。
【ここがポイント!】
- number は「ひと仕事・ひと芸」の感覚。相手にひと暴れかますイメージが核
- 物・体・心、どれにでも使えて「徹底的にやられた」被害の大きさが出る一言
- 天候・病気・出来事が主語になりやすい、口語的で生きた響きがコツ
『ビッグバン★セオリー』S07E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
カフェテリアで、シェルドンとハワードがそれぞれの「恥ずかしい夜」を打ち明け合っています。ハワードは、ラージの恋人エミリーが実はかつてのデート相手で、その時トイレをひどい状態にした過去を暴露されたことを告白します。number の二つの意味を掛けたオチが待っている場面です。
Sheldon: I drank alcohol and may have left an unfortunate voice mail for Stephen Hawking.
(酒を飲んで、スティーヴン・ホーキングに残念なボイスメールを残したかもしれないんだ)Howard: Oh, well, turns out I’d already met the girl Raj is seeing when I did a number on her bathroom. And that number was two.
(ああ、実はラージが付き合ってる子には前に会っててね。彼女のトイレをめちゃくちゃにしたときに。しかも、その「やらかし」は大のほうだったんだ)The Big Bang Theory Season7 Episode20(The Relationship Diremption)
シーン解説と心理考察
ハワードの告白は、do a number on(ひどい目にあわせる)という表現と、それに続く And that number was two. という一言の組み合わせで成り立っています。do a number on her bathroom で「トイレをめちゃくちゃにした」と語ったうえで、その number が two(大のほう)だった、とオチをつけているのです。
英語では number one が「小用」、number two が「大用」を指す婉曲表現として広く知られています。ハワードはこの二つの number ——「ひと仕事」の number と、「大のほう」を指す number ——を掛け合わせて、自虐的なジョークに仕立てています。一つの単語に二つの意味を重ねる言葉遊びが、この一言に凝縮されています。
シェルドンの「酔って偉い学者に電話してしまった」という告白に、ハワードが「自分はもっとひどい」と過去の失態で応じる流れも見どころです。互いの恥を打ち明け合うことで、二人の距離が縮まる温かさもにじむ場面です。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
誰かが対象に向かって「ひと仕事(a number)」をやってのけ、立ち去ったあとにはぼろぼろの残骸だけが残っている——そんな場面を思い浮かべてみてください。number を「演し物・一発の芸」と捉えると、do a number on が「相手にひと暴れかます」感覚だと掴めます。
ハワードがトイレに do a number on して、しかもそれが number two(大のほう)だったというオチごと覚えると、number という単語が持つ二つの顔まで一度に記憶に残ります。
例文で覚える「do a number on」
do a number on は、体・物・心が「徹底的にやられた」場面で活躍します。3つの例文で使いどころを掴んでみましょう。
That long flight really did a number on my back.
(あの長距離フライトで、腰が本当にやられたよ)
長旅で体を痛めたことを愚痴る場面です。体の一部を目的語にする、最も自然な使い方の一つです。
The storm did a number on our garden.
(嵐で庭がめちゃくちゃになった)
天候による被害を語る場面です。do a number on は天候や災害を主語にすることが多く、この例文はその典型と言えます。
A: You seem a little down today. Everything okay?
B: The breakup really did a number on my confidence, to be honest.
(A:今日はちょっと元気ないね。大丈夫?)
(B:正直、あの別れで自信がぼろぼろになっちゃってさ)
心のダメージを打ち明ける場面です。物理的な被害だけでなく、精神面が「やられた」ときにも自然に使えることがわかります。
あわせて覚えたい関連表現
take a toll on
(〜に打撃・負担を与える)
じわじわと蓄積していく負担に焦点がある表現です。一回の大きなダメージにも使える do a number on より、時間をかけた消耗を表すのに向いています。
wreak havoc on
(〜に大混乱・大損害をもたらす)
より大規模で破壊的な表現です。災害やシステム障害など、被害が広範囲に及ぶときに使われます。
mess up
(〜を台無しにする、めちゃくちゃにする)
汎用的でカジュアルな表現です。do a number on が持つ「徹底的にやられた」という被害の重さは、こちらでは少し軽くなります。
Note|number one と number two、子ども英語の婉曲表現
ハワードのジョークを理解するカギは、英語の number one と number two という婉曲表現にあります。これは主に子ども向けに、トイレに関することを遠回しに言うための言い方です。
number one が「小のほう」、number two が「大のほう」を指します。子どもに直接的な単語を使わせたくないときや、大人同士でも少しおどけて言いたいときに、この言い方が使われます。起源ははっきりしませんが、直接的な表現を避けたい場面で、数字を使ってやわらかく言い換える知恵から広まったと考えられます。ハワードの And that number was two. は、この子ども英語の婉曲表現を踏まえて初めて成立するジョークです。do a number on her bathroom(トイレをめちゃくちゃにした)の number と、number two(大のほう)の number ——同じ単語が二つの意味を行き来することで、笑いが生まれています。一語の多義性を利用したジョークは英語に非常に多く、do a number on のダブルミーニングはその好例と言えます。背景にある文化を知っていると、ネイティブが思わずニヤリとする瞬間を一緒に味わえるようになります。
do a number on を覚えるときは、この number two の婉曲表現も一緒に頭に入れておくと、英語圏のユーモアの感覚に一歩近づけます。表現の意味だけでなく、その裏にある言葉遊びまで掴めると、ドラマがぐっと面白くなります。
一つの数字に、二つの意味が宿っているのですね。
まとめ|ハワードの自虐から学ぶ「徹底的にやられた」の一言
do a number on は、対象に大きなダメージや混乱を与えることを表す口語表現です。「ひと仕事をやってのけて、後にはぼろぼろの状態が残る」というイメージから、体・物・心が「徹底的にやられた」感覚が伝わります。
このフレーズが使えるようになると、長旅で疲れ果てた体や、災害で傷んだ家、痛手を負った気持ちについて、カジュアルで生き生きとした英語で語れるようになります。ハワードのように、自分の失態を笑い話に変える一言としても役立つかもしれません。
何かに「やられた」と感じた場面を思い浮かべながら、会話のレパートリーに加えてみてくださいね。


コメント