海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
残り一切れのケーキや、車の助手席をめぐって、「あ、それ私が先!」と思わず口に出して先取りした経験はありませんか。
その「最初に取る権利」を表すカジュアルな言い回しが「first dibs」です。『ビッグバン★セオリー』シーズン4第7話の冒頭、シェルドンが会話の主導権を「予約」しようと割り込むカフェテリアのシーンから、一緒に見ていきましょう。
「first dibs」の意味とニュアンス
first dibs
意味:最初に取る・やる権利、「それ私が最初ね」という先取りの権利
first dibs は、何かを最初に手に入れる、あるいは最初にやる権利を、口頭で「予約」するときに使うカジュアルな表現です。call first dibs (on ~) や have first dibs (on ~) の形で、「〜は私が先に確保した」と宣言します。
子ども同士が「これ俺の!」と言い合う場面から、大人が残り物や席、順番を「先に取っておく」と軽く宣言する場面まで、日常会話で広く使われます。dibs はもともと「取り分・権利」を表す口語で、複数形のように見えても first dibs / get dibs のひとかたまりで覚えるのが自然です。日本語には一語でぴたりと当たる訳がなく、「先取りする権利」「最初の取り分」と説明的に訳すことになります。言ったもの勝ち、という軽さがこの表現の持ち味です。
【ここがポイント!】
- first dibs の核は、口頭で「最初の権利」を予約してしまうイメージ
- call / have とセットで、on のあとに対象を置くのが定番の形
- 子どもの「これ俺の!」から大人の軽口まで使える、くだけた一言
『ビッグバン★セオリー』S04E07のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
舞台は大学のカフェテリア。ハワードが、国防総省の衛星開発チームに入れたという大ニュースを発表します。ところがシェルドンはまったく祝福せず、「話題を変えるなら、カピバラの話をする権利は自分にある」と、自分の発言順を先取り宣言して割り込みます。
Howard: Good news. I made it onto the team for the new Defence Department laser-equipped surveillance satellite.
(いいニュースだ。国防総省の新しいレーザー搭載監視衛星のチームに入れたんだよ)Sheldon: Excuse me. If we’re changing topics, I believe I have first dibs with capybara, a rodent the size of a baby hippo.
(失礼。話題を変えるなら、カピバラ——カバの赤ちゃんほどの大きさの齧歯類——について、僕に最初の発言権があるはずだ)The Big Bang Theory Season4 Episode7(The Apology Insufficiency)
シーン解説と心理考察
シェルドンの I have first dibs は、本来なら順番待ちの権利を主張する軽い言い回しですが、それを「会話のどの話題を先に話すか」に持ち込んでいるのが、いかにも彼らしいところです。みんなの関心がハワードの慶事に向いた瞬間に、自分の話したい話題(カピバラ)の優先権を確保しようとする——その発想のズレが笑いを生みます。シェルドンにとって会話は早い者勝ちの権利争いであり、他人の喜ばしい知らせよりも「誰が先に話す権利を持つか」というルールのほうが重要なのだと伝わってきます。社会的な空気よりも自分のルールで会話を支配しようとする、彼の思考様式がよく表れたシーンです。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
first dibs は、手をパッと挙げて「はい、これは私が最初!」と宣言する瞬間の映像で覚えると定着しやすい表現です。口に出した瞬間に権利が発生する、という軽やかさがポイント。シェルドンが、ハワードのおめでたい発表をスルーして「カピバラの話は僕に first dibs がある」と割り込む姿は、まさに「会話の順番を口頭で予約する」絵そのもの。少しズレた優先権主張のおかしさとセットで思い浮かべれば、call first dibs の「言ったもの勝ち」の感覚が記憶に残ります。
例文で覚える「first dibs」
first dibs は call や have と組み合わせ、on のあとに対象を置くのが基本の形です。3つの例文で、その使い方を見ていきましょう。
I call first dibs on the last slice of pizza!
(最後のピザ一切れ、私が先取り!)
友人と食べ物を分ける場面の定番です。call first dibs on 〜 で「〜を最初に取る権利を宣言する」という、もっともよく使われるパターンになります。
She got first dibs on the new project because she pitched the idea.
(彼女がアイデアを出したので、新プロジェクトの担当の優先権を得た)
仕事の場面でも使えることを示す一文です。くだけた表現ながら、社内で「誰が先に担当する権利を持つか」を語るときにも自然に使えます。
A: Can I have first dibs on your old desk when you move out?
B: Sure, it’s all yours.
(A:引っ越すとき、その古い机を真っ先にもらってもいい?)
(B:いいよ、ぜんぶ君のだ)
不要品を譲ってもらう交渉の会話です。have first dibs on 〜 で「〜を最初にもらう権利がほしい」と、軽く先取りを申し出る言い方になります。
あわせて覚えたい関連表現
call shotgun
(車の助手席を先取りする)
助手席をめぐる先取り宣言に特化したスラングです。first dibs が対象を選ばない汎用的な先取り権なのに対し、call shotgun はその一種と捉えると分かりやすいです。
bagsy / bags
(〜を先取りする ※主にイギリス英語)
イギリス英語で first dibs に相当する子ども言葉です。同じ「先取り宣言」でも、アメリカでは dibs、イギリスでは bagsy と地域差が出る好例になります。
have priority
(優先権がある)
フォーマルで公的な「優先順位」を表します。first dibs があくまで口語の軽い先取り宣言なのに対し、改まった場面では have priority のほうが自然です。
Note|first dibs / priority / reservation ―「先に確保」の三段階
シェルドンが first dibs で話す順番を「確保」したように、英語には「先に取っておく」を表す言葉がいくつもあります。ただ、それぞれ改まり度も、どれだけ強く権利を主張できるかも、大きく違います。
もっともくだけているのが first dibs です。これは口頭での宣言だけで成立する、いわば紳士協定のような権利で、法的な裏づけはありません。友人同士で「それ私が先!」と言い合うときの軽さがそのまま残っています。次に位置するのが priority(優先権)です。こちらは「優先搭乗(priority boarding)」のように、組織や制度が公式に認めた順序を指し、first dibs よりずっとフォーマルで拘束力があります。そして最も強く正式なのが reservation(予約)です。レストランやホテルのように、相手と取り決めを交わし、記録として残る確保のしかたで、口約束の first dibs とは重みがまるで違います。同じ「先に確保する」でも、軽い口約束(first dibs)→ 公的な優先順位(priority)→ 正式な契約的予約(reservation)という三段階で、改まり度が一段ずつ上がっていくわけです。
この並びを知っておくと、first dibs があくまで「言ったもの勝ち」の軽い宣言で、きちんと席を押さえたいときには reservation が必要だ、という使い分けがはっきり見えてきます。
場面の重さに合わせて、確保の言葉も選びたいものです。
まとめ|シェルドンの割り込みから学ぶこと
first dibs は、何かを最初に手に入れる・最初にやる権利を、口頭で軽く「予約」するカジュアルな表現です。
この一言を知っておくと、残り物や席、順番などを「あ、それ私が先!」と先取りしたい場面で、ネイティブらしい自然な言い方ができるようになります。call first dibs on 〜 の形ごと覚えておけば、友人とのくだけた会話でもすぐに使えるはずです。
ハワードの慶事に割り込んでまで話す権利を主張した、あのシェルドンらしい一場面を思い出しながら、自分なら何に first dibs を宣言したいか、想像してみてください。


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