「go right over someone’s head」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S12E17で学ぶ英会話

「go right over someone's head」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

張り切って準備した話や冗談が、相手にまったく通じなかったという経験はありませんか。

そんなすれ違いを言い表す「go right over someone’s head」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン12第17話の後半、赤ちゃんたちを相手に科学実験を披露したというシェルドンの報告から、一緒に見ていきましょう。

目次

「go right over someone’s head」の意味とニュアンス

go right over someone’s head
意味:(難しすぎて)相手にまったく理解されない

go over someone’s headは、話の内容が難しすぎたり専門的すぎたりして、相手に理解されない状態を表す口語表現です。goという動詞に「動いていく」イメージがあり、話の内容が矢のように相手の頭の上を通り過ぎていく様子がそのまま意味になっています。rightを加えることで「まったく」「見事に」というニュアンスが強まり、完全に理解の範囲を超えてしまったことが強調されます。話し手が意図して難しくしているわけではなく、結果として伝わらなかったというニュアンスで使われる点も押さえておきたいところです。

専門的な説明や高度な冗談が相手に伝わらなかったとき、子どもや初心者に難しい話をしてしまったときなどによく使われる表現です。話し手に悪気があるわけではなく、単に説明のレベルが相手に合っていなかった、という状況を軽く言い表す際にも重宝します。なお、go over someone’s headには「組織の中で担当者や上司を飛び越えて、より上位の人に直接話を持っていく」という別の意味もあり、文脈によって使い分ける必要があります。

【ここがポイント!】

  • 核は「話が矢のように相手の頭上を通り過ぎていく」というイメージ
  • rightを加えると「まったく理解されない」という強調になる
  • 「上司を飛び越える」という別の意味も持つ、文脈依存の表現

『ビッグバン★セオリー』S12E17のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ハワードと一緒に赤ちゃんたちをお風呂に入れていたシェルドンが、その日に自分がしていたことをエイミーに得意げに報告する場面です。

Sheldon: Oh, you were right, Amy. There were so many valuable experiments to perform on them during bath time.
(ああ、君の言う通りだったよ、エイミー。お風呂の時間には、貴重な実験がたくさんできた。)

Amy: You don’t say.
(そうなの。)

Sheldon: I do. I tested their object permanence with a rubber duck, and we took a run at Archimedes water displacement, but that went right over their heads.
(そうだとも。ゴムのアヒルで物体の永続性を試して、アルキメデスの水置換の実験にも挑戦したけど、あの子たちにはさっぱり理解できなかったみたいだ。)

Amy: Well, I’m glad you had a good day.
(まあ、いい一日を過ごせたみたいでよかったわ。)

Sheldon: I did. It’s so funny, we did all these experiments on them and they didn’t even notice.
(うん、良かったよ。おかしいのは、あれだけ実験したのに、あの子たちは全然気づかなかったってことなんだ。)

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シーン解説と心理考察

「君の言う通りだったよ、エイミー。お風呂の時間には貴重な実験がたくさんできた」というシェルドンの報告からは、満足感がにじみ出ています。赤ちゃんたちに対して本気で科学実験を仕掛けていたという内容と、エイミーの「そうなの」という素っ気ない相槌との温度差が、まず笑いを誘うポイントです。

続けてシェルドンは、ゴムのアヒルを使った実験やアルキメデスの原理の検証を得意げに語りながら、「あの子たちにはさっぱり理解できなかった」と結論づけます。相手が赤ちゃんである以上、高度な実験が伝わらないのは当然のことですが、シェルドンはそれを疑いもせず「実験結果」として淡々と報告している点がこの場面のおかしさを支えています。最後に「気づかれなかったのがおかしい」と締めくくるところにも、相手の理解度そのものより実験の実施自体に満足しているシェルドンらしい視点が表れています。対象年齢をまったく気にしない発想と、それを大真面目に語る口調のギャップが見どころです。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

話の内容が矢のようにまっすぐ(right)相手の頭の上(over someone’s head)を通り過ぎていくイメージを思い浮かべてみましょう。頭の中に届かず、そのまま素通りしてしまう様子が、「理解されない」という意味につながります。

シェルドンが得意げに語った実験の数々も、聞き手である赤ちゃんたちの頭上を見事に通り過ぎていくものでした。話の内容が相手に届かず上を通り抜けていく様子をイメージしておくと、似たようなすれ違いに出会ったときにも意味がすっと結びつきます。

例文で覚える「go right over someone’s head」

専門的な話や冗談が伝わらない場面で使われるgo right over someone’s headを、3つの例文で確認していきましょう。

His technical explanation went right over my head.
(彼の専門的な説明は、僕にはまったく理解できなかった。)
専門用語だらけの説明を受けた場面です。my headのように受け手を明確にすると、誰が理解できなかったのかがはっきりします。

The joke went right over the children’s heads, but the adults laughed.
(その冗談は子どもたちにはまったく通じなかったが、大人たちは笑っていた。)
世代によって伝わり方が違う冗談を語る場面です。but以下を添えると、伝わった側との対比が鮮明になります。

A: Did you understand the lecture?
B: Not at all, it went right over my head.
(A:あの講義、理解できた?)
(B:全然。完全に理解できなかったよ。)
難しい授業の感想を話す会話です。Not at allを添えることで、理解度のなさがより強調されます。

あわせて覚えたい関連表現

beyond someone’s comprehension
(誰かの理解を超えている)
go over someone’s headが口語的でカジュアルな言い方であるのに対し、beyond someone’s comprehensionはよりフォーマルで硬い言い回しです。レポートや論文のような文章で使われることが多く、会話ではやや堅く響きます。

lost on someone
((冗談や意図が)誰かに伝わらない)
go over someone’s headが「難しすぎて分からない」ことに焦点を当てるのに対し、lost on someoneは皮肉や冗談、微妙なニュアンスが「気づかれずに終わる」場合によく使われます。

Greek to someone
(誰かにとってちんぷんかんぷん)
go over someone’s headが「理解が及ばず素通りする」動的なイメージであるのに対し、Greek to someoneは「まったく異国語のように意味不明である」という状態そのものを表す成句です。

Note|go over someone’s headに隠れたもう一つの意味

go over someone’s headには、今回のシーンで使われた「理解されない」という意味のほかに、まったく別の場面で使われる意味がもう一つあります。それが、組織の中で担当者や直属の上司を飛び越えて、より上位の人に直接話を持っていくという意味です。

たとえば、職場で「I went over my manager’s head and talked to the director directly.」と言えば、「マネージャーを飛び越えて、部長に直接話をした」という意味になります。この場合のheadは「頭の上を通り過ぎる」という物理的なイメージから、「本来の窓口を飛び越える」という組織上の比喩に転じています。同じ形の慣用句でありながら、話の理解度について語る場面なのか、組織内の手順について語る場面なのかによって、まったく違う出来事を指すことになるため注意が必要です。文脈からどちらの意味かを見極めるのが、この表現を使いこなす鍵になります。

今回のシェルドンのセリフは、赤ちゃんという聞き手の理解力について語る場面だったため、明らかに前者の「理解されない」という意味でした。同じ形の表現でも状況によって指す内容が変わるという点は、覚えておいて損はありません。会話の中で「誰の頭を通り過ぎたのか」「誰を飛び越えたのか」を意識すると、どちらの意味で使われているかが自然と判別できるようになります。

一つの形に二つの顔がある、というのもイディオムらしい面白さです。

まとめ|同じ形でも状況によって表情を変える一言

go right over someone’s headは、話の内容が難しすぎて相手にまったく理解されない状態を表す口語表現です。

組織内で上司や担当者を飛び越えるという別の意味も持つため、文脈によってどちらの意味かを見極める必要があります。

赤ちゃんに向けて大真面目に科学実験を報告したシェルドンの様子は、聞き手の理解力を完全に置き去りにしたまま話が進んでいく、この表現の典型例そのものでした。専門的な話が伝わらなかった場面を語るときの表現の引き出しに加えてみてください。

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