「put the moves on」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S02E20で学ぶ英会話

「put the moves on」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

パーティーや飲み会で、誰かが特定の相手にやたらと気を引こうとしている――そんな光景を、横目で「お、口説いてるな」と眺めたことはないでしょうか。

その「口説きにかかっている」様子を表すのが「put the moves on」。気を引こうと意図的にアプローチをかける、という意味の口語表現です。『ビッグバン★セオリー』シーズン2第20話のコミック店で、ペニーに接近するスチュアートを、レナードがやきもきしながら見ているシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「put the moves on」の意味とニュアンス

put the moves on (someone)
意味:(人に)言い寄る/口説きにかかる

put the moves on は、相手の気を引こうとして意図的にアプローチをかける行為を指す、ややくだけた表現です。直訳すると「(人)の上に動き(moves)を置く」となり、気を引くための計算された一連の「動き」を、相手に向かって仕掛けていくイメージです。

特徴的なのは、第三者が「あいつ、口説いてるな」と観察する文脈でよく使われる点です。本人に向かって “Are you putting the moves on me?(私を口説こうとしてる?)” と言えば、からかいや冗談の響きになります。moves が複数形なのは、一度きりの声かけではなく、相手を落とすための「ひと続きの手立て」を表しているからです。恋愛・性的な関心を背景にしたアプローチを指すので、ビジネスのような場面ではなく、もっぱら私的な恋愛模様を語るときに登場します。

【ここがポイント!】

  • 「moves」が複数形なのは、計算された一連のアプローチを表すから
  • 第三者が「あいつ口説いてるな」と観察する文脈でよく使う表現
  • 本人に向けて言うと、からかい・冗談のトーンになるのが面白いところ

『ビッグバン★セオリー』S02E20のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

コミック店で、スチュアートがペニーの似顔絵をその場で描いて手渡し、電話番号を聞き出します。その様子を離れたところから見ていたレナードが、思わず本音をこぼす場面です。

Leonard: I don’t believe it. Stuart’s putting the moves on Penny.
(信じられない。スチュアートがペニーを口説いてる)

Howard: I have got to learn how to draw.
(僕も絵を習わなきゃ)

Raj: Guys, have you seen Stuart all up in Penny’s business over there?
(なあ、スチュアートがあっちでペニーにべったりなの見たか?)

Leonard: Nobody’s up in anybody’s business, let’s just buy our stuff and go.
(誰も誰にべったりなんかしてない。さっさと買って帰ろう)

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シーン解説と心理考察

レナードの「I don’t believe it.(信じられない)」という前置きに、ペニーへの好意ゆえの動揺がにじむ場面です。put the moves on という観察の言葉を口にしながら、その実、自分が一番気にしているのが透けて見えます。

直後にラージが「スチュアートがペニーにべったりだ」とはやし立てると、レナードはとっさに「誰も誰にべったりなんかしてない。さっさと買って帰ろう」と話を打ち切ります。否定して話題を閉じようとする慌てぶりが、かえって本心を裏切っている――その不器用さが会話の温度を変えています。put the moves on を「他人事」として語りながら、まったく他人事になれていないレナードの心情が、この短いやり取りに重なっています。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

put the moves on は、チェスの駒を相手に向かって一手ずつ進める動作で覚えるのがおすすめです。気を引くための計算された「手(move)」を、ターゲットの上に(on)次々と置いていく――その盤上のイメージが、そのまま表現の意味に重なります。

劇中のスチュアートは、「似顔絵を描く」という洒落た一手でペニーに迫りました。あの場面を思い出せば、「口説き=戦略的に重ねるムーブ」という発想が腑に落ち、moves が複数形になる理由まで一度に覚えられます。

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例文で覚える「put the moves on」

put the moves on は、誰かの恋愛模様を語るときに活躍します。3つの例文で使い方を見ていきましょう。

He was definitely putting the moves on her at the party.
(彼はパーティーで明らかに彼女を口説いてたよ)
友人同士で誰かの様子を噂する場面です。劇中のレナードと同じく、第三者の視点から観察する典型的な使い方になります。

Don’t put the moves on your coworkers — it’s a bad idea.
(同僚を口説くのはやめときな、まずいよ)
友人に忠告する場面です。否定の命令形にすると、「やめておけ」とたしなめるニュアンスになります。

A: Why is he being so nice to me all of a sudden?
B: I think he’s trying to put the moves on you.
(A:なんで彼、急に私にやさしいんだろう?)
(B:あなたを口説こうとしてるんだと思うよ)
相手の意図を読み解く会話です。try to put the moves on で「口説こうとする」という、進行中のアプローチを表せます。

あわせて覚えたい関連表現

hit on (someone)
((人を)口説く/ナンパする)
より直接的でくだけた表現です。put the moves on が「計算された一連のアプローチ」を指すのに対し、hit on は「声をかける・言い寄る」行為そのものを表します。

make a pass at (someone)
((人に)言い寄る/モーションをかける)
一度きりのアプローチ、たとえば誘いや軽い接触を指すことが多い表現です。put the moves on が継続的な口説き全体を表すのとは、対象の長さが異なります。

flirt with (someone)
((人と)いちゃつく/思わせぶりにふるまう)
軽い戯れやじゃれ合いで、必ずしも本気の口説きとは限りません。put the moves on のほうが「狙っている」という意図がはっきり出ます。

Note|恋愛を「動き(move)」で語る英語の発想

put the moves on を直訳すると「動きを置く」となって、最初は不思議に感じるかもしれません。けれど英語には、恋愛のアプローチを「動き(move)」になぞらえる発想が、じつはあちこちに根づいています。

たとえば make a move on someone は「(人に)アプローチをかける」、make the first move は「最初の一歩を踏み出す・先に動く」、smooth moves は「(口説きや振る舞いが)スマートな手際」を表します。これらに共通するのは、口説きや誘いを、スポーツやダンス、ゲームの「一手」のように捉える感覚です。相手の出方を見ながら自分の手を繰り出す――そんな駆け引きの構図が、move という一語に凝縮されています。put the moves on で moves が複数形になるのも、相手を落とすための手立てが「ひと続きの連続技」としてイメージされているからです。

この「恋愛=戦略的な動き」という発想を知っておくと、put the moves on の盤上めいた手触りが、ぐっとわかりやすくなります。

英語では、口説くこともひとつの「ゲームの手」というわけです。

まとめ|レナードの空回りから学ぶ「口説く」の一言

put the moves on は、誰かが気を引こうと意図的にアプローチしている様子を、ひとことで言い表せる口語表現です。

第三者の視点で「お、口説いてるな」と観察するときにぴたりとはまり、本人に向ければからかいの一言にもなります。恋愛模様を軽やかに語りたい場面で、会話にリズムを生んでくれます。

スチュアートの一手に動揺するレナードの姿の後ろに、好きな人をめぐる誰もが覚えのある落ち着かなさが、ほんの少し透けて見える場面でした。

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