海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ホワイトカラー』シーズン1 第13話から、誘拐事件の捜査でニールを預かったライス捜査官が、彼に一方的なルールを言い渡す場面を取り上げます。ニールは正面から逆らわず、従うふりをしながら言葉の端々で押し返していきます。
相手の言葉を復唱する Got it.、例外を突く What if 〜?、黙っていろと言われた直後の Permission to speak? まで、立場の弱い側の切り返しがそろっています。
「Got it.」相手の宣言を復唱して受け取る
上司の指示で、ニールはこの事件のあいだライスの下につくことになります。被害者の父グレスへの聞き取りの途中で、ライスはニールに話があると声をかけ、まず立場をはっきりさせようとします。
Rice: Let me get something clear right here, right now. You’re a tool in my belt. Understand?
(今ここで、はっきりさせておく。あなたは私のベルトに差した道具なの。わかった?)
Neal: Tool in your belt. Got it.
(君のベルトの道具ね。了解。)White Collar Season1 Episode13 (Front Man)
Let me get something clear は「一つはっきりさせておく」と前置きしてから本題を突きつける切り出しです。get 〜 clear は「〜を明確にする」で、right here, right now(今ここで)を重ねて、話を先延ばしにさせない強さを出しています。
a tool in my belt は、腰のベルトに差した道具のように自分が使うもの、というたとえです。相棒ではなく道具として扱うという宣言と読み取れます。Understand? は Do you understand? を縮めた念押しです。
ニールの返しは、相手の my belt を your belt に置き換えただけの復唱です。続く Got it. は「了解」「分かった」を表す短い返事で、口語では I got it. の主語を省いた形としてよく使われます。反論せずに受け取ったように見せながら、言葉をそのまま繰り返すだけの返事に、どこか他人事のような軽さが残るのが面白いところです。
「What if 〜?」で例外を突き、if で対案を包む
ライスは続けて、If で始まる条件を並べてルールを示します。
Rice: If I have a question, answer it.
(私が質問したら、答えて。)
Neal: What if I have a question?
(僕のほうに質問があったら?)
Rice: Then you run it by me.
(そのときは、私を通して。)White Collar Season1 Episode13 (Front Man)
If I have a question, answer it. は、If 節の条件に命令文を続けて指示する作りです。ニールはその主語を自分に入れ替え、What if 〜?(〜だったらどうなるの?)で想定外のケースを投げかけます。
run 〜 by … は「〜を…に伝えて確認してもらう」という句動詞で、Can I run something by you?(ちょっと聞いてもらえる?)のように職場の相談でもよく耳にします。
ニールは皮肉を一つ挟んだうえで、やり方そのものに対案を出します。
Neal: But I think it’ll work better if you treat me more like a partner.
(でも、もう少し相棒みたいに扱ってくれたほうが、うまくいくと思うんだけどな。)White Collar Season1 Episode13 (Front Man)
I think it’ll work better if 〜 は、相手を否定せず「〜したほうがうまくいくと思う」と条件の形で提案する言い回しです。more like a partner の like は「〜のように」を表す前置詞で、道具扱いへの反論をやんわりと包んでいます。この対案は、ピーターとのやり方を持ち出したところでさえぎられます。
「Permission to speak?」で口止めを逆手に取る
グレスの娘を捜す手伝いがしたいと言うニールに、ライスは自分が口を開けと言うまで keep your mouth shut(黙っていて)と告げます。その指示のあとにニールが口にするのが、次の一言です。
Neal: Permission to speak?
(発言してもよろしいですか?)White Collar Season1 Episode13 (Front Man)
Permission to speak? は、発言の許可を求める文を名詞句だけに縮めた問いかけです。上下関係のはっきりした場で許可を求める、かしこまった響きを持っています。黙れと言われた当人が、わざと規則どおりに許可を求めることで、指示の窮屈さを浮かび上がらせる皮肉として働いています。
続けてニールは、ウィルクスが現場にある物を使って痕跡を消す癖を挙げ、確かめる場所まで具体的に示します。ライスは brilliant ideas(すばらしいお考え)という皮肉で、ほかにもあるのかと問い返し、ニールは for now(今のところは)を添えて、それで全部だと答えます。最後に、ニールは車で待つよう言い渡されます。
まとめ|従うふりをしながら言葉で押し返す
宣言を復唱する Got it.、例外を突く What if 〜?、対案を包む I think it’ll work better if 〜、口止めを逆手に取る Permission to speak? を見てきました。従うふりをして押し返すニールの流儀が見えてきます。
次回も『ホワイトカラー』と一緒に、英語のやり取りを味わっていきましょう。
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