「for old times’ sake」の意味と使い方|『メンタリスト』S02E03で学ぶ英会話

「for old times' sake」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

何年も会っていなかった相手に頼みごとをするとき、「昔よく一緒にやりましたよね」と前置きを置きたくなること、ありますよね。

そんな場面で差し出される「for old times’ sake」は、過去に共有した時間そのものを理由にする一言です。『メンタリスト』シーズン2第3話の序盤、かつての上司ボスコがCBIのオフィスを訪れ、リズボンと数年ぶりに向き合うシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「for old times’ sake」の意味とニュアンス

for old times’ sake
意味:昔のよしみで、昔を懐かしんで

sake は「〜のために」を表す語で、現代の英語では for the sake of ~ という形で目的や利益を示すときに使われます。old times’ sake はその形が定型として固まったもので、直訳すれば「過ぎた日々のために」。共有した時間を理由に、何かを頼んだり、申し出たり、もう一度同じことをしたりするときに添えられます。

この表現の特徴は、感傷と実利が同居しているところです。旧友との一杯や同窓会の締めくくりのように懐かしさを味わう場面でも使えますし、「昔の関係があるのだから」と交渉の足がかりにする場面でも使えます。どちらの場合も、相手と過去を分け合っていることが前提になります。

対象は人間関係だけに限りません。もう乗らない自転車や、開かなくなった古いアルバムを手元に残しておく理由としても使われ、その場合は「懐かしさから」に近い響きになります。

【ここがポイント!】

  • 核は「過ぎた日々のために」、共有した時間そのものを理由にする一言
  • 頼みごとにも申し出にも乗せられる、感傷と実利の両方を運べる表現
  • 相手と過去を分け合っていることが前提。初対面には使えないのが押さえどころ

『メンタリスト』S02E03のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

殺害された被害者は、リズボンが市警の捜査官だった頃に自ら逮捕した相手でした。当時の上司だったボスコがCBIのオフィスに姿を見せ、二人は数年ぶりに顔を合わせます。事件の確認をひととおり終えたあと、ボスコが最後に置いていく一言に注目です。

Bosco: SO I HEARD ABOUT McTEER.
(マクティアーの件は聞いた)

Lisbon: WEIRD, HUH? I MEAN, HERE WE ARE AGAIN, AFTER HOW MANY YEARS?
(妙な感じですね。また同じ事件で顔を合わせるなんて、何年ぶりでしょう)

Bosco: TOO MANY. HAVE YOU SPOKEN TO DREYER? HE’D BE MY FAVORITE.
(長すぎるくらいだ。ドライヤーには話を聞いたか。俺なら真っ先に当たる)

Lisbon: I CALLED HIM. HE’S ON HIS WAY DOWN FROM MARIN.
(連絡済みです。マリンから向かっています)

Bosco: ALL RIGHT. YOU’RE ALL OVER IT. LET ME KNOW IF YOU NEED ANY HELP… FOR OLD TIMES’ SAKE.
(よし。抜かりないな。手が要るなら言ってくれ……昔のよしみで)

Lisbon: FOR OLD TIMES’ SAKE.
(昔のよしみで)

The Mentalist Season2 Episode3(Red Badge)

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シーン解説と心理考察

ボスコの申し出は、上司として指示を出すものでも、他部署の人間として距離を取るものでもありません。かつて同じ現場に立った者という位置から差し出されている点に、この一言の働きが表れています。事件の話は事務的に進むのに、最後の一言だけが温度を変えるという構成になっています。

リズボンが同じ言葉をそのまま返すのも見どころです。承諾でも辞退でもなく、相手の置いた位置をそのまま受け取ったという合図になっています。何年ぶりかも数えられない年月、その間に起きたことの多さ、そして今もう一度同じ事件の前に立っているという事実が、説明されないまま短い定型句に畳み込まれていると言えます。

言葉数が少ないほど関係の重さが伝わるという、このドラマらしい距離の描き方が効いた場面です。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

古いアルバムを二人で開いて、色あせた写真を指でたどる場面を思い浮かべてみましょう。ページの上にあるのは、今の関係でも将来の約束でもなく、過ぎてしまった時間だけです。その時間を理由に「もう一杯だけ」と杯を上げる。その動作がそのまま for old times’ sake の絵になります。

劇中の二人は、同じ言葉を投げ合うことでその絵を完成させました。片方が差し出し、もう片方が同じ言葉で受け取る。共有した過去がなければ成立しないという、この表現の性質が形になっています。何年ぶりかの再会を思い出すときに、この往復ごと引き出せるようにしておくと使いどころを外しません。

例文で覚える「for old times’ sake」

懐かしさを味わう場面にも、頼みごとの前置きにも乗せられるのがこの表現の幅です。三つの場面で見てみましょう。

Let’s grab a beer after work, for old times’ sake.
(仕事のあと、昔のよしみで一杯やろうよ)
久しぶりに再会した元同僚を誘う場面です。誘い文句の後ろに置くのが、いちばん自然な形になります。

She agreed to look over my résumé for old times’ sake.
(昔のよしみで、彼女が履歴書に目を通してくれた)
前職の先輩に転職の相談をした経緯を、誰かに話すときの一文です。第三者の行動の理由を説明する使い方もできます。

A: Could you put me in touch with him, just for old times’ sake?
B: Sure. It’s been a while, hasn’t it?
(A:昔のよしみで、彼に取り次いでもらえませんか)
(B:いいよ。ずいぶん久しぶりだね)
連絡が途絶えていた相手に頼みごとをする場面です。just を足すと「これだけは」と頼み込む調子が加わります。

あわせて覚えたい関連表現

like old times
(昔みたいだ)
今の状況が昔と似ていることを述べる表現です。for old times’ sake が行動の理由を示すのに対し、こちらは目の前の様子の描写に使います。

for the sake of ~
(〜のために)
目的や利益を幅広く示す汎用の形です。for old times’ sake はこの形が定型として固まったもので、対象が「過去の関係」に限られる点が違います。

catch up
(近況を語り合う)
再会したあとの行為そのものを指します。なぜ会うのかを言うのが for old times’ sake、会って何をするかを言うのが catch up という住み分けです。

Note|sake が残した、古い英語のかたち

for old times’ sake の sake は、単独で使われることがほとんどありません。この語は決まった形の中でだけ生き残っているという、少し珍しい存在です。

英語で sake が現れるのは、for the sake of ~(〜のために)、for God’s sake / for heaven’s sake(お願いだから、いいかげんにしてくれ)、for the sake of argument(議論のために仮に)、art for art’s sake(芸術のための芸術)といった顔ぶれです。並べてみると、どれも「〜のため」という一点で共通していながら、単語を入れ替えて自由に作れる形ではないことが分かります。for the sake of clarity のように新しく組める形もある一方、for old times’ sake は語順も所有格も固定されていて、for the sake of old times とは普通は言い換えません。所有格 + sake という古い並びがそのまま化石のように残っているためです。頼みごとの前置きが決まり文句としてしか出てこないのも、この固さが理由です。

つまり for old times’ sake は、意味を組み立てて理解する表現というより、ひとまとまりで覚えてしまうほうが早い一言だということになります。sake の部分を訳そうとせず、「昔のよしみで」という日本語ごと結びつけておけば、口から出るまでの距離が縮まります。

古い形が残っているのは、それだけ使われ続けてきた証でもあります。

まとめ|同じ言葉を返した二人

for old times’ sake は、共有した時間そのものを理由に差し出される一言です。頼みごとの前置きにも、懐かしさの表明にも使えますが、どちらの場合も相手と過去を分け合っていることが土台になります。

この一言を持っておくと、久しぶりの再会で何から切り出すか迷ったときに、関係の説明を省いて本題へ入れます。「昔一緒に働いていたから」と長く説明する代わりに、短い定型句ひとつで同じ距離感を作れるのが強みです。

劇中では、差し出された言葉をそのまま返すことで、二人の間にあるものが伝わりました。懐かしい相手の顔が浮かぶ場面と一緒に、表現の引き出しに加えてみてください。

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