「mend fences」の意味と使い方|『メンタリスト』S02E14で学ぶ英会話

「mend fences」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

一度こじれた相手と、どこから話を戻せばいいのか分からないまま時間だけが過ぎる。そんな場面が、職場にも家族にもあります。

そこで動き出すときに使えるのが「mend fences」で、関係を修復する、という意味です。『メンタリスト』シーズン2第14話の終盤、訴訟をちらつかせる相手とその弁護士に、リズボンが取引を持ちかけるCBIでの場面に登場します。どのように使われているのか、一緒に見ていきましょう。

目次

「mend fences」の意味とニュアンス

mend fences
意味:関係を修復する、仲直りする

こじれた関係を、壊れた境の柵を直すように立て直すことを表します。mend は繕う、fences は敷地を区切る柵。直す対象は物ではなく、その柵をはさんだ関係のほうです。

相手を示すときは mend fences with someone の形をとります。使える範囲が広いのが特徴で、家族や友人の仲直りから、部署間のわだかまり、企業や国家のあいだの関係改善まで届きます。報道では、対立していた相手を訪問する行為をこの句で表すことがよくあります。

含みとして残るのは、片側だけでは終わらないという点です。柵は両側の敷地に接しているので、一方だけが板を打ち直しても関係は立ち直りません。劇中でリズボンが同じ句を二度重ねるのも、その構造をそのまま条件にしているからです。仲直りの瞬間だけでなく、時間をかけた立て直しの過程を指せる点も、この表現の使い勝手のよさにつながっています。

【ここがポイント!】

  • 核は、隣家との境に立つ壊れた柵を打ち直す絵
  • 家族の仲直りから国家間の関係改善まで届く、射程の広い言い方
  • 片側だけでは柵が立たない。相手の意思とセットで語られるのがコツ

『メンタリスト』S02E14のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

事件が決着したあとのCBI。捜査の過程で乱暴な扱いを受けた男が、弁護士を連れて現れ、賠償を確信した様子で席を立とうとします。物語の核心には触れない範囲で言えば、ここでリズボンが別のカードを出し、話の向きが変わります。

Lawyer: Agent Cho, you’ve made my client a rich man.
(チョウ捜査官、おかげで依頼人は金持ちになりますよ)

Lisbon: One more thing. We have testimony that will lead to Mr. Reed being charged with several felonies.
(もう一点。リードさんが複数の重罪で起訴されることになる証言があります)

Lawyer: Never be admitted. Fruit of the poisonous tree.
(証拠採用されない。毒樹の果実だ)

Lisbon: Not even from the same forest. Our D.A. is willing to talk a deal with Mr. Reed in the interest of mending fences, if he’s interested in mending fences with us.
(同じ森の話ですらありません。うちの地方検事は、関係修復のためならリードさんと取引に応じる用意があります。そちらにもその気があるなら、ですが)

The Mentalist Season2 Episode14(Blood In, Blood Out)

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シーン解説と心理考察

勝ち誇っていた側から、主導権が静かに移る数十秒です。リズボンは声を張らず、One more thing. と前置きしてからカードを置く。順番の作り方だけで、退場しかけた相手を席に引き戻しています。

弁護士が持ち出した法律用語を、同じ比喩のまま言い返す切り返しにも余裕が表れています。専門用語で押し切ろうとする相手の土俵に乗ったうえで、その足場ごと外してみせる運び方です。

そして最後に、mending fences という穏やかな言葉が二度重ねられます。一度目は差し出す側の姿勢として、二度目は相手に求める条件として。同じ語を折り返すことで、柵は両側から直すものだという前提が、交渉の条件そのものに変わっています。やわらかい言葉で退路を塞ぐ手つきが、この場面の見どころと言えます。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

隣家との境に立つ木の柵が、一部だけ倒れている絵を思い浮かべてみましょう。倒れたままでは互いの敷地が踏み荒らされ、顔を合わせるたびに気まずくなります。だから両側から板を起こし、釘を打ち直す。mend は繕う、fences は境の柵で、直す対象は関係のほうです。

劇中のリズボンは、この言葉を二度重ねました。片側だけ打ち直しても柵は立たない、という当たり前の事実が、そのまま交渉条件になっています。

覚えるときは、柵の両側に一人ずつ立っている絵にしておくと確実です。誰と直すのかを示す with が自然に付いてきます。

例文で覚える「mend fences」

身内の仲直りから国際ニュースまで、同じ形のまま場面を移せます。距離の違う三つの場面で見ていきましょう。

He sent flowers to mend fences with his sister.
(彼は姉と仲直りするために花を贈った)
家族の揉め事のあとの歩み寄りを描く一文です。to 不定詞にすると、行動の目的として自然に収まります。

The two departments are slowly mending fences after the merger.
(合併のあと、二つの部署は少しずつ関係を修復している)
組織再編後の社内事情を説明する形です。進行形と slowly を組み合わせると、まだ途中であることまで伝わります。

A: Are you two still not speaking?
B: We’re mending fences. Slowly.
(A:まだ口をきいてないの?)
(B:修復中。ゆっくりね)
友人の近況を尋ねる会話です。一語で区切って足す言い方が、進み具合の遅さを軽い自嘲に変えています。

あわせて覚えたい関連表現

bury the hatchet
(争いをやめる、和解する)
敵対をやめる瞬間そのものに焦点があります。その後の立て直しまで含めて指せる今回のフレーズとは、見ている時間の長さが違います。

patch things up
(よりを戻す、繕う)
よりくだけた言い方で、恋人や友人同士に向きます。組織や国家のあいだにも使える今回のフレーズより、射程が狭くなります。

build bridges
(橋渡しをする)
もともと関係がなかった相手とつながりを作る場面で使います。壊れたものを直す今回のフレーズとは、出発点が逆です。

Note|隣人と柵が引き受けてきたもの

関係の修復を語るのに、なぜ柵なのか。この比喩の背景には、土地を柵で区切って暮らしてきた社会の事情があります。

広い土地に家が点在する暮らしでは、柵は所有の境界であると同時に、隣人との付き合い方そのものを引き受ける存在でした。柵が壊れれば家畜が隣の畑に入り、作物が荒らされ、賠償の話になる。だから柵の手入れを怠らないことが、そのまま隣人関係の手入れとして語られてきました。境界をあいまいにするのではなく、きちんと立て直すことが友好の条件になる、という発想です。この感覚は英語圏に広く残っていて、アメリカの政治報道では、対立していた相手や地元の支持者との関係を築き直す動きを fence-mending と呼ぶ用法が定着しています。議員が地元へ戻って支持者と会う行為を、自分の農地の柵を見回る姿に重ねた言い方だと説明されることが多いものの、由来の詳細には諸説あります。日本語の「垣根を取り払う」が距離を縮める方向を指すのに対し、こちらは境界をはっきり保ったまま関係を直す方向を向いている点も、並べてみると対照的です。

劇中のリズボンが差し出したのも、相手を懐に入れる提案ではありませんでした。立場も利害も違うまま、争いだけをやめる。柵を残したまま板を打ち直すという、この句の発想そのままの取引です。

いい関係は、境界をなくすことではなく直すことなのかもしれません。

まとめ|柵を残したまま、板を打ち直す

mend fences は、こじれた関係を、壊れた境の柵を直すように立て直す表現です。相手と一体になることではなく、境界を保ったまま行き来できる状態に戻すこと。そこにこの言い方の落ち着きがあります。

会話に入れると、仲直りの話を大げさにせずに切り出せます。家族にも、部署にも、取引先にも同じ形のまま使えて、with を添えれば相手を、進行形にすれば途中であることを示せる。ニュース英語でも頻繁に出会うので、読む力にもそのままつながります。

境界を消さずに、行き来だけを取り戻す。仲直りの形にもいろいろあるのですね。

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