海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
過去に恋愛関係があった相手を、長い説明なしに示したい場面があります。
そんなときに使われるのが「an old flame」です。恋愛感情を炎にたとえ、過去に愛情や恋愛・性的な関係があった相手を指します。現在の感情が冷めているか、まだ残っているかまでは決めません。犯罪捜査ドラマ『メンタリスト』シーズン3第21話から、捜査官リグスビーが実の父親に頭を下げて協力を求める場面を、一緒に見ていきましょう。
「an old flame」の意味とニュアンス
an old flame
意味:過去に愛情や恋愛・性的な関係があった相手
flame は「炎」。恋愛感情を燃える火にたとえる発想から、過去に愛情や恋愛・性的な関係があった相手を an old flame と呼びます。old が示すのは関係が過去にあることで、現在の感情が消えたことまで断定しません。
同じ「元恋人」でも、ex や ex-girlfriend より比喩的な言い方です。中心にあるのは、過去に愛情や恋愛・性的な関係があった相手という意味です。懐かしさがにじむこともありますが、今も未練があるか、気まずさがないかといった現在の感情までは、この表現だけでは決まりません。
flame(炎)という比喩があるため、文脈によっては過去の情熱を思わせることがあります。ただし、「今も火が残っている」という意味が必ず含まれるわけではありません。現在の関係や感情は、前後の説明から判断します。
an old flame of mine のように、an old flame of + 所有格の形が定型です。劇中の台詞もこの並びになっています。
【ここがポイント!】
- 中心義は「過去に愛情や恋愛・性的な関係があった相手」
- ex より比喩的だが、現在も未練があることまでは表現だけで決まらない
- 今の感情や関係は、前後の文脈から読み取る
『メンタリスト』S03E21のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
捜査が行き詰まり、捜査官リグスビーはヴァン・ペルトを伴って再び実父スティーヴンの家を訪れます。前回は手続きという建前がありましたが、今回ははっきりと協力を求める側です。父はすぐには応じず、息子に頭を下げさせようとします。折れたリグスビーの一言のあと、スティーヴンが情報源を示す発言にこのフレーズが登場します。
Rigsby: To show me you can. Show me you’re not just full of big talk.
(できることを見せるためだ。口先だけじゃないと証明してみせろ)Steven: Well, the least you could do is ask nice. I know you know how to ask nice.
(せめて丁寧に頼んだらどうだ。頼み方くらい知ってるはずだろう)Rigsby: Please, Dad. I need your help.
(頼む、父さん。力を貸してくれ)Steven: All right. We need to find a woman by the name of Rocket. Old flame of mine. She knows everything that goes on in Hangtree.
(いいだろう。ロケットと呼ばれてる女を探すんだ。俺の昔の女でな。ハングツリーで起きることは何でも知ってる)The Mentalist Season3 Episode21 (Like a Redheaded Stepchild)
シーン解説と心理考察
「頼む、父さん」の一言が、このやりとりの分岐点になっています。前回の訪問では手続きという盾があったぶん、リグスビーは対等な立場を保っていました。今回それを自分から手放すところに、捜査の行き詰まりの深さが表れています。
父の側は、その譲歩を引き出すまで動きません。頼み方くらい知っているだろう、という言い方には、息子が下手に出ることを楽しむ気配があります。協力を承諾した瞬間から、この父子の力関係は父の側に傾きます。貸しを作るところまで含めて、父の狙いどおりに運んだ場面と言えます。
そこで出てくる old flame は、スティーヴンにとってロケットが過去に恋愛関係にあった相手だと短く示します。現在も思いが残っているかどうかは台詞からは分かりません。ここで確実に言えるのは、過去の関係を手がかりに、土地の事情に通じた情報源として紹介していることです。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
恋愛感情を火にたとえる発想は、日本語の「燃え上がる恋」「熱が冷めた」と似ています。an old flame では、その比喩が過去の恋愛相手を指す名詞になっています。今も火が残るかどうかまで決める語ではない、と切り分けて覚えます。
シーンの絵で押さえるなら、協力要請のあとにスティーヴンが情報源を紹介し、その人物との関係を Old flame of mine. の一言で補う流れです。「以前の恋愛相手」という中心義と、of mine の語順を場面ごと押さえます。
あわせて rekindle an old flame(昔の恋を再び燃え上がらせる)という組み合わせを覚えておくと、火の比喩が一本の線でつながります。kindle は火をつける動作、re- が付いて「もう一度」。火の絵のまま最後まで押し通せる表現です。
例文で覚える「an old flame」
過去の関係を短く示せる言い方で、雑談にも込み入った説明にも現れます。三つの場面で見ていきましょう。
She ran into an old flame at the reunion last weekend.
(彼女は先週末の同窓会で昔の恋人と鉢合わせした)
友人の近況を人に伝える雑談です。run into と組み合わせると、偶然の再会という定番の場面になります。
An old flame of hers called out of the blue after fifteen years.
(彼女の昔の恋人から、十五年ぶりに突然電話がかかってきた)
思いがけない出来事を人に話す場面です。an old flame of + 所有格という語順が定型で、劇中の old flame of mine と同じ形です。
A: Who was that on the phone?
B: Just an old flame. We haven’t spoken in years.
(A:今の電話、誰から)
(B:昔の彼女だよ。もう何年も話してなかった)
相手の詮索をやわらかく打ち消す場面です。just を添えると、過去の関係にすぎないという線引きが自然に伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
an ex
(元恋人、元配偶者)
もっとも一般的で中立的な言い方です。以前の恋人や配偶者だったという関係を直接示すのに対し、an old flame は火の比喩を含む言い方です。
a childhood sweetheart
(幼なじみの恋人)
出会った時期が子ども時代であることを示します。時期を問わず過去の恋を指す an old flame に対し、こちらは関係の始まりの早さに焦点があります。
carry a torch for someone
(今も片思いを続けている)
同じ火の比喩ですが、こちらは今も思いを寄せ続けている状態を指します。an old flame は過去の関係を示すだけで現在の感情を決めないため、必要なら carry a torch のような別表現で今の思いを示します。
Note|火の一生で恋を語り分ける
英語で恋愛を語る言い回しを集めると、火にまつわる語が驚くほど並びます。しかも、ばらばらに散らばっているのではなく、火が生まれてから消えるまでの順番に沿って並べ直すことができます。
始まりにあるのが spark です。There was a spark between them.(二人のあいだに何かが走った)のように、出会った瞬間に生まれる小さな火花を指します。まだ燃え上がってはいない、点火の一瞬です。
そこから火が育つと flame になります。an old flame では、この flame が過去の恋愛・性的な関係にあった相手を指します。関係の長さや現在の感情までは語そのものに含まれないため、具体的な温度は文脈に委ねられます。
燃え続けている状態を担うのが carry a torch for someone です。torch は手に持って運ぶ火。相手のもとを離れてもなお、自分の側で火を絶やさずにいるという絵になります。報われないまま続く感情を指すことが多い表現です。
そして燃え尽きた先にあるのが burn out です。関係にも仕事にも使われますが、もとは燃料が尽きて火が消える状態を指します。
こうして並べると、英語が恋愛を火にたとえる例の多さが見えてきます。ただし、an old flame を spark、torch、burn out のあいだの固定した段階として読む必要はありません。確実なのは関係が過去にあるという点で、今も思いがあるかどうかは別の言葉や文脈が示します。
火をどの段階で捉えるかで、関係の温度まで言い分けている表現群と言えます。
まとめ|炎という語が残しているもの
an old flame は、過去に愛情や恋愛・性的な関係があった相手を指す比喩的な言い方です。ex より情景を伴う語ですが、懐かしさや未練が必ずあるとは限りません。話し手の現在の温度は、前後の文脈と合わせて読み取ります。
会話では、過去の相手を長い説明なしに示せます。軽い雑談にも複雑な関係の説明にも現れ得るため、この語だけで秘密の重さや現在の気持ちを決めつけないことが大切です。
火に関する関連表現と並べると意味の違いを整理できます。an old flame の中心は過去の関係であり、現在の感情は文脈が決める、と切り分けて覚えます。


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