海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
言い分をぶつけに行ったはずが、話しているうちに毒気が抜けて、結局そのまま一緒に飲んで終わってしまう。そんな夜が、ドラマには時々あります。
その「問題を本人と率直に話す」ことを英語で言うと「have it out with him」になります。怒りの原因になったことを相手と話し、解決を試みる言い方です。『メンタリスト』シーズン4第2話の中盤、被害者の同僚トレーナーが殺害前夜の訪問理由を問い詰められるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「have it out with someone」の意味とニュアンス
have it out with someone
意味:不満や問題を相手と率直に話し合う
have it out with someone は、相手の行為に怒りや不満があり、その問題を本人と率直に話して解決を試みるときの慣用句です。it が具体的に何を指すかは、前後の文脈で決まります。
口論そのものより、問題を表に出して相手と向き合う点が中心です。以前から抱えていた不満にも、その場で生じた問題にも使えます。finally を添えれば先送りしていたことを示せますが、その長さはフレーズだけでは決まりません。
相手が文脈から明らかなときは with 以下を省いて、They had it out. のように言うこともできます。話し合いの結果として関係が良くなることも、決裂することもあります。解決を目指す含みはあっても、実際に解決したことまでは保証しません。
【ここがポイント!】
- 怒りや不満の原因になった問題を、本人と率直に話す表現
- 解決を試みる含みはあるが、実際の決着までは保証しない
- 長い前史は必須ではなく、finally などを添えたときに先送りの時間が表れる
『メンタリスト』S04E02のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
被害者は同じジムで働くトレーナーから顧客を次々に奪っていました。同僚のマイクは、殺害前夜に被害者宅の前で車に長時間とどまっていたところを住民に通報されています。その事実を突きつけられた彼が、その夜の目的をどう言い表すのか。捜査官の言葉と本人の言い直しの差が、この場面の聞きどころです。
CBI agent: Right, so you went to Markus’ house to confront him.
(それで、マーカスの家に文句を言いに行った。)Mike: And I wanted to have it out with him.
(ああ、はっきりさせたかったんだ。)CBI agent: What happened?
(それでどうなった。)Mike: Nothing. He apologized. Said that he took the client ‘cause he needed the cash.
(何も。あいつは謝った。金が必要だったから顧客を取ったって。)The Mentalist Season4 Episode2 (赤い手帳)
シーン解説と心理考察
注目したいのは、同じ行動に二つの名前がついている点です。捜査官は confront、つまり本人と向き合ったと表現し、マイクは have it out with him と言い直します。後者は、怒りの原因になった問題を話して解決しようとした、という目的まで示します。
マイクの側から見れば、これは自己弁護でもあります。殺害前夜に被害者宅にいたという事実は動きません。動かせるのは、その目的の描き方だけです。しかも彼の供述では、その夜は口論にすらならず二人で飲んで終わっています。出し切るつもりで出向いて、何も出さずに帰った。そのちぐはぐさが、この一言の背後ににじむ場面です。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
閉じた箱に入っていた問題を、相手との間のテーブルに出す場面を思い浮かべてみましょう。have it out は、問題を隠したままにせず、本人と向き合って話す動きとして覚えられます。箱が空になるかどうか、つまり解決するかどうかは、その後の会話次第です。
ドラマの場面と結びつけるなら、捜査官の confront とマイクの have it out という言い直しの往復を思い出してみましょう。本人に向き合う行為として捉えるか、問題を話して解決を試みる目的まで示すか。同じ行動をどちらの言葉で呼ぶかで、話し手の立ち位置まで見えてきます。
例文で覚える「have it out with someone」
不満の原因を、本人との会話に持ち出す。その場面で使われる表現です。三つの使い方を見ていきましょう。
I finally had it out with my brother about the money he owes me.
(借金の件で、ようやく兄とはっきり話し合いました。)
家族との揉め事を友人に報告する場面です。finally を添えると、その時まで話を持ち越していたことが伝わります。
I don’t want to have it out with him at the office — let’s talk after work.
(会社で彼と言い合いたくはありません。仕事のあとにしましょう。)
衝突の場所を選ぶ場面です。職場を避けたいという判断から、この表現がどれくらいの激しさを想定しているかが逆に見えてきます。
A: You’ve been quiet with Dana all week.
B: I know. I think we need to have it out and just move on.
(A:今週ずっとダナと気まずいままだね。)
(B:わかってる。一度きちんと言い合って、そこから前に進んだほうがいい気がする。)
友人同士で人間関係を相談する場面です。with 以下を省いても、相手が文脈で明らかなら自然に通じます。
あわせて覚えたい関連表現
confront someone
(面と向かって問いただす)
問題について本人と向き合うことに焦点があります。have it out はそこから一歩進み、怒りの原因を話して解決を試みる点を前に出します。どちらが激しいかは文脈次第です。
hash something out
(議論して細部を詰める)
意見の違いや細部を話し合って合意を目指す表現です。会議や交渉でよく使われますが、感情の有無を固定する語ではありません。
clear the air
(わだかまりを解消する)
誤解や緊張を取り除くことに焦点があります。have it out の後にそうなる場合もありますが、必ず同じ順序をたどるわけではありません。
Note|似た表現を、目的の違いで見分ける
日本語にすると「話し合う」や「向き合う」に収まりやすい四つの表現があります。confront、have it out with、hash out、clear the air です。境界は重なりますが、何を前面に出すかが異なります。
confront は問題や相手と正面から向き合う動作、have it out with は怒りの原因を本人と話して解決を試みること、hash out は違いを詳しく話して合意へ近づけること、clear the air は誤解や緊張を取り除くことに焦点があります。感情の強さや最終的な決着は、それぞれの語だけでは固定されません。
劇中では、捜査官が confront とまとめた行動を、マイクが have it out with と言い直します。単に向き合ったのではなく、顧客を奪われた問題を本人と話そうとした、と目的を足しているわけです。
四つを固定順位に並べず目的で見分けると、英語のやりとりで誰が何をしようとしているのかが読み取りやすくなります。
同じ「話し合う」でも、測っているものが違うのが面白いところです。
まとめ|不満を本人に、どう持ち出すか
have it out with someone が言い当てているのは、怒りや不満の原因になった問題を本人と率直に話し、解決を試みることです。実際に区切りがつくかどうかは、その後の会話に委ねられます。
会話の中でこの言い方に出会ったら、何について怒っているのか、誰と話すのか、解決を目指しているのかを確認します。長く先送りしていた場合にも、その場で生じた問題を持ち出す場合にも使えます。
不満の原因を本人と率直に話すための、そんな一言です。


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