「cut it close」の意味と使い方|『ホワイトカラー』S01E11で学ぶ英会話

「cut it close」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

電車の発車ベルが鳴り響く中、ホームを全力で走ってなんとか滑り込みで間に合った、というような際どい経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

そんな綱渡りの瞬間にぴったりのcut it closeを、『ホワイトカラー』シーズン1第11話の終盤、ジェイドの彫像を巡る囮捜査の現場に思わぬ人物が割り込み、ニールが間一髪で窮地を切り抜けた場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「cut it close」の意味とニュアンス

cut it close
意味:時間や余裕をぎりぎりまで切り詰める、危ういところで間に合わせる

cut it closeは、時間や安全マージンをほとんど残さないまま物事を進めた結果、かろうじて間に合った、あるいは危険を免れたという状況を表す口語表現です。動詞cutには「切り詰める」という意味があり、itはその場の状況全体を指すぼんやりとした目的語、closeは「際どいところまで接近して」という副詞的な用法です。つまり「余白をぎりぎりまで切り詰める」という物理的なイメージが、そのまま時間的・状況的な余裕のなさを表す比喩に転用されている表現だと考えられます。似た響きを持つa close callという表現もありますが、そちらは「危険を免れた結果」に焦点が当たるのに対し、cut it closeは「そこに至るまでの余裕のなさ」そのものを描写する点でニュアンスが異なります。締め切りに間に合わせる、乗り物に間に合う、危険な状況をすり抜けるなど、時間・安全・予算といった限られた資源を扱うあらゆる場面で使われる、応用範囲の広い表現です。

【ここがポイント!】

  • 「切り詰める(cut)」+「際どく近い(close)」の組み合わせが核となるイメージ
  • 危機的な状況にも日常のちょっとした遅刻にも使える、幅の広い表現
  • 過去の出来事を語るときも現在形と同じ形のまま使う点に注意するのがコツ

『ホワイトカラー』S01E11のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ジェイドの彫像を巡る囮取引の最中、標的の女性に近づいていたニールのもとへ、姿を消していたはずの元恋人アレックスが予期せず割り込み、現場は一気に騒然となります。周囲を巻き込む乱闘騒ぎの末に、かろうじてニールを救出したピーターは、危なげなその一幕を軽くからかいながら、思いがけない乱入者の正体を口にします。

Peter: You see where she went?
(彼女がどこに消えたか、見えたか?)

Neal: No, I was a little preoccupied with the guys closing in to kill me. Cutting it a little close there, huh?
(いや、僕を殺そうと迫ってくる連中の相手をしていて、それどころじゃなかったんだ。けっこうギリギリだったよね。)

Peter: Yeah, we weren’t expecting your girlfriend to show up.
(ああ、まさか君の元恋人が現れるとは思ってなかったからな。)

White Collar Season1 Episode11 (Home Invasion)

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シーン解説と心理考察

囮捜査という緊張感の張り詰めた状況の中、計算外の存在であるアレックスが割り込んだことで、周到に組み立てられていたはずの計画は一瞬で瓦解しかけます。ニール自身が「殺されそうになっていた」と振り返る発言からも、この乱入がどれほど危険な綱渡りだったかが伝わってきます。それでいて本人はあくまで軽い調子でこの状況を語り、ピーターの側もからかい混じりに応じる様子から、二人の間に積み重ねられてきた信頼関係の厚みがにじみます。深刻な事態を深刻なままにしない掛け合いは、緊迫した場面ほどコンビの呼吸のよさを際立たせる仕掛けとして機能しているとも言えます。アレックスという想定外の変数が、計算し尽くしたはずのニールの仕事に生身の過去を持ち込んだ瞬間として、シーン全体に厚みを与えています。

『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ

cut it closeを覚えるときは、余白ぎりぎりのラインまで紙を切り詰めるハサミの動きをイメージしてみましょう。あと少しでも刃がずれれば、切りたい形そのものが崩れてしまう、そんな緊張感のある「際どい一線」の感覚です。ニールが間一髪で窮地を切り抜けた場面のように、計画と現実の間にほとんど隙間が残っていない状態を思い浮かべると、cutとcloseという2つの単語が持つ物理的な緊迫感が、そのまま記憶に残ります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「cut it close」

cut it closeは、時間・締め切り・危険の回避など、さまざまな「余裕のなさ」を語る場面で幅広く使えます。3つの例文でその使い方を見ていきましょう。

I cut it close this morning and almost missed my train.
(今朝はぎりぎりで、もう少しで電車に乗り遅れるところだった。)
通勤や通学で時間に追われた朝の一場面です。日常のちょっとした失敗談を話すときに使いやすい、気取らない言い回しです。

We cut it close with the deadline, but we submitted the report on time.
(締め切りにはかなりぎりぎりだったが、報告書は時間内に提出できた。)
仕事の場面で、余裕のないスケジュールをなんとか乗り切ったことを、少し安堵まじりに伝える言い方です。

A: Did you make it to the airport in time?
B: Barely. We cut it close because of the traffic.
(A:空港には間に合った?)
(B:かろうじてね。渋滞でかなりぎりぎりだったよ。)
待ち合わせや旅行の場面で使える、友人同士のカジュアルな会話です。「かろうじて」という日本語のニュアンスにも近い、テンポのよい表現です。

あわせて覚えたい関連表現

a close call
(危機一髪、際どい状況)
cut it closeが余裕のなさそのものを描写するのに対し、a close callは危険を免れた結果に焦点を当てた名詞表現です。

in the nick of time
(まさにぎりぎりのタイミングで)
cut it closeが行動全体の際どさを表すのに対し、in the nick of timeは「その瞬間」の切迫感をより強調する言い方です。

barely make it
(かろうじて間に合う、なんとか成功する)
cut it closeが余裕のなさへの言及であるのに対し、barely make itは結果として「間に合った」ことそのものに焦点を当てた表現です。

Note|「ギリギリ」が生む集中力、締め切り効果という心理

cut it closeという表現が描き出す、時間の余裕がほとんどない状態には、心理学的にも興味深い側面があります。

締め切りが迫った状況で急に集中力が高まり、普段よりも効率よく作業が進んだ経験がある人は少なくありません。心理学では、適度な緊張やプレッシャーが集中力やパフォーマンスを引き上げる一方、プレッシャーが強すぎるとかえって能力が発揮できなくなるという関係性が知られています。締め切りという「もう後がない」感覚は、この緊張感を一気に高める装置として働き、直前まで手をつけられなかった作業に、驚くほどの集中力をもたらすことがあります。同時に、余裕を切り詰めすぎることは、判断ミスや見落としのリスクも高めます。ドラマの中でニールが直面した場面も、まさにこの両面を体現していました。計算と機転で危機を切り抜けた一方、想定外の乱入という「読み違い」が、余裕のなさゆえのリスクとして表面化した瞬間でもあります。土壇場での集中力は、追い詰められて初めて引き出される種類の力であり、平時にはなかなか姿を見せません。

cut it closeという一言は、こうした「土壇場の集中力」と「土壇場のリスク」という、相反する二つの側面を同時に抱えた表現だと捉えると、単なる時間表現以上の奥行きが見えてきます。何かをぎりぎりまで切り詰めるという行為には、人の集中力を引き出す力と、思わぬ綻びを生む危うさが、常に背中合わせで存在しています。

土壇場の集中力は、諸刃の剣でもあるのかもしれません。

まとめ|土壇場の一言で伝える際どさ

cut it closeは、時間や余裕をぎりぎりまで切り詰めて、かろうじて間に合わせたり危険を免れたりする状況を、一言で言い表す表現です。締め切り前の駆け込みから、間一髪の危機回避まで、幅広い場面に対応できる汎用性の高さが魅力です。ドラマの中でニールが軽い調子で語った一言にも、緊迫した状況をあえて笑いに変える二人の呼吸のよさが表れていました。余裕のなさをただ深刻に語るのではなく、少しの軽さを添えて振り返る、そんな際どい瞬間の語り方として、この表現を自分の会話のレパートリーに加えてみてくださいね。

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