海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第12話に登場する、気まずさを抱えたまま相手に謝るときの言い方です。ハワードを傷つける言葉を口にしたペニーが、レナードに説得されて謝りに向かう場面には、距離を置いた言い回しで切り出す謝罪の型と、それを受け止める側のそっけない返しが対照的に描かれています。
「I’ve been informed that you have feelings.」という一風変わった前置きから見ていきます。
「情報として伝えられた」と、距離を置いて切り出す謝罪
ペニーの辛辣な一言で落ち込んだハワードは、部屋にこもったまま出てこなくなってしまいます。レナードに説得される形で、ペニーは気の進まないまま謝りに向かうことになりました。気まずさを抱えながら、ペニーは謝罪の言葉を切り出します。
Penny: Okay, look. Howard, I just want to apologize for some things that I have said. About you. I’ve been informed that you have feelings. And apparently, I have hurt them. So, I’m sorry. Howard.
(ねえ、聞いて。ハワード、いくつか言ったことについて謝りたいの。あなたについて言ったことよ。あなたにも感情があるんだって聞かされたわ。そして、どうやら私、それを傷つけてしまったみたい。だから、ごめんなさい、ハワード。)TBBT Season2 Episode12 (The Killer Robot Instability)
I just want to apologize for 〜 は、これから謝る内容をあらかじめ切り出しておく前置きの言い方です。本題に入る前に「何について謝るのか」を一度言葉にすることで、話の見通しを立ててから謝罪に進んでいます。続く I’ve been informed that you have feelings. は、「あなたに感情があると聞かされた」という、自分の実感ではなく伝聞の形を借りた距離のある言い回しです。素直に「傷つけてごめん」と言うのではなく、一枚クッションを挟んだような回りくどさが、気まずさをそのまま映しています。
And apparently, I have hurt them. の apparently(どうやら)も同じ方向の言葉で、自分の行為の結果を断定せず、伝え聞いた話であるかのように差し出しています。最後に So, I’m sorry, Howard. と相手の名前を添えて締めくくる形も、あらたまった謝罪らしい型です。「傷つけてごめん」とだけ言えばすむところを、あらかじめ内容を切り出し、伝聞のクッションを挟み、名前で締める、と段取りを踏んで組み立てているところに、気の進まなさがそのまま表れています。
きっぱり切り上げる返しと、促されて折れる謝り方
回りくどい謝罪を受け取ったハワードの反応は、素っ気ないものでした。
Howard: Fine, you’re sorry. Good-bye.
(わかった、謝ったんだな。じゃあな。)TBBT Season2 Episode12 (The Killer Robot Instability)
Fine, you’re sorry. は、謝罪の中身を吟味せずに「わかった、もう十分だ」と会話を打ち切る返し方です。相手の謝罪の言葉をそのまま繰り返して受け止めたことにし、Good-bye. で話を終わらせています。丁寧に言葉を選んで謝ったペニーに対し、ハワードの返しはあっさりしすぎるほど短く、二人の間の温度差がそのまま表れています。
同じエピソードの終盤、今度はペニー自身が謝る側に回る場面があります。壊れたロボットを大げさに悲しむシェルドンに対し、ペニーが「ただのおもちゃのロボットでしょう」という意味の言葉をつい口にしてしまい、レナードにたしなめられての一幕です。
Leonard: Penny.
(ペニー。)Penny: I know, I got it. Sheldon, I’m sorry.
(わかってる、わかってるって。シェルドン、ごめんなさい。)TBBT Season2 Episode12 (The Killer Robot Instability)
I know, I got it. は「わかってる、わかってるって」と、促されたことへの了解を先に示してから本題に入る言い方です。ハワードへの回りくどい謝罪と並べると、名前を添えて短く終える型は同じでも、切り出し方の丁寧さと勢いの差がはっきり見えてきます。
前置きに言葉を尽くす謝罪もあれば、促されてその場で片づけるだけの謝罪もある、その振れ幅がこの一話には収まっています。どちらの場面も、謝る側が自分から進んで謝ろうとしているわけではないところが共通しており、気まずさを抱えたまま謝罪の言葉を口にするときの言い回しには、こうしたぎこちなさが自然とにじみ出るようです。
まとめ|謝り方にも、受け止め方にも型がある
I just want to apologize for、I’ve been informed that you have feelings、Fine, you’re sorry、I know, I got it。気まずさを抱えたまま謝る言い方と、それを受け止める側の返し方には、いくつもの型があります。回りくどく切り出す謝罪と、促されてすぐに折れる謝罪を比べてみると、同じ「ごめんなさい」でも表情が変わって見えてきます。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話を通して、英語表現の型を見ていきましょう。
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