海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
家族の中で、誰が生活費を稼いでいるのかという話題が、思いがけない形で会話に上ってしまった経験はありませんか。
そんな場面にぴったりなのが「bring home the bacon」という表現です。『モダンファミリー』シーズン1第20話の前半、実父ジェイがミッチェルに持ちかけた仕事の話をめぐって、ジェイ・ミッチェル・キャメロンの3人が言葉を交わす場面から、一緒に見ていきましょう。
「bring home the bacon」の意味とニュアンス
bring home the bacon
意味:一家の生活費を稼ぐ、家計を支える
bring home the baconは、家族が暮らしていくのに十分な収入を稼いでくることを表す口語表現です。直訳すると「ベーコンを家に持ち帰る」となりますが、実際の意味は「誰が家計の担い手であるか」を語るときに使われる、暮らし全体に関わる言い回しです。
家計を支えている本人が自分の役割を説明するときにも、周囲の人がその人を評して使うときにも用いられ、共働き家庭が増えた現在では、性別を問わずどちらのパートナーについても自然に使われる表現になっています。硬いビジネス用語ではなく、家庭内の会話や友人同士の雑談の中で気軽に登場する言い回しである点も特徴です。
金額の多寡を細かく語るのではなく、「暮らしを支えるだけの収入源になっている」という事実そのものを伝える言い回しなので、給料の話を具体的に持ち出しにくい場面でも使いやすいという利点があります。誰か一人が家計を支えている状況を説明したいとき、遠回しな言い方をせずに済む便利さも、この表現がよく使われる理由のひとつです。
【ここがポイント!】
- 「bring home the bacon」の核は、家族の生活を支えるだけの収入を「持ち帰る」というイメージ
- 誰か一方が家計を支えている状況を、軽い調子で表現できる幅の広さがある
- 自分の役割を語るときも、相手の役割を評するときも使える一言
『モダンファミリー』S01E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジェイがミッチェルにゴルフ仲間の仕事話を持ちかけたところ、ミッチェルが言葉を濁す一方で、キャメロンが自分たちの現在の役割分担をはっきり口にする場面です。父親らしい世話焼きと、パートナーの意外な言い返しに注目です。
Jay: You two should talk. It could mean a job for you.
(お前ら、話してみろよ。仕事の話につながるかもしれないぞ。)Mitchell: Oh, thanks, Dad, but I’m- I’m not really looking for anything right now. But-
(ああ、ありがとう父さん。でも、今はそんなに仕事を探しているわけじゃ……でも——)Cameron: Yeah, that’s right. With me bringing home the bacon, Mitchell doesn’t have to rush into anything.
(そう、その通り。僕が生活費を稼いでいるから、ミッチェルは急いで決める必要はないんだ。)Jay: Yeah, I know you have all that greeting card “screw you” money, but, uh, talk to the guy? He’s expecting your call in the morning.
(ああ、グリーティングカードの「くたばれ」マネーがあるのは知ってるが、まあその、あいつと話してみろ? 朝には電話を待ってるそうだぞ。)Mitchell: Dad, I appreciate it, but in the future-
(父さん、ありがたいけど、これからは——)Modern Family Season1 Episode20 (Benched)
シーン解説と心理考察
ジェイが「話してみろよ、仕事の話につながるかもしれないぞ」と持ちかけると、ミッチェルは「今はそんなに探しているわけじゃ」と言葉を濁します。すかさずキャメロンが割って入り、「僕が生活費を稼いでいるから」と現在の役割分担をはっきり言い切る様子には、家庭内での立ち位置への確かな自負が表れています。
ジェイは「グリーティングカードの『くたばれ』マネー」とキャメロンの収入源をからかいながらも、結局は仕事の話をミッチェルに勧め続けます。息子の将来を気にかける父親らしい世話焼きと、パートナーの生き方を茶化さずにはいられない性分が、同じやり取りの中に同居している場面です。ミッチェルが最後まで言い切れずに言葉を重ねる様子からは、父親の申し出を無下にはできない気まずさもにじみます。
キャメロンの発言がやや先回りする形になっている点も見逃せません。ミッチェルがまだ答えを出しきっていない段階で、家庭内の役割分担をはっきり口にすることで、暗にジェイの誘いを退けようとする意図が透けて見えます。父と子の会話に割って入るタイミングの早さそのものが、キャメロンなりの家族への気遣いとして機能している場面です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
家に持ち帰った食材で食卓を整える、昔ながらの光景を思い浮かべてみましょう。誰かが外で稼いできたものが、そのまま家族の暮らしを支えるという単純な構図が、bring home the baconという表現の芯にあります。
キャメロンが自分の役割を迷いなく言い切った場面も、まさにこの構図をそのまま言葉にしたものでした。誰が食卓を支えているかを一言で示す表現として覚えておくと、家庭や暮らしの話題が出たときに自然と口をついて出てくるはずです。
例文で覚える「bring home the bacon」
家庭内の役割分担から日々の稼ぎの話まで、幅広く使えるbring home the baconを、3つの例文で確認していきましょう。
She’s been bringing home the bacon since her husband started grad school.
(夫が大学院に通い始めてから、彼女が一家の稼ぎ手になっている。)
夫婦の役割が入れ替わった家庭の状況を説明する場面です。since以下で「いつから」を添えると、変化のきっかけが伝わりやすくなります。
He worked two jobs just to bring home the bacon for his family.
(彼は家族の生活費を稼ぐために、2つの仕事を掛け持ちしていた。)
生活のために苦労して働く人物を語る場面です。two jobsという具体的な情報が、負担の大きさを印象づけています。
A: Who’s paying for the trip?
B: I’m bringing home the bacon this year, so it’s on me.
(A:旅行代は誰が払うの?)
(B:今年は僕が稼いでいるから、僕のおごりだよ。)
友人同士でお金の話をする軽いやり取りです。it’s on meを添えることで、自分がまとめて支払う意思がはっきり伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
breadwinner
(一家の大黒柱、稼ぎ手)
bring home the baconが「稼ぐ」という行為そのものを表す動詞句であるのに対し、breadwinnerはその役割を担う人自身を指す名詞です。
make ends meet
(何とか生活を成り立たせる)
bring home the baconが「稼いでくる」ことに重点を置くのに対し、make ends meetは収入と支出のバランスを取ることに重点があります。
pull one’s weight
(自分の役割・分担をきちんと果たす)
bring home the baconは収入面に限定された表現ですが、pull one’s weightは家事や仕事なども含めた、より広い役割分担について使える表現です。
Note|稼ぎ手という役割が、時代とともにどう受け止められてきたか
bring home the baconという表現は、家庭の中で誰が生活費を稼いでいるかを語るときに使われますが、その「誰が」の部分が指す姿は、時代によって大きく変わってきました。
かつては一家の稼ぎ手といえば夫を指すことが当然とされる時代が長く続いていましたが、共働き世帯が一般的になるにつれて、妻がbring home the baconと表現される場面も珍しくなくなっています。どちらか一方だけが家計を支える形もあれば、二人で分担して支える形もあり、bring home the baconという表現自体は、その内訳を問わずに使える柔軟さを持っています。誰が稼いでいるかを軽い調子で語れる言い回しだからこそ、家庭の形が多様化した今の時代にも自然に馴染んでいると言えます。
同性カップルや、パートナーの一方が家事や育児を担うことで役割を分け合う世帯が増えたことも、この表現の背景として無視できません。誰が「持ち帰る」側で誰が支える側かという組み合わせは家ごとに異なりますが、その組み合わせがどうであれ、bring home the baconという一言で状況をさらっと説明できる点は変わりません。役割の呼び方そのものが中立的だからこそ、多様な形の暮らしにそのまま当てはめて使えるのだと言えます。
今回のシーンでキャメロンが迷いなく言い切った背景にも、この表現が持つ柔軟さが表れています。稼ぎ手が誰であるかを特別視せず、事実として淡々と語れる一言だからこそ、家庭内の会話にすっと溶け込みます。
役割の形が変わっても、この一言は変わらず使われ続けています。
まとめ|「一家の大黒柱」を軽やかに言い表す一言
bring home the baconは、家族の生活を支えるだけの収入を稼いでいる状態を表す口語表現です。
誰が家計を支えているかという、家庭ではありふれた話題を、堅苦しくならずに言い表せる一言として会話に馴染みます。
ジェイの世話焼きとキャメロンの迷いのない一言が交錯する今回のシーンのように、家族それぞれの立ち位置を軽やかに言葉にする場面で、表現の引き出しに加えてみてください。


コメント