海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
家族の誰かがそわそわと落ち着かない様子を見せていると、つい茶化したくなるような瞬間が、ドラマには時々あります。
そんな瞬間にぴったりの「be on the lam」を、『モダンファミリー』シーズン1第20話の中盤、様子のおかしい娘アレックスをからかう母クレアの一言から、一緒に見ていきましょう。
「be on the lam」の意味とニュアンス
be on the lam
意味:警察などから逃亡中である
be on the lamは、犯罪者が警察などの追跡を逃れて逃亡している状態を表す口語表現です。lamという単語自体は「逃亡する」という意味の俗語で、be on the lamの形で「逃亡中の状態にある」ことを表します。
実際に犯罪に関わっていなくても、誰かを避けてこそこそしている様子や、周囲の視線を気にして落ち着かない様子を冗談交じりに表現するときにも使われます。深刻な場面よりも、むしろ軽い調子でからかう場面で耳にすることが多い表現です。
たとえば、誰かに借りていたものをまだ返していない相手や、約束をうっかり忘れていた友人に対して、「まるでbe on the lamしているみたい」と冗談めかして声をかける使い方も自然です。実際に追われているわけではないと分かっているからこそ、あえて大げさな言葉を選ぶことで場が和む、という使われ方も少なくありません。
【ここがポイント!】
- 「be on the lam」の核は、追われる立場でこそこそ逃げ回っているイメージ
- 実際の犯罪の話にも、冗談めかしたからかいにも使える幅の広さがある
- 落ち着かない様子・そわそわした態度を茶化すときに便利な一言
『モダンファミリー』S01E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
きょろきょろと周囲を気にする娘アレックスの様子に気づいた母クレアが、思わずからかいの言葉をかける場面です。とぼけようとするアレックスとの、母娘らしい温度差に注目です。
Claire: How long you been on the lam?
(いつから逃亡生活してるの?)Alex: What?
(何のこと?)Claire: Honey, you are looking around like the feds are after you.
(ねえ、まるで警察に追われてるみたいにキョロキョロしてるじゃない。)Alex: No, I’m not. Let’s just get this over with.
(別に、そんなことないし。さっさと済ませようよ。)Claire: Oh. All right.
(あら。分かったわよ。)Modern Family Season1 Episode20 (Benched)
シーン解説と心理考察
クレアが「いつから逃亡生活してるの?」と切り出すと、アレックスは「何のこと?」ととぼけます。「まるで警察に追われてるみたいにキョロキョロしてる」と畳みかけるクレアに対し、アレックスは「別に、そんなことないし」とそっけなく返し、さっさと話を切り上げようとします。
周囲の視線を気にして落ち着かない娘の様子を、大げさな比喩でからかうクレアの言葉選びには、観察力の鋭い母親らしさが表れています。対するアレックスのはぐらかし方も、思春期らしい気まずさの隠し方として見どころです。最後にクレアがそれ以上追及せず「分かったわよ」と引いた様子からは、からかいながらも深追いはしない母娘の距離感が伝わってきます。
クレアが娘の様子をすぐに察知しながらも、あえて深刻に問い詰めず、冗談めかした言葉に変えて指摘している点も見逃せません。強い言葉で問い詰めれば意固地になりそうなアレックスの性格を見越したうえでの、母親らしい距離の取り方だとも読み取れます。軽口の形を借りながらも、娘の様子をしっかり見ているという安心感が、このやり取り全体ににじんでいます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
物陰から物陰へ、身を隠しながら小走りで移動していく人物の姿を思い浮かべてみましょう。堂々と歩けず、常に周囲を気にしながらこそこそ動くその様子が、be on the lamという表現のイメージそのものです。
アレックスがきょろきょろと周りを気にしていた様子も、まさにこの「隠れながら移動する」イメージと重なります。誰かの落ち着かない態度を目にしたときにこの言葉が浮かんでくると、その情景がより鮮明に結びつくはずです。実際には何もやましいことをしていない相手ほど、そわそわした様子だけが目立って見えるという点も、このイメージに重ねておくと記憶に残りやすくなります。
例文で覚える「be on the lam」
実際の逃亡劇から冗談めかしたからかいまで使えるbe on the lamを、3つの例文で確認していきましょう。
The suspect has been on the lam for three weeks.
(容疑者は3週間逃亡している。)
事件の経過を伝えるニュース調の場面です。for three weeksのような具体的な期間を添えると、逃亡の長さが伝わりやすくなります。
He’s been on the lam ever since he missed his tax deadline.
(彼は税金の申告期限を逃してから、ずっと逃げ回っている。)
友人の失敗を冗談交じりに語る場面です。ever sinceで始めることで、きっかけとなった出来事がはっきりします。
A: Where’s Tom?
B: He’s on the lam from his in-laws this weekend.
(A:トムはどこ?)
(B:今週末は義理の両親から逃げ回ってるよ。)
家族の集まりを避けている人物を冗談で話す会話です。from his in-lawsのように「誰から」を添えると、からかいのニュアンスがより伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
go on the run
(逃走する)
be on the lamがやや古めかしい俗語的な響きを持つのに対し、go on the runはより一般的で、ニュース報道などでも使われる表現です。
fugitive
(逃亡者)
be on the lamが「逃亡中の状態」を表す句動詞であるのに対し、fugitiveはその人自身を指す名詞です。
skip town
(夜逃げする、こっそり町を去る)
be on the lamが追われている状態そのものに焦点を置くのに対し、skip townは町を離れるという一回きりの行動に焦点があります。
Note|犯罪ドラマや映画から広まった、be on the lamという響き
be on the lamという表現がどこか映画的な響きを持っているのは、犯罪や逃亡を描く作品の中で繰り返し使われてきた歴史と無関係ではありません。
銀行強盗や脱獄囚が主人公の映画・ドラマでは、追跡する側の刑事や、逃げる本人のセリフとしてbe on the lamが頻繁に登場します。こうした作品のイメージが土台にあるからこそ、実際に法を犯していない場面でも、大げさな緊迫感を演出する言い回しとして日常会話に取り入れられているのかもしれません。
刑事もの・ギャング映画のセリフでたびたび耳にする表現だからこそ、日常会話でこの言葉を使うと、話し手も聞き手も自然とその映画的な雰囲気を思い浮かべます。深刻な状況を語っているわけではないと分かったうえで、あえて重々しい言葉を借りて茶化す、という二重の面白さが生まれるのも、この表現が持つ独特の位置づけと言えます。
今回のシーンでクレアがアレックスに向けた言葉も、まさにこの大げささを借りた軽口でした。深刻な意味を持たせずに、状況をコミカルに誇張する道具として機能している点が見どころです。母親という身近な立場からこうした大げさな比喩が飛び出すことで、仰々しいはずの言葉が一気に親しみやすい軽口へと変わっている点も、このシーンならではの面白さだと言えます。
物々しい響きの表現ほど、軽口にも向いているものです。
まとめ|こそこそした様子を、映画のワンシーンのように言い表す
be on the lamは、警察などから逃亡している状態を表す口語表現です。
実際の犯罪報道だけでなく、落ち着かない様子の相手を冗談交じりにからかう場面でも使える、意外と身近な言い回しです。
とぼけようとする娘と、それを見透かす母親のやり取りが軽快に描かれた今回のシーンには、深刻ぶらずに笑いに変える家族らしい距離感が映し出されていました。


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