海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
得意ではないジャンルの話題を、好きな相手に合わせてどうにか受け入れようとする、そんな場面が誰にでもあるのではないでしょうか。
そんな心境にぴったりの「be someone’s thing」を、『モダンファミリー』シーズン2第24話の前半、運動が得意ではないマニーを気遣うキャメロンの一言から、一緒に見ていきましょう。
「be someone’s thing」の意味とニュアンス
be someone’s thing
意味:自分の好み・関心に合うものである
be someone’s thingは、ある活動や話題がその人の強い関心・好みに合い、好んでするものであることを表す口語表現です。「thing」は「領域」「持ち場」のような幅の広いニュアンスを持つ単語で、それが「誰かのもの(someone’s)」であるという構図が、そのまま「性に合う」という意味につながります。否定形aren’t someone’s thingにすると「性に合わない」「好みではない」という意味になり、実際の会話ではむしろこちらの否定形で使われる場面も多い表現です。
使われる場面は幅広く、趣味や活動の好みを話す場面、自分の得意不得意を説明する場面などでよく登場します。感情的な良し悪しの評価というより、自分に合っているかどうかという相性の話として使われる、落ち着いたトーンの表現です。
【ここがポイント!】
- 「be someone’s thing」の核は、その活動が自分の「持ち場」に入っているかどうかのイメージ
- 否定形aren’t someone’s thingで「性に合わない」を表すことも多い表現
- 得意かどうかだけでなく、好みに合うかどうかを表している点を読み取るのがコツ
『モダンファミリー』S02E24のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
好きな相手であるタラがソフトボール選手だと知り、気に病むマニーに、キャメロンがボール遊びに誘いながら励ましの言葉をかける場面です。運動が得意ではないマニーへの気遣いに注目です。
Cameron: Well, nobody’s perfect. Hey, you know what? Why don’t we go outside and toss the ball around.
(まあ、完璧な人なんていないよ。ねえ、外に出てボールでも投げ合わないか。)Manny: Okay.
(いいよ。)Cameron: Wow. And you know what? I wouldn’t worry too much. She’s gonna like you even if sports aren’t your thing.
(うわっ。それに、あまり心配しなくていいと思うよ。スポーツが君の好みじゃなくても、彼女はきっと君を好きになるさ。)Manny: Aren’t my thing? I have a tennis racket upstairs I only use as a bubble bath frother.
(好みじゃない、だって? 2階にあるテニスラケットなんて、泡風呂の泡立てにしか使ってないんだから。)Modern Family Season2 Episode24 (The One That Got Away)
シーン解説と心理考察
キャメロンは「まあ、完璧な人なんていないよ」と軽く受け流したあと、「外に出てボールでも投げ合わないか」とマニーを誘います。運動が得意でないマニーに対して、実際に体を動かしながら励まそうとするキャメロンの気遣いが表れています。
続けて「スポーツが君の好みじゃなくても、彼女はきっと君を好きになるさ」という励ましに、マニーは「好みじゃない、だって? 2階にあるテニスラケットなんて、泡風呂の泡立てにしか使ってないんだから」と切り返し、自分がいかにスポーツと縁遠いかを大げさに強調します。生真面目で大人びたマニーらしい自虐的なユーモアが光るやり取りで、深刻になりかけた話題を軽やかな笑いに変えるキャメロンの返し方も印象的です。相手の弱点をそのまま指摘するのではなく、一緒に体を動かす提案という行動で寄り添おうとする姿勢に、二人の関係の近さもにじみます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
「thing」を、その人にとっての「持ち場」や「領域」だとイメージしてみましょう。ある活動が自分の持ち場に入っているかどうかを考えると、be someone’s thingが「性に合う・好みに合う」という意味だと覚えやすくなります。
キャメロンがマニーにかけた「スポーツが君の好みじゃなくても」という一言も、まさにこの持ち場のイメージそのものです。スポーツという持ち場に入っていなくても、別の持ち場ではちゃんと輝ける、という余白を残した言い方だと捉えておくと、否定形で使う場面にもすっとなじみます。
例文で覚える「be someone’s thing」
自分の好み・関心に合うかどうかを伝える場面で使えるbe someone’s thingを、3つの例文で確認していきましょう。
Cooking has never really been my thing, so I usually order takeout.
(料理は昔から得意じゃなくて、たいていテイクアウトで済ませているんだ。)
自分の苦手分野を説明する日常会話の場面です。never reallyを添えることで、以前から一貫して苦手だったニュアンスが伝わります。
Public speaking just isn’t his thing, even though he’s great at writing.
(人前で話すのは彼の得意分野じゃないんだ、文章を書くのはすごく上手なんだけどね。)
同僚の得意不得意を紹介する場面です。even thoughで別の得意分野を対比させることで、その人の全体像が伝わりやすくなります。
A: Do you want to go camping this weekend?
B: Not really—the outdoors just isn’t my thing.
(A:今週末キャンプに行かない?)
(B:あんまり気が進まないな。アウトドアは性に合わないんだ。)
誘いを丁寧に断る会話の場面です。Not reallyから入ることで、相手を否定せずやんわり断る柔らかさが出ます。
あわせて覚えたい関連表現
strong suit
(得意分野)
strong suitが能力・スキル面での「得意分野」を指すのに対し、be someone’s thingは好み・関心の面での「性に合う」ことを指します。得意でなくても好きな場合は、be someone’s thingの方が自然な言い方になります。
into something
(何かに夢中である)
be into somethingが「夢中になっている・熱中している」という積極的な関心を表すのに対し、be someone’s thingはより穏やかに「好みに合う」ことを表します。
cup of tea
((自分の)好み)
not my cup of teaはbe someone’s thingとほぼ同義の英国寄りの口語表現です。be someone’s thingの方が、アメリカ英語の日常会話ではより一般的に使われます。
Note|一言で訳し切れない、be someone’s thingの感覚
be someone’s thingは、日本語にすっぱり一語で置き換えにくい感覚を持った表現です。
日本語で「好み」「得意」「性に合う」「肌に合う」を言い分けようとすると、話題によって使う言葉を選び直す必要があります。ところが英語では、「thing」という一語がその人にとっての関心の持ち場をまるごと指し示し、be動詞と組み合わせるだけで「好み」から「性に合う」まで幅広いニュアンスをカバーしてしまいます。否定形のaren’t someone’s thingになると、日本語なら「苦手」「向いていない」「興味がない」のどれを選ぶか迷う場面でも、英語では同じ一つの型で済ませられます。thingという単語の輪郭のあいまいさが、かえって守備範囲の広さにつながっているとも言えます。
作中でキャメロンが口にした「sports aren’t your thing」も、まさにこの一語で幅広く受け止める感覚の実例です。スポーツが苦手という一言に、得意不得意と好き嫌いの両方のニュアンスが自然に含まれていました。日本語に訳すときも、場面ごとに「苦手」「向いていない」「興味がない」のどれを選ぶか迷うのは、この一語が背負っている意味の広さの裏返しとも言えます。
一語に多くを託す言い方だからこそ、状況に合わせて柔軟に使いこなせる表現でもあります。
まとめ|好みを軽やかに言葉にする一言
be someone’s thingは、ある活動や話題がその人の好み・関心に合うことを表す口語表現です。
得意不得意の話にも、単純な好き嫌いの話にも自然になじみ、否定形aren’t someone’s thingにすれば「性に合わない」という気持ちもやわらかく伝えられます。
好きな相手の趣味に気後れするマニーへ、キャメロンが「好みじゃなくても大丈夫」とかけた一言には、相手のペースを尊重しながら励ます優しさが込められていました。自分の持ち場と相手の持ち場が違っていても、それぞれの良さを認め合えるという空気は、この短いやり取りの端々からも伝わってきます。得意不得意を無理に揃えようとせず、自分の好みを軽やかに言葉にできる場面で、表現の幅を広げてみてください。


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