海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
勇気を出そうとしていたはずなのに、直前になって気持ちが萎えてしまい、結局やめてしまったという経験はありませんか。
そんな場面にぴったりの「chicken out」を、『モダンファミリー』シーズン3第16話の中盤、友達に会いに行くのを怖気づいてやめたマニーを、ルークが軽口でからかう場面から、一緒に見ていきましょう。
「chicken out」の意味とニュアンス
chicken out
意味:怖気づいてやめる、土壇場でびびって手を引く
chickenは名詞では「鶏」を指しますが、口語では「臆病者」を意味する語としても使われ、chicken outはそれが句動詞化した表現です。動詞としてのchicken単独でも「怖気づく」という意味を持ちますが、outという方向を示す語を伴うことで、「怖気づいて外へ逃げ出す」という動作の比喩が完成し、予定していた行動を土壇場でやめるという具体的な場面がより明確になります。
告白や挑戦など、勇気が要る行動を直前でやめてしまった場面で使われる表現で、恐怖心そのものよりも、恐怖心のせいで行動を取りやめたという結果に焦点が当たっています。友人同士の軽口の中で、相手をからかう言葉としても使われることが多い口語表現です。過去形chickened outの形で使われることが多く、あとになってから「あのとき怖気づいた」と振り返る場面によく登場します。
【ここがポイント!】
- 「chicken out」の核は、怖気づいて予定の行動を土壇場でやめてしまうこと
- 恐怖心そのものより、そのせいで行動をやめたという結果に焦点がある表現
- 過去形chickened outで振り返って語る場面が多いのもコツの一つ
『モダンファミリー』S03E16のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
怖気づいて予定をやめてしまうという言葉が、家族の掛け合いで茶化される場面です。背中を冷やす何かを取りに行っていたキャメロンのところへ、ルークとマニーが戻ってきます。てっきり友達のミランダに会いに行ったと思っていたキャメロンに対し、ルークが放つ一言に注目です。
Cameron: I was just getting something cold for my back.
(ちょっと背中を冷やすものを取りに行ってただけだよ。)Luke: Gravy?
(グレイビーソース?)Cameron: Well, if it can save your mom’s turkey, it can save anything. I thought you were going to see your friend Miranda.
(まあ、お前のママの七面鳥を救えるくらいなんだから、何だって救えるさ。それより、友達のミランダに会いに行くんじゃなかったのか?)Luke: This one chickened out. For someone who says he likes girls so much, he sure is afraid of them.
(こいつ、怖気づいたんだ。あんなに女の子が好きだって言ってるわりに、ずいぶん怖がってるよな。)Manny: It’s a dance, Luke.
(恋は駆け引き(ダンス)なんですよ、ルーク。)Luke: Chicken dance.
(チキンダンスだろ。)Modern Family Season3 Episode16 (Virgin Territory)
シーン解説と心理考察
背中を痛めて家で休んでいるキャメロンのもとへ戻ってきたルークとマニーに、キャメロンが「友達のミランダに会いに行くんじゃなかったのか」と尋ねます。ミランダに会いに行ったはずのマニーが戻ってきたことへの問いかけです。するとルークは、マニーのことを「こいつ、怖気づいたんだ」とからかい、「あんなに女の子が好きだって言ってるわりに、ずいぶん怖がってるよな」とたたみかけます。相手の反応を気にせずストレートに言い切る、からかい方です。
マニーは「恋は駆け引き(ダンス)なんですよ」と、やや理屈っぽく丁寧な口調で反論しますが、ルークはすかさず「チキンダンスだろ」と、恋を「ダンス」にたとえたマニーの言葉を、chicken outのchickenとdanceを掛けた言葉遊びで切り返します。年齢の割に落ち着いた話し方をするマニーと、素朴でマイペースなルークの対比が、このやり取りのおかしさを際立たせています。マニーが弁解しようとした言葉の隙をすかさず拾い、別の意味にすり替えて返すルークのテンポの良さも見どころです。この直後、キャメロンは仕返しのように、車を洗えば20ドル払うと二人に持ちかけており、からかい合いはそのまま日常のやり取りへと戻っていきます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
鶏(chicken)が羽をばたつかせながら小屋の外(out)へ逃げ出す姿を思い浮かべてみましょう。度胸を試される場面で、その場から後ずさりする動きが、chicken outという言葉の芯にあります。ルークが放った「怖気づいたんだ」という一言も、勇気を振り絞れずに行動を取りやめてしまった様子を、そのまま言い表したものでした。踏み出そうとした足を、土壇場で引っ込めてしまう動きまで思い浮かべておくと、outという方向を示す語の働きも一緒に記憶に残ります。
例文で覚える「chicken out」
土壇場で怖気づいてやめてしまう場面で使われることが多いchicken outを、3つの例文で確認していきましょう。
I was going to ask for a raise, but I chickened out at the last minute.
(昇給をお願いするつもりだったけど、土壇場で怖気づいてやめてしまった。)
勇気が要る交渉を直前でやめてしまった場面です。at the last minuteという言葉を添えると、直前でやめたタイミングがはっきり伝わります。
Don’t chicken out now—you’ve come this far.
(今さら怖気づくなよ、ここまで来たんだから。)
挑戦をためらっている仲間を励ます場面です。命令文にすることで、相手の背中を押す響きが強まります。
A: Did you go skydiving?
B: I wanted to, but I chickened out.
(A:スカイダイビングやったの?)
(B:やりたかったんだけど、怖気づいてやめちゃった。)
挑戦を直前でやめたことを話す会話です。wanted toと対比させることで、当初の意欲と実際の行動のギャップが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
back out (of something)
(約束・計画から手を引く)
chicken outが恐怖心を理由とするのに対し、back outは理由が恐怖心とは限らず、単なる都合の変化でも使われる表現です。
get cold feet
((直前になって)急に不安になる)
chicken outが「やめる行動」そのものを指すのに対し、get cold feetは「不安になる気持ち」そのものに焦点がある表現です。
lose one’s nerve
(勇気を失う)
chicken outよりやや深刻な文脈でも使われ、恐怖の度合いが強いニュアンスを持つ表現です。
Note|鶏(chicken)という動物名詞が、行動を形容する言葉に姿を変える仕組み
chicken outという表現には、鶏(chicken)という動物名詞がそのまま姿を変えて入り込んでいます。
chicken outのように句動詞化するだけでなく、chickenという一語はほかの形にも姿を変えます。名詞のままa chicken(臆病者)と人を指すこともできれば、形容詞としてもHe’s chicken.(あいつは臆病者だ)のように、動詞化しなくても人の性格を表せます。同じ動物名詞が人の性格や行動を形容する語に転じる言い回しは英語に複数存在し、chicken outもその一例です。名詞・形容詞・句動詞と、形を変えながら使い分けられる点に、この単語の懐の広さがあります。
先ほどの「怖気づいたんだ」という一言も、鶏という動物名詞が持つ「臆病者」のイメージを、そのままマニーの行動に重ねたからかいだったと言えます。
鶏という一語に、これだけの比喩が詰まっているのです。
まとめ|チキンダンスに変わる、ルークとマニーの掛け合い
chicken outは、鶏(chicken)という動物名詞から生まれた、怖気づいて予定の行動をやめてしまうことを表す口語表現です。
告白や挑戦など、勇気が要る場面を直前でやめてしまった状況を話すときに使える一言として、会話にすっと馴染みます。振り返って語る場面だけでなく、その場で相手の背中を押す命令文としても使い勝手のよい表現です。
友達に会いに行くのを怖気づいてやめたマニーを、ルークが軽口でからかい、最後は言葉遊びのオチへとつなげていくこのやり取りには、深刻になりすぎない家族らしい距離感が表れていると言えます。からかわれた側も本気で言い返すことなく、やり過ごしていく空気そのものも、この場面の味わいの一部です。


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