海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
失敗が許されない場面を前に、うまくいかなかったらどうしようという不安で、頭がいっぱいになった経験はありませんか。
そんな気持ちを表す「screw something up」を、『モダンファミリー』シーズン4第3話の後半、生まれてくる赤ちゃんを迎えることへの不安をフィルに打ち明けるジェイの一言から、一緒に見ていきましょう。
「screw something up」の意味とニュアンス
screw something up
意味:(物事を)しくじる、台無しにする
screw something upは、大事な物事を失敗させたり、うまくいっていたものを台無しにしたりすることを表す表現です。screwは「ねじ」や「ねじで留める」という意味の語ですが、screw upの形になると、ねじを締める意味からは離れて、「しくじる」という意味を表します。upは「完全に」という強めの役割を果たし、取り返しがつかないほど台無しにする響きを加えます。
somethingの部分には、しくじる対象が入ります。screw up the planなら「計画を台無しにする」、screw it upなら「それをしくじる」です。対象を言わずに、I screwed up.と言い切ると、「しくじった」「へまをした」という意味になります。
かなりくだけた口語なので、友人や家族との会話に向いています。同じ意味で、もう少しやわらかい響きにしたいときは、mess upのような言い方もあります。プレゼンや面接のように失敗できない場面の前に不安を口にするときや、自分の失敗を認めるときにも使えます。
「失敗する」だけでなく、「せっかくうまくいっていたものを自分の手で損なう」というニュアンスが強い点も、この表現の特徴です。うまくいく見込みがあるからこそ、しくじることの重みが際立ちます。
【ここがポイント!】
- 「screw something up」の核は、組み上がっていたものを最後の一手で台無しにするイメージ
- 目的語が代名詞のときはscrew it upの形になり、目的語なしのI screwed up.でも使える
- くだけた口語なので、友人や家族との会話に向いた表現
『モダンファミリー』S04E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
クレアとは今は仲良くやっている、というフィルの言葉を受けて、ジェイが「今度の子とはそんなに時間がもらえないかもしれない」と不安を口にする場面です。「しくじるわけにはいかない」という一言のあと、フィルが励まし、ジェイが確かめるように言葉を返します。ふたりのやり取りの流れに注目です。
Phil: Well, whatever your issues were, you and Claire are good now.
(まあ、ジェイにどんな事情があったにせよ、今のジェイとクレアは仲良くやってるじゃないですか。)Jay: Yeah, but I may not get that kind of time with this new one, and I can’t screw it up. I don’t think I’m sensitive enough to raise a girl.
(ああ、だが今度の子とは、そんなに時間がもらえないかもしれん。しくじるわけにはいかないんだ。女の子を育てられるほど、俺は繊細じゃないと思う。)Phil: Jay, you’re being sensitive right now. I mean, I was pretty hysterical, and you calmed me down. I-I don’t think you’re the guy you used to be.
(ジェイ、今のあなたは十分繊細ですよ。だって俺、かなり取り乱してたのに、あなたが落ち着かせてくれたじゃないですか。もう昔のあなたとは違うと思いますよ。)Jay: So you’re saying that if I can deal with you, then I can handle any other little girl?
(つまり、お前の相手ができるなら、どんな小さな女の子でも扱えるってことか?)Phil: I think I’d put it a-a little differently.
(俺なら、もうちょっと違う言い方をしますけどね。)Modern Family Season4 Episode3 (Snip)
シーン解説と心理考察
フィルが「ジェイにどんな事情があったにせよ、今のジェイとクレアは仲良くやってる」と声をかけるところから、この会話は動き出します。ジェイの答えは、「ああ、だが」と受けたうえで、「今度の子とはそんなに時間がもらえないかもしれん」と、時間に限りがあることへの意識を口にするものです。
そのあとに続くI can’t screw it up.は、「できない」という能力の話ではなく、「しくじるわけにはいかない」という、許されない気持ちを表しています。ジェイは続けて、「女の子を育てられるほど、俺は繊細じゃないと思う」と、自分の繊細さに自信がないことを打ち明けます。ここでの言葉は、あくまで自分の育て方に対する、ジェイ本人の不安として語られています。
フィルは、今のジェイは十分に繊細だと言って否定します。根拠として挙げるのは、自分が取り乱していたときに、ジェイが落ち着かせてくれた出来事です。同じ場面の前半には、フィルが自分の受ける処置への不安から場を離れる流れがあり、この「取り乱していた」は、そのことを指していると読めます。
ジェイの返しは、「つまり、お前の相手ができるなら、どんな小さな女の子でも扱えるってことか?」というものです。フィルの励ましの言葉を、少し皮肉まじりに言い直して確かめる形になっています。フィルの「もうちょっと違う言い方をしますけどね」は、その言い直しをやんわり訂正する一言です。不安を打ち明ける側と、励ます側が、ぎこちなくも歩み寄る場面です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
うまく組み上がっていた棚のねじを、最後の一本で強く回しすぎて、全体ががたがたになる様子を思い浮かべてみましょう。あと少しで完成というところで、最後の一手が全部を台無しにしてしまいます。screw something upは、この「最後の一手で崩す」感覚と重なります。
screwは「ねじ」という語ですが、screw upは「ねじを締める」意味ではなく、「しくじる」という意味です。upは「完全に」を表すので、「ねじを回しすぎて、全体が壊れる」と想像すると、意味がつながります。
ジェイの「I can’t screw it up」を、このイメージで読んでみましょう。時間に限りがあるかもしれないと考えているジェイにとって、手を滑らせて台無しにしてしまうことは、避けたいことです。そんな気持ちが、しくじるわけにはいかないという一言に表れています。
例文で覚える「screw something up」
screw something upは、失敗を恐れる気持ちや、失敗を振り返る場面で使えます。3つの例文で確認していきましょう。
I’m nervous about the presentation. I really don’t want to screw it up.
(プレゼンが不安で。本当にしくじりたくないんだ。)
大事な発表の前に、同僚へ本音を話す場面です。really don’t wantと強めることで、失敗を避けたい気持ちの強さが伝わります。
I screwed up my chance to get the job by arriving late.
(遅刻して、その仕事のチャンスをふいにしてしまった。)
失敗を振り返って友人に話す日常会話です。screw up + 名詞の形で、byの後ろに原因を述べています。
A: Did you finish the report?
B: Not yet. I’m afraid I’ll screw it up if I rush.
(A:報告書は終わった?)
(B:まだ。急ぐと台無しにしそうで怖い。)
締め切り前に進捗を確認する往復会話です。if I rushと条件を添えると、しくじりそうな理由まで伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
mess something up
(〜をめちゃくちゃにする、台無しにする)
mess upは、screw upとほぼ同じ意味で使えます。mess upのほうが響きがやわらかく、くだけすぎない言い方です。
blow it
(チャンスをふいにする)
blow itは、せっかくの機会をだめにしたという結果に焦点があります。screw upは、失敗の行為や原因そのものにも使える点が違います。
botch
(へたなやり方で台無しにする)
botchは、不器用さや準備不足で仕上がりが悪くなった、という意味合いが強い語です。screw upは、日常会話で気軽に使う口語という点が違います。
Note|screw up の3つの形(自動詞・他動詞・名詞 screw-up)
screw upは、使う形が3つあります。ジェイの台詞のI can’t screw it up.を出発点に、形ごとの違いを整理してみましょう。
1つ目は、自動詞の形です。I screwed up.のように、目的語を置かずに使うと、「しくじった」「へまをした」という意味になります。何をしくじったかを言わずに、失敗した事実だけを述べる形です。2つ目は、他動詞の形です。screw up the planのように、後ろに名詞の目的語を置いて、「計画を台無しにする」と言います。目的語が名詞のときはscrew the plan upと、間に挟む語順も使えます。ただし、目的語が代名詞のときは、間に入れて、screw it upの形にします。ジェイの台詞は、まさにこの形です。3つ目は、名詞の形です。screw-upと書いて、「へま」「失敗」という意味を表します。He’s a screw-up.のように、失敗ばかりする人を指す言い方もあります。
ジェイのI can’t screw it up.は、他動詞の形で、目的語のitが間に入っています。itは、直前に語られている「今度の子」との関わりを指していると読めます。can’tは「できない」という能力ではなく、「許されない」という意味で使われています。
自動詞、他動詞、名詞という3つの形を見分ければ、screw upが出てきたときに、文の作りを落ち着いて読み取れます。
まとめ|不安を打ち明けたジェイと、言い方を選び直したフィル
screw something upは、物事をしくじる、台無しにするという意味を表す表現です。目的語が代名詞のときはscrew it upの形になり、目的語なしのI screwed up.でも使えます。
プレゼンや面接のように、失敗できない場面の前に不安を口にするときにも、自分の失敗を認めるときにも、同じ形が使えます。くだけた口語なので、親しい間柄の会話に向いています。やわらかく言いたいときは、mess upのような言い方に置き換えられます。
生まれてくる赤ちゃんを迎えることへの不安を、フィルに打ち明けたジェイ。励ましの言葉を言い直して確かめる返しと、それをやんわり訂正するフィルの一言が、ぎこちなくも近い距離の会話を残していました。


コメント