海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
腹が立つ一言を言われて、大声を出したい気持ちをぐっとこらえた経験はありませんか。
そんな瞬間にぴったりの「create a scene」を、『モダンファミリー』シーズン4第3話の中盤、ジューという人物の言葉を受けたキャメロンが、こみ上げる気持ちを口にする場面から、一緒に見ていきましょう。
「create a scene」の意味とニュアンス
create a scene
意味:(人前で)騒ぎを起こす、取り乱して周囲の注目を集める
create a sceneは、周りの目を引くほど大声を出したり、取り乱したりして、ひと騒ぎを起こすことを表す表現です。createは「作り出す」、sceneは「場面」という意味なので、直訳は「場面を作る」です。日本語の「シーン」が映画や物語の場面を指すのに対して、英語のsceneには、人前で感情があふれて起きる「ひと騒ぎ」という意味もあります。
この表現は、「騒ぎを起こしたくない」「騒ぎを起こさないようにする」というように、避けたいことを語る形で使うと、意味がつかみやすくなります。I don’t want to create a scene.なら、「騒ぎにしたくない」という意味です。感情を爆発させたい気持ちがあっても、周りの目を考えて抑える、という含みが加わります。
動詞をmakeに置き換えたmake a sceneも、同じ意味で使えます。createとmakeで意味は変わらず、どちらを選んでも「人前で騒ぎを起こす」ことを表します。
レストランや空港のように周りに人がいる場所での不満や口論を避けたいときや、感情が爆発しそうなのをこらえているときに使える言い方です。「大声を出す」「怒鳴る」といった具体的な行為をひとつに決めず、注目を集めるほどの騒ぎ全体を幅広く指せる点が特徴です。
【ここがポイント!】
- 「create a scene」の核は、感情があふれて周囲の視線を集めてしまう、ひと騒ぎのイメージ
- sceneは「場面」だけでなく「人前での騒ぎ」も表し、make a sceneとも言い換えられる
- 「騒ぎにしたくない」と、避けたい行為として語る形が、意味をつかみやすい使い方
『モダンファミリー』S04E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジューという人物が名前の綴りを伝えたあと、この人が「恋人に仕事をさせたくて手を貸してもらっている」ミッチェルなのかと口にする場面です。ミッチェルがキャメロンに声をかけ、キャメロンが「騒ぎを起こさないようにするだけで精いっぱい」と返します。ジューの言葉から、キャメロンの一言までの流れに注目です。
Jeoux: J-e-o-u-x.
(J-e-o-u-x。)Mitchell: There it is.
(ああ、そういう綴りか。)Jeoux: Oh, is this the Mitchell you’re helping out because he wants his boyfriend to get a job? I don’t know what you’re doing. Should I wave? Did your boyfriend take the job?
(ああ、この人が、恋人に仕事をさせたくて、あなたが手を貸してあげてるっていうミッチェル? 何をしてるのか分からないけど。手を振ればいい? 彼氏はその仕事を引き受けた?)Mitchell: Oh, my God! That looks so good on you, Cam!
(うわ、すごく似合ってるよ、キャム!)Cameron: Don’t even. It is everything I can do to not create a scene right now.
(やめてよ。今は騒ぎを起こさないようにするだけで精いっぱいなんだから。)Modern Family Season4 Episode3 (Snip)
シーン解説と心理考察
名前の綴りを伝えるジューと、「ああ、そういう綴りか」と受けるミッチェルの短いやり取りから、この場面は始まります。続くジューの長い発言は、ミッチェルが恋人に仕事をさせたくて手を貸してもらっている、という内容を口にするものです。「手を振ればいい?」「彼氏はその仕事を引き受けた?」と、質問が重なっていきます。
ミッチェルはそのあとで、キャメロンに「すごく似合ってるよ、キャム!」と声をかけます。ジューの話とは別の話題に向かう、明るい一言です。何が似合っているのかは、台本の言葉からは分かりません。
対するキャメロンは、「やめてよ」と制したうえで、「今は騒ぎを起こさないようにするだけで精いっぱい」と続けます。It is everything I can do to …という言い方が、「〜しないでいるのが精いっぱい」という、ぎりぎりの状態を表しています。騒ぎにしてしまいそうな気持ちを、必死にこらえていることが、この言い方から伝わってきます。
ミッチェルが仕事の話に関わっていたことが、ジューの口から語られると、やり取りの空気は大きく変わります。ミッチェルの明るい一言と、キャメロンのこらえるような一言が続くことで、その温度の変化がはっきり見えてきます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
舞台の上で、スポットライトが1人に当たる様子を思い浮かべてみましょう。人前で声を上げれば、その人に周りの視線が集まり、その場が「ひとつの場面(scene)」になります。create a sceneは、自分がその舞台を作ってしまう、というイメージです。
createは「作る」なので、「自分が舞台を作ってしまう」と重ねると、「騒ぎを起こしたくない」という否定の形とも結びつきます。舞台を作るつもりはない、だから声を抑える、という流れです。
キャメロンの「It is everything I can do to not create a scene」も、この絵で読めます。今にも舞台の幕が上がりそうなのを、必死に押さえている状態です。幕を上げないように踏みとどまる力が、「everything I can do」という言い方に込められています。
例文で覚える「create a scene」
create a sceneは、人前での感情の扱いを語るときに使えます。3つの例文で確認していきましょう。
I don’t want to create a scene in the restaurant, so I’ll let it go this time.
(レストランで騒ぎを起こしたくないから、今回は目をつぶるよ。)
人前でのトラブルを穏便に済ませる日常会話の場面です。so I’ll let it goを続けると、我慢することを選んだ流れがはっきりします。
He whispered his complaint so he wouldn’t create a scene in front of the guests.
(彼はお客さんの前で騒ぎにならないよう、小声で不満を伝えた。)
来客中のトラブル対応を説明するビジネスの場面です。so … wouldn’tの形で、「〜しないように」という目的を表しています。
A: Are you going to say something to him?
B: Not here. I don’t want to create a scene.
(A:彼に何か言うつもり?)
(B:ここではやめておく。人前で騒ぎにしたくない。)
不満があっても場所をわきまえて我慢する往復会話です。Not here.と短く答えたあとに、理由をcreate a sceneで述べています。
あわせて覚えたい関連表現
make a scene
(人前で騒ぎを起こす)
create a sceneと同じ意味で使えます。動詞がcreateかmakeかの違いだけで、場面も意味も変わりません。
cause a commotion
(騒ぎ・騒動を引き起こす)
cause a commotionは、周りが騒然となる結果に焦点があります。create a sceneは、本人の取り乱しや大声による「ひと騒ぎ」に焦点がある点が違います。
throw a fit
(かんしゃくを起こす)
throw a fitは、本人の感情の爆発そのものを表します。create a sceneは、人前で注目を集めるという結果に重点がある点が違います。
Note|It is everything I can do to 〜 の形
キャメロンの台詞のIt is everything I can do to not create a scene right now.には、「〜するのが精いっぱい」を表す形が使われています。この形を、言い換えや語順とあわせて整理してみましょう。
基本の型は、It is all I can do to + 動詞の原形です。「自分にできることのすべては〜すること」という組み立てで、「〜するので精いっぱい」「〜するのがやっと」という意味になります。It’s all I can do to stay calm.なら「落ち着いていることで精いっぱい」です。定型はIt’s all I can do to 〜で、キャメロンの台詞はallをeverythingにした形です。似た意味をI can barely 〜で言うこともできます。I can barely stay calm.なら「かろうじて落ち着いている」です。
キャメロンの台詞で特に注目したいのは、to のあとにnotが置かれている点です。to not create a sceneは、「騒ぎを起こさないでいること」を表します。It’s all I can do not to laugh.のように、not to laughの語順にして「笑わないでいるのが精いっぱい」と言うこともできます。notを置く位置が変わっても、意味は「〜しないこと」で同じです。
つまり、キャメロンの一言は、「騒ぎを起こさないでいる」という行為が、自分にできることのすべてを使ってやっと成り立っている、という意味になります。形を分けて読めば、台詞が伝える切迫感が、そのまま文の作りに表れていることが分かります。
形を1つ覚えておくと、こらえている気持ちを英語で言い表せます。
まとめ|舞台の幕を上げないための、ぎりぎりの一言
create a sceneは、人前で感情があふれ、周囲の注目を集める騒ぎを起こすことを表す表現です。sceneには「場面」のほかに「ひと騒ぎ」という意味があり、make a sceneとも言い換えられます。
「騒ぎにしたくない」という形で、避けたい行為として語る使い方が基本です。It’s all I can do to …の形と組み合わせれば、「騒ぎを起こさないのが精いっぱい」と、こらえている状態も言い表せます。
ジューの言葉から、ミッチェルの一言、キャメロンの返しへと続くやり取りには、こらえる気持ちが会話の温度を変えていく様子が表れていました。


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