海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
長い前置きのあとで、本題が明かされる直前の、少し張りつめた空気。そんな瞬間が、ドラマには時々あります。
そんな場面で使われている「be about to」を、『モダンファミリー』シーズン5第7話の後半、クレアが目を閉じたフィルに語りかける20周年の記念日のシーンから、一緒に見ていきましょう。
「be about to」の意味とニュアンス
be about to
意味:まさに〜しようとしている、〜する直前だ
be about to + 動詞の原形は、ごく近い未来に、それが起ころうとしている直前の状態を表します。「もうすぐ〜する」「今にも〜する」という感覚で、動作が始まる一歩手前を指す言い方です。
aboutは、「〜のまわり・近く」という意味を持つ前置詞です。be about toを分解すると、「その行為のすぐ近くにいる」、つまり「その行為の一歩手前にいる」という組み立てになります。まだ起きていないけれど、次の瞬間に起きる、という距離感です。
will + 動詞の原形も未来を表しますが、be about toは「もう目の前まで来ている」という近さが加わります。予定や見込みを幅広く述べるbe going toと比べても、be about toは、時間的な近さに絞った言い方です。
話し手が次に起こることを見越して、相手に心の準備をさせたいときにも向いています。「これから〜になるよ」と先に知らせることで、聞き手は次の展開に備えられます。You’re about to hear some surprising news.のように、これから起こる出来事を前もって伝える形で使われます。
【ここがポイント!】
- 「be about to」の核は、動作が始まる一歩手前にいるという近さ
- will + 動詞の原形より、「もう目の前まで来ている」直前感が強い
- 後ろに動詞の原形を続けて、これから起こることを予告する形にできる
『モダンファミリー』S05E07のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
クレアが、フィルに「目は閉じたままにして」と言ってから、20年間の贈り物について語り始めます。クレアの発言に続けて、フィルが「Chinese acrobats?!」と驚く会話の流れに注目です。
Claire: Keep your eyes closed, and before you open them, remember that for 20 years, you have given me perfect, creative, thoughtful gifts.
(目は閉じたままにして。開ける前に思い出して。20年間、あなたは完璧で、ひねりのきいた、心のこもった贈り物を私にくれてきたわ。)Claire: And every year, I have let you down.
(なのに毎年、私はあなたをがっかりさせてきた。)Claire: You’re about to feel really bad, and I know that, because it’s how I have felt every year.
(あなたはこれから、すごく落ち込むことになるわ。それが分かるのは、私が毎年そう感じてきたからよ。)Claire: But, honey, it is not my intention, because I love you.
(でもね、あなた、そんなつもりじゃないの。あなたを愛してるからよ。)Claire: Happy anniversary.
(記念日おめでとう。)Phil: Oh, my God. Chinese acrobats?! You’re brilliant.
(うわ、なんてこった。中国の曲芸師!? 君は天才だ。)Modern Family Season5 Episode7 (A Fair to Remember)
シーン解説と心理考察
クレアは、目を閉じたフィルに向けて、20年間フィルが完璧で心のこもった贈り物をくれてきたことを、順に語ります。続けて、自分は毎年フィルをがっかりさせてきたと打ち明けます。フィルの側の実績を先に並べていく組み立てが、この語りの土台です。
そのうえで出てくるのが、You’re about to feel really badです。「これから、すごく落ち込むことになる」と、これから起こることを前もって知らせ、そう言える理由を「私が毎年そう感じてきたから」と添えています。相手に心の準備をさせながら、自分が毎年味わってきた気持ちを分け合おうとする調子がにじみます。
「そんなつもりじゃない、愛してるから」と付け加え、「記念日おめでとう」と締めると、フィルは「うわ、なんてこった。中国の曲芸師!? 君は天才だ」と声を上げます。前置きの長いスピーチと、そのあとに続く歓声との落差が、この場面の見どころです。クレアが「落ち込むことになる」と予告したあとに、フィルが喜びの声を上げる流れは、予告と反応の向きが食い違っていることで、会話の温度を変えています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
飛び込み台の先端に立つ人の姿を思い浮かべてみましょう。まだ足は台の上にありますが、次の瞬間には水面に向かって跳ぶ、という位置にいます。be about toは、その「跳ぶ直前」の立ち位置を表す形です。
about toの「近く」というイメージは、その先端に立っている距離感と重なります。クレアのYou’re about to feel really badは、フィルに向かって「いま台の先端にいる、次の瞬間にそうなる」と知らせる一言でした。目を閉じているフィルに、そのあとに何が起こるのかを前もって伝える形です。動作の名前をtoのあとに置けば、どんな出来事の直前なのかが決まります。feel really badなら「落ち込む直前」、start、leave、announceなら「始まる・出る・発表する直前」と、後ろの動詞を入れ替えるだけで場面が変わります。台の先端に立つ姿と一緒に、「直前」の一語で覚えておくと、使いどころが見えてきます。
例文で覚える「be about to」
ごく近い未来を伝えるbe about toを、3つの例文で確かめてみましょう。
The movie is about to start, so please turn off your phone.
(映画がもうすぐ始まるので、携帯の電源を切ってください)
映画館で友人に声をかける、日常の場面です。so以下に頼みごとを続けると、直前だからこその呼びかけになります。
We are about to announce a new product.
(当社は新製品を発表しようとしているところです)
取引先に発表の予定を伝えるビジネスの場面です。改まった文の中でも使えるため、公式なやり取りにもなじみます。
A: Brace yourself; you’re about to hear some surprising news.
B: Okay, I’m ready.
(A:覚悟して。これから驚くような知らせを聞くことになるよ。)
(B:わかった、準備できてるよ。)
相手に心の準備をさせる、感情に寄り添う会話です。作中と同じyou’re about to ~の形で、これから起こる出来事を前もって予告しています。
あわせて覚えたい関連表現
be going to
(〜するつもりだ、〜しそうだ)
be going toは、予定や見込みを幅広く表します。be about toは、ごく近い未来に絞った言い方で、今にも起きる場面では直前感が出ます。
be on the verge of
(まさに〜しようとしている、〜の寸前だ)
be on the verge ofは、あとに名詞または-ing形が続きます。be about toは、あとに動詞の原形が続く点が違います。
be just about to
(ちょうど〜しようとしているところだ)
be about toにjustを足すと、「ちょうどそのとき」という強調が加わります。I was just about to …の形にすると、過去のある時点で「〜しようとしていたところ」という意味になります。
Note|be about toと、was about toの違い
be about toは、時制を変えることで、伝えられる内容が変わります。
現在形のbe about toは、「これから起こる直前」を表します。You’re about to feel really bad.のように、話している時点から見て、ごく近い未来の出来事を伝える形です。一方、過去形のwas about toは、「〜しようとしていたところだった」という意味になります。I was about to call you.なら、「電話をかけようとしていたところだった」という意味です。
was about toの後ろにwhen節を続けると、しようとした瞬間に別の出来事が起きた状況を描けます。I was just about to call you when you walked in.のように、justを足すと「ちょうどそのとき」という強調が加わります。現在形は「これから」を、過去形は「しようとしていた、そのとき」を切り取る形と整理できます。
作中のクレアは現在形を使い、目を閉じているフィルに、これから起こることを予告していました。時制が現在形なので、聞き手はいま、その直前にいるという臨場感が生まれます。過去形にすると、同じ内容が「そのときの直前」を振り返る語りに変わります。
時制ごとの切り取り方を押さえておくと、同じbe about toでも、出来事の見せ方を選べます。
まとめ|「直前」を、ひと言で予告する
be about toは、動作が始まる一歩手前にいることを表す言い方です。後ろに動詞の原形を続け、will + 動詞の原形よりも近い未来を、直前感を込めて伝えられます。
映画の開始や出発の場面にも、発表の予定を伝えるビジネスの場面にも使えます。相手に心の準備をさせたいときは、you’re about toを使って、これから起こる出来事を前もって予告する形にできます。
目を閉じたフィルに向けて、長い前置きをつなぐクレアの語りには、20周年の記念日ならではの、期待を少しずつ高めていく空気が漂っていました。予告の一言を伝えたくなったときの引き出しに加えてみてください。


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