海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
過去のもめごとを、もう気にしていないと伝えたいのに、どう言えばいいのか迷った経験はありませんか。
そんな場面で使える「water under the bridge」を、『フレンズ』シーズン6第23話の後半、チャンドラーがモニカに結婚を申し込むつもりだと打ち明けたことで、ロスとジョーイが無視の作戦をやめるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「water under the bridge」の意味とニュアンス
water under the bridge
意味:過ぎたこと、済んだこと
water under the bridge は、すでに過ぎ去って、もう気にしなくてよい出来事を表す慣用句です。橋の下を流れていった水は、二度と戻ってきません。その光景が、そのまま「過ぎたことは、もう取り返せないし、追いかけなくていい」という意味につながっています。
形は、It’s water under the bridge. のように、名詞句として使うのが基本です。that’s all water under the bridge のように、all を添えれば、「全部過ぎたこと」という強調になります。作中では、Water under the bridge. のあとに Forget it! と続く、短い切り出しの形で使われています。
過去のけんかや失敗を許すとき、あるいは自分が謝られたときに、「もう気にしていない」と区切りをつける場面によく合います。相手の気持ちを軽くする働きがあり、仲直りの言葉として使われます。
【ここがポイント!】
- 核は、橋の下を通り過ぎて、戻ってこない水のイメージ
- It’s water under the bridge. の形で、過ぎたことを気にしないと区切りをつける表現
- 謝られたときや、仲直りの場面で、相手の気持ちを軽くする一言
『フレンズ』S06E23のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
チャンドラーが、モニカに結婚を申し込むつもりだと打ち明けると、ロスとジョーイは、無視をやめる方向に一気に傾きます。ロスが義理の兄弟になることを喜び、ジョーイが「また友だちに」と続けたところで、チャンドラーが戸惑う場面です。
Ross: You’re gonna get married? I mean…. We’re gonna be brothers-in-law. Come here!
(結婚するのか? つまり……俺たち、義理の兄弟になるんだな。こっちに来いよ!)Joey: And we’re gonna be friends again.
(それに、俺たち、また友だちに戻れるな。)Chandler: Hey. What?
(おい。えっ?)Joey: Water under the bridge. Forget it!
(もう過ぎたことさ。気にするな!)Friends Season6 Episode23(The One with the Ring)
シーン解説と心理考察
ロスの You’re gonna get married? は、確かめる形の問いかけで、そのあとの I mean…. で、言葉を探すような間が入ります。続けて We’re gonna be brothers-in-law. と、結婚がもたらす新しい関係に触れます。Come here! は、そのまま相手を呼び寄せる言葉で、驚きが喜びに変わっていく勢いが出ています。
ジョーイの And we’re gonna be friends again. の again という語は、それまで二人がチャンドラーを無視していた状態を、あらためて浮かび上がらせます。これを受けたチャンドラーの Hey. What? は、その again に対して、戸惑いを短く返した言葉です。
そこでジョーイが Water under the bridge. Forget it! と、まとめて締めくくります。過ぎたことと区切りをつけたうえで、Forget it! と、もう気にするなと念を押す組み合わせです。無視を続けていた経緯も、ここで過ぎたこととして片づけられます。
チャンドラーはこのあと Okay. と受け入れ、正式に決まるまで待つつもりだったけれど、二人は親友だから打ち明けずにいられなかった、と話し始めます。無視の作戦が、結婚の話をきっかけに、あっけなく終わっていく流れです。深刻な絶交ではなかったことも、この切り替えの早さから読み取れます。
ジョーイが Water under the bridge. の直後に Forget it! を重ねている点にも、意味の働きが出ています。前半で「過ぎたこと」と区切りをつけ、後半で「だから引きずらなくていい」と相手に呼びかける二段構えで、チャンドラーが戸惑ったままにならないよう、気持ちの整理まで先回りして伝えています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
water under the bridge は、橋の上から川を見下ろして、橋の下をくぐった水が下流へ流れていく様子を思い浮かべると覚えやすい表現です。いったんくぐり抜けた水は、橋の向こう側へ流れていくだけで、こちら側には戻ってきません。
ロスとジョーイの場面も、この光景に重なります。二人が固めていた無視の作戦が、橋の下を通り過ぎた水のように、もう過ぎたことになる切り替えです。追いかける必要はなく、流れていく水を眺めているだけで、気持ちが軽くなります。橋の上に立つ側は、水を止めることも呼び戻すこともしません。ただ見送るだけです。過ぎたことは橋の下を通り抜けたもの、と頭に置いておくと、もう気にしないと伝えたい場面で、この一言がすっと浮かびます。
例文で覚える「water under the bridge」
過ぎたことに区切りをつける water under the bridge を、3つの例文で確認していきましょう。
Don’t worry about the argument. It’s water under the bridge.
(口論のことは気にしないで。もう過ぎたことだから。)
けんかのあとに、相手の気持ちを軽くする場面です。前半で気にしないでと伝え、後半で理由として使うと、区切りがはっきり伝わります。
What happened last year is water under the bridge now.
(去年のことは、もう過ぎたことだ。)
過去のトラブルを整理して、前に進む場面です。now を添えると、いまはもう過去の話になっているという意味がはっきりします。
A: I’m so sorry about what I said yesterday.
B: It’s okay. It’s water under the bridge.
(A:昨日言ったこと、本当にごめん。)
(B:いいよ。もう済んだことだよ。)
謝罪を受け止める会話です。It’s okay. のあとに続けると、許して終わりにするという意味が丁寧に伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
let it go
(手放す、気にしない)
let it go は、これから気持ちを手放すよう促す言い方です。water under the bridge は、すでに過ぎたことだと区切りをつける言い方になります。
forgive and forget
(許して忘れる)
forgive and forget は、「許して、忘れる」という行動を表します。water under the bridge は、その状態を「過ぎたこと」とまとめて言う名詞句の形です。
bury the hatchet
(仲直りする、けんかをやめる)
bury the hatchet は、対立をやめて仲直りする行動を表します。water under the bridge は、過ぎたことを気にしないと区切りをつける言い方です。
Note|水・橋・「下」の3つの語が描く、過ぎた出来事の光景
今回のシーンで、ジョーイは Water under the bridge. と短く言いました。この表現は、水、橋、下という3つの語で、ひとつの光景を描いています。
まず water は、流れていくものです。川の水は、同じ場所にとどまらず、下流へ進みます。次に bridge は、川の上にかかり、水が通り抜ける位置を示します。橋は動かず、水だけが通り過ぎます。そして under は、その橋の下を通ったことを表します。橋の下を通った水は、もう橋より先へ進んでいるので、こちら側には戻ってきません。この光景が、「過ぎたことは戻らないから、気にしない」という意味に広がっています。
日本語の「水に流す」も水を使う言い方ですが、こちらは「流す」という、自分の意思で行う動作を表します。これに対して water under the bridge は、すでに流れてしまった結果を眺めている言い方です。過ぎたことを、自分が流すのではなく、もう流れ終わったものとして見ている点が違いです。
ジョーイの一言も、無視の作戦という出来事を、橋の下を通り過ぎた水として見ています。これから流すのではなく、もう流れ去ったものとして、追わないという宣言です。
動かない橋と、戻らない水。過ぎたことを追わない光景が、短い一言に収まっています。
まとめ|橋の下を通った水は、もう追わない
water under the bridge は、すでに過ぎ去って、もう気にしなくてよい出来事を表す慣用句です。It’s water under the bridge. の形で、けんかや失敗に区切りをつけ、相手の気持ちを軽くする言葉として使われます。
ジョーイは、無視の作戦という出来事を、Water under the bridge. Forget it! と、短い言葉でまとめました。ロスとジョーイの無視が、結婚の話をきっかけに、あっさり過ぎたことに変わる流れが、この表現の使いどころをよく示しています。
過去のもめごとを、もう追わないと区切りをつける一言を、表現の引き出しに加えてみてください。


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