海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
流行した商品や、町じゅうで話題になったものを思い出して、「あのころはみんなが夢中だったな」と懐かしくなったことはありませんか。
そんなときにぴったりの「went nuts for」を、『モダンファミリー』シーズン6第17話の前半、昔のCMの人気ぶりを語るジェイと、それに言葉を返すクレアの会話から、一緒に見ていきましょう。
「went nuts for」の意味とニュアンス
went nuts for
意味:〜に熱狂した、〜に夢中になった
went nuts for は、go nuts for の過去形です。ある物や人に対して大喜びし、夢中になって盛り上がる様子を表す口語表現で、熱狂の向かう先を for のあとに置きます。
この表現の中で、nuts は「夢中・熱狂」を表す語として働いています。ヒットした商品、人気の番組、話題の人物など、多くの人が一斉に夢中になった対象について語るときに使えます。主語が「町全体」「観客」「ファン」のような人の集まりになると、盛り上がりの規模の大きさがそのまま伝わります。
go は「ある状態へ移っていく」動きを表す動詞です。そのため、この表現は「夢中になった」という出来事の動きを語る形になります。今まさに夢中でいる状態を言いたいときは be wild about のような言い方が向き、went nuts for は「盛り上がりが起きた」ことを報告する言い方だと押さえておくと、使い分けやすくなります。
過去の出来事を語るときは went、いつもの傾向を語るときは go や goes と、時制に合わせて形を変えます。どの時制でも、対象は for のあとの名詞で示します。
【ここがポイント!】
- 「went nuts for」の核は、ひとつの対象に向かって一斉に夢中になり、盛り上がっていく動き
- 主語が町全体や観客のような人の集まりだと、熱狂の規模の大きさが伝わる表現
- 熱狂の向かう先は for のあとに置き、過去の出来事なら went の形で語るのがコツ
『モダンファミリー』S06E17のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
昔のCMの話題で、ジェイとクレアが言葉を交わす場面です。ジェイは、そのCMが町じゅうで大人気だったこと、そして通りで呼び止められてスローガンを頼まれたことを語ります。そこへクレアが問いを返し、スローガンの言葉の作りをめぐって二人のやり取りが続いていきます。
Jay: The entire town went nuts for that ad. People stopped me in the street, asking me to say the slogan.
(町じゅうがあの広告に夢中になったんだ。通りで呼び止められて、あのスローガンを言ってくれって頼まれたもんだ。)Claire: Are you sure they weren’t asking you to explain it?
(それ、本当に意味を説明してって頼まれてたんじゃないの?)Jay: What’s to explain? Instead of, “Like it? You’ll love it,” you use the word “closet.
(説明することなんかあるか? 「気に入った? きっと大好きになるよ」って言う代わりに、「クローゼット」って単語を使うだけだ。)Claire: Then why not, “Like it? You’ll closet!”?
(だったら「気に入った? きっとクローゼット!」って言えばいいじゃない?)Jay: That makes no sense.
(それじゃ意味が通らないだろ。)Modern Family Season6 Episode17 (Closet? You’ll Love It!)
シーン解説と心理考察
ジェイの最初の一言は、CMの人気を「町全体」という大きな単位で言い切る語りです。続けて、通りで呼び止められたという具体的な出来事を挙げていて、人気の証拠を自分の体験として示す話し方が伝わってきます。
これに対するクレアの返しは、ジェイの話の前提を確かめる問いかけです。「説明を頼まれていたのでは」というクレアの問いは、スローガンの意味がすぐには分からないという疑いを、やわらかい形で差し出しています。ジェイは「説明することなんかあるか」と、疑問そのものを受け付けない調子で切り返します。
そのあとのジェイの説明は、「気に入った? きっと大好きになるよ」の代わりに「クローゼット」という単語を使う、という仕組みの話です。クレアがその形に当てはめて「きっとクローゼット!」と言い換えてみせると、ジェイは「意味が通らない」と応じます。スローガンの作りを自分で説明しておきながら、同じ形に当てはめたクレアの言い換えは「意味が通らない」と退ける展開が、父と娘の言い合いにおかしみを添えています。
町じゅうの熱狂を語る went nuts for が会話の入口に置かれていることで、そのあとの言い合いが、大人気だったCMをめぐる語りの続きとして読めます。盛り上がりの大きさを語る言葉と、その意味を問う言葉が並ぶ、対照のある場面です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
went nuts for は、広場に集まった人たちが同じ方向へ一斉に沸き立つ光景で覚えられます。
ひとりが小さく喜ぶのではなく、町じゅうの人が同じ対象に向かってわっと盛り上がる。そんな「一斉に沸く」動きを、went の「動き」の感覚と重ねて思い浮かべてみましょう。ジェイが語った「町じゅうがあの広告に夢中になった」という言葉も、まさにこの光景を一言にまとめたものでした。
通りで人に呼び止められる場面を頭に描くと、熱狂が町のあちこちに広がっていたことまで見えてきます。誰かの人気ぶりや、流行したものの話を聞いたとき、広場が沸き立つ景色を思い浮かべてみると、この表現が自然に出てきます。
例文で覚える「went nuts for」
夢中になって盛り上がる場面で使う went nuts for を、3つの例文で確認していきましょう。
The whole office went nuts for the new coffee machine.
(オフィスじゅうが新しいコーヒーマシンに大喜びしました。)
職場で新しい設備が話題になった場面です。the whole office のような人の集まりを主語にすると、盛り上がりの広がりが伝わります。
Fans went nuts for the surprise announcement.
(ファンはサプライズの発表に熱狂しました。)
反響を報告するニュースのような場面です。対象を for のあとに置く形で、何に熱狂したのかをはっきり示せます。
A: How did the audience react?
B: They went nuts for the last song.
(A:お客さんの反応はどうだった?)
(B:最後の曲で大盛り上がりだったよ。)
イベントの感想を友人同士で話す会話です。過去の出来事として「盛り上がった」ことを伝える、went の形の使い方が確認できます。
あわせて覚えたい関連表現
go crazy over
(〜に熱狂する)
go crazy over も、対象に向かって夢中になる動きを表します。went nuts for と並べると、for と over という前置詞の違いが目に見える形になります。
be wild about
(〜に夢中である)
be wild about は、夢中でいる状態を表す言い方です。went nuts for が「盛り上がりが起きた」という出来事の動きを語るのに対し、こちらは今の気持ちを語るときに向いています。
get excited about
(〜に興奮する、わくわくする)
get excited about は、気持ちが高まる動きを表す言い方です。went nuts for のように騒ぎになるほどの盛り上がりまでは含まず、わくわくする気持ちを語る場面で使えます。
Note|熱狂は「起きた出来事」か「今の状態」か、で言い分ける
熱狂や夢中を表す英語の言い方は、いくつもあります。ここでは、go nuts for を中心に、動きを語る形と状態を語る形の違いを整理します。
went nuts for と go crazy over は、どちらも「夢中になっていく」動きを語る言い方です。The crowd went nuts for the band.(観客はそのバンドに熱狂した)のように、盛り上がりが起きた出来事として話を進められます。両者の目に見える違いは、対象の前に置く前置詞が for か over かという点です。
一方、be wild about は状態を語る言い方です。I’m wild about this band.(このバンドに夢中です)のように、今の気持ちを述べる形になります。get excited about も動きの語ですが、盛り上がって騒ぐというより、気持ちが高まっていくことを語ります。同じ「夢中」でも、出来事を報告したいのか、今の気持ちを伝えたいのかで、選ぶ言い方が変わります。
ジェイの went nuts for は、過去に町で起きた出来事を報告する形でした。「今も夢中だ」という状態の話ではなく、「あのとき盛り上がった」という過去の出来事の話だと分かります。動きと状態を意識しながら聞くと、同じ熱狂の話でも、話し手が伝えたいことの違いが見えてきます。
言い分けの軸は、出来事か状態かの一点です。
まとめ|町じゅうを沸かせた昔のCMの話から
went nuts for は、ひとつの対象に向かって一斉に夢中になり、盛り上がる動きを語る表現です。熱狂の向かう先を for のあとに置き、過去の出来事なら went の形で使います。
町全体、観客、ファンのような人の集まりを主語にすると、盛り上がりの規模が一言で伝わります。今の気持ちを語る be wild about との違いも押さえておくと、話したい内容に合わせて選び分けられます。
ジェイが昔のCMの人気ぶりを語る一言には、この表現が持つ「一斉に沸き立つ」感覚がそのまま詰まっていました。流行したものや盛り上がった出来事を語りたい場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。


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