海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
会議中の部屋に声をかけに行くかどうかで、親子の意見が分かれる。そんな瞬間が、ドラマには時々あります。
そんな場面で使われる「face time with someone」を、『モダンファミリー』シーズン7第5話の中盤、一日だけジェイの会社を任されたクレアが、デザインチームの会議に声をかけようと娘のアレックスを誘う場面から、一緒に見ていきましょう。
「face time with someone」の意味とニュアンス
face time with someone
意味:(人)と直接顔を合わせる時間、(特に上司などと)対面して接する機会
face time は、face(顔)と time(時間)が並んだ名詞で、メールや電話を介さず、直接顔を合わせて過ごす時間を指します。with someone を続けると、「誰と」顔を合わせる時間なのかが示されます。
仕事の場面では、上司や取引相手のような立場の人に、直接会って自分を見てもらう機会という含みで使えます。その時間が、相手の印象や評価に結びつくという見方が背景にあります。一方、家族や友人とのあいだでは、画面越しではなく向かい合って過ごす時間を、そのまま言い表す名詞になります。
形の面では、face time は数えない名詞として扱い、some face time、more face time のように量を表す語と組み合わせます。get face time with ~(~と直接会う機会を得る)、want face time with ~(~と顔を合わせたい)のように、動詞を前に置く形で使えます。
日本語に置き換えるときは、「顔を合わせる時間」「直接会う機会」「顔を売る機会」のように、文脈に合う言葉を選びます。どれを選ぶかは、with のあとの相手と前に置く動詞で決まります。
スマートフォンのビデオ通話サービスの名前に似た並びですが、ここでは一般名詞として、対面で過ごす時間を表しています。
【ここがポイント!】
- 「face time with someone」の核は、画面越しではなく直接顔を合わせて過ごす時間
- 仕事の場面では、上司などに顔を見てもらう機会という含みで使える
- get や want など動詞を前に置き、with のあとに会う相手を続けるのがコツ
『モダンファミリー』S07E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
クレアとアレックスのやり取りです。デザインチームが会議をしているところに、クレアが声をかけに行こうと誘い、アレックスは断ります。今回のフレーズは、クレアの最後の一言に出てきます。
Claire: The design team’s having a meeting. What do you say we go in there and give them a couple “attaboys,” huh?
(デザインチームがミーティング中ね。中に入って、みんなに「よくやってるわね」って声をかけに行かない?)Alex: No. No, they look really busy.
(ううん、やめとこうよ。みんな本当に忙しそうだし。)Claire: Don’t be silly. Everybody wants face time with the boss.
(何言ってるの。みんな、上司と顔を合わせたいものよ。)Modern Family Season7 Episode5 (The Verdict)
シーン解説と心理考察
クレアの「What do you say we go in there …?」は、誘いの形をとった提案です。「give them a couple “attaboys”」は、「よくやった」と励ます声かけを、いくつか届けに行こうという意味です。
アレックスの返事は、「they look really busy」と、相手チームの様子を理由にした断りです。短い「No」を重ねたあとに理由を添える運びで、乗り気でない様子が伝わってきます。
これに対してクレアは、「Don’t be silly」で断りを受け流し、「Everybody wants face time with the boss」と続けます。アレックスが忙しさという事実を挙げたのに対し、クレアは「みんな上司と顔を合わせたいものだ」という前提で返します。二人が見ている点がずれていて、そのずれが、このやり取りの見どころです。
「Everybody」と一般論の形で言い切るところにも、断るアレックスの理由を押し返す勢いが表れています。その断りに対して理由を足して返すのではなく、前提そのものを言い切って返すのが、クレアの返し方です。会社を任された一日の立場を踏まえると、「the boss」という言い方が、この日のクレアの状況と重なって響きます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
face time with someone は、「顔」という字を相手の目の前に置いている時間として覚えられます。画面や文面には自分の顔が映りません。同じ部屋で向かい合ってはじめて、相手の視界に自分の顔が入ります。
クレアの一言を、この見方で読み返してみましょう。「Everybody wants face time with the boss」は、上司の顔を直接見られる時間を、みんなが望んでいるはずだ、という言葉です。会議中の部屋に顔を出すことが、そのまま「顔を見せる時間」になります。
会議の部屋の入り口に立って、自分の顔を相手の視界に入れにいくイメージを思い浮かべてみてください。顔を見せること自体が目的の時間が、face time という名詞の中心にあります。
例文で覚える「face time with someone」
直接会う時間を表す face time with someone を、3つの例文で確認していきましょう。
I need some face time with my manager before the review.
(評価の前に、マネージャーと直接話す時間がほしい。)
面談を申し込む、ビジネスの場面です。some を前に置いて、数えない名詞として量を表しています。
Remote work is great, but I miss the face time with my team.
(リモートワークは快適だけど、チームと顔を合わせる時間が恋しいよ。)
在宅勤務の良さと物足りなさを話す、気持ちの場面です。miss のあとに face time with ~ を置いて、懐かしむ気持ちを表しています。
A: Why is he always at the company parties?
B: He wants face time with the executives.
(A:彼、どうして会社の飲み会にいつもいるの?)
(B:役員と顔を合わせて、覚えてもらいたいのよ。)
社内の人間関係を話す日常の会話です。want の目的語に face time を置いて、上司の立場の人と会いたい理由を述べています。
あわせて覚えたい関連表現
quality time
(大切な人と過ごす充実した時間)
quality time は、家族や友人など大切な人と過ごす、中身のある時間を指します。face time は、仕事の場面でも使え、顔を合わせること自体に焦点がある点が違います。
in person
(直接、本人が出向いて)
in person は、「直接会って」という方法を表す言い方です。face time が「顔を合わせる時間」という名詞なのに対し、in person は動作のしかたを添える言い方で、役割が違います。
get in front of someone
(〜の前に出る、〜に直接会う機会を得る)
get in front of someone は、相手の前に出る機会を自分から作る動きに重点があります。face time with someone が時間そのものを指すのに対し、こちらはその機会をつかむ動作を表します。
Note|「顔を合わせる時間」と「顔を売る機会」で訳が分かれる face time の捉え方
face time を日本語にするとき、「顔を合わせる時間」と「顔を売る機会」という二通りの訳が、候補に挙がります。ここでは、どちらの訳が合うかを、前後の語から整理します。
face time は、語の構成どおりに言えば、顔を合わせて過ごす時間です。with the boss と上司が続けば、「上司と直接会う時間」になります。仕事の場面では、その時間が相手の印象や評価につながるため、「顔を売る機会」と訳したほうが自然な場合があります。get face time with the boss は、「上司と話す機会を得る」「上司に顔を覚えてもらう」と訳すと、意味がはっきりします。
一方で、I miss the face time with my team のように、人との時間を懐かしむ文では、「顔を合わせる時間」と訳すほうが合います。ここには、顔を売るという働きかけの意味合いは入りません。つまり、訳語は、動詞と、with のあとに来る相手に応じて選ぶことになります。
クレアの「Everybody wants face time with the boss」は、want の目的語に face time が置かれた形です。「みんな上司と顔を合わせたいものよ」と訳せば、シーンの調子がそのまま伝わります。
訳語を一つに決めずに、動詞と相手から選ぶ。この見方が、face time を読むときの手がかりです。
まとめ|「顔を合わせる時間」を一言で
face time with someone は、画面や文面ではなく、直接顔を合わせて過ごす時間を表す表現です。仕事の場面では、上司などに顔を見てもらう機会という含みが加わり、家族や友人とのあいだでは、向かい合う時間そのものを指します。
get や want、miss など動詞を前に置き、with のあとに相手を続けて使います。quality time や in person と並べると、時間を指すのか、方法を指すのかが整理できます。
アレックスの慎重な断りと、クレアの押し返す一言の落差からは、二人が会う時間のどこを見ているかの違いが見えてきます。会う時間を求める気持ちを言い表したいとき、この名詞が使えます。


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