海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
大事な日を前にして気持ちが高ぶりそうなとき、先に思いきり出しておこうと考えることがあります。
そんな発想を一言で言い表せる「get something out of one’s system」を、『モダンファミリー』シーズン8第22話の中盤、卒業式を前にしたフィルに、ヘイリーがある作戦の理由を明かす場面から、一緒に見ていきましょう。
「get something out of one’s system」の意味とニュアンス
get something out of one’s system
意味:たまった感情や衝動を出し切って、すっきりする
get something out of one’s system は、気持ちや衝動、やりたい欲求などを思いきり出して、心や体の中から取り除くことを表す表現です。system は「体の仕組み、体内」、get A out of B は「AをBから外へ出す」という意味で、体の中にたまったものを外へ出してしまうイメージになります。
出し切ったあとは、もう中に残っていない、という含みがあります。少しずつ発散するのではなく、気が済むまで出し切って、その気持ちを片づけてしまう点が特徴です。
日本語の「システム」という語感から、機械や仕組みのことだと受け取ると、意味がつかめなくなります。ここでの system は、体全体を一つの仕組みとして見た「体内」「心身」を指します。気持ちや衝動を、体の中にたまった物のように扱う言い方です。
形の面では、something の部分に、出したいものを表す語が入ります。it でもよく、the anger(怒り)や all the crying(泣くこと全部)のような名詞でもかまいません。one’s の部分は主語や相手に合わせて my・your・his・her などに入れ替わります。今回のシーンでは、something が all the crying、one’s が your になっています。抽象的な something を、場面に合わせて具体的な語に置き換える、と考えると分かりやすくなります。
思いきり泣く、思いきり叫ぶ、一度やってみて満足する、といった場面で、「これで気が済んだ」という含みで使えます。
【ここがポイント!】
- 「get something out of one’s system」の核は、たまったものを出し切って、中に残さないこと
- something には it や all the crying など、出したいものを表す語が入る
- one’s は my・your・his などに入れ替わり、目的語は get と out of の間に置く
『モダンファミリー』S08E22のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
フィルが問いかけ、アレックスとヘイリーが答えていく場面です。ルークの赤ちゃんの頃の写真という話から始まり、やがて理由が明かされます。フィルの「なんでこんなことを?」という問いに、ヘイリーがどう答えるのかに、耳を傾けてみましょう。
Phil: Baby pictures of Luke?
(ルークの赤ちゃんの頃の写真?)Alex: More than baby pictures. You’re gonna watch Luke grow up to sappy music.
(写真だけじゃないよ。しんみりした音楽に合わせて、ルークが成長していくのを見てもらうから。)Phil: Why are you doing this?
(なんでこんなことをするんだ?)Haley: To get all the crying out of your system so you don’t melt down at the graduation.
(卒業式で取り乱さないように、先に泣くのを全部出し切ってもらうためよ。)Modern Family Season8 Episode22 (The Graduates)
シーン解説と心理考察
フィルは Baby pictures of Luke? と、ルークの赤ちゃんの頃の写真なのかと確かめます。するとアレックスは、More than baby pictures. と、写真だけでは終わらないことを告げます。続く You’re gonna watch Luke grow up to sappy music. は、「しんみりした音楽に合わせて、ルークが成長していくのを見る」という意味で、フィルが見ることになる内容の説明です。sappy は「感傷的な、しんみりした」を表します。
フィルが Why are you doing this? と尋ねる this は、いまアレックスが話した、ルークの成長を見てもらうことを指しています。理由を問う、素直な質問です。
その答えが、ヘイリーの To get all the crying out of your system so you don’t melt down at the graduation. です。To で始まる文は、「〜するために」と目的を述べる形です。so you don’t melt down は「取り乱さないように」という意味で、melt down は、感情が崩れて取り乱すことを表します。卒業式で取り乱さないよう、先に泣くのを全部出し切ってもらう、というのが作戦の目的です。so は「〜するように」と目的の結果を述べる働きをして、前半の「出し切ってもらう」と後半の「取り乱さない」が、一続きの目的になっています。
アレックスとヘイリーの二人は、卒業式でフィルの気持ちがあふれることを気にかけて、先に十分泣いてもらう、という少し強引な手を考えています。説明を順々に並べていく話しぶりには、父親を思う気持ちと、やや呆れた気持ちの両方がのぞきます。この会話で語られているのは、作戦の中身と二人の狙いまでです。
目的を述べる文の中で、get … out of your system という形が、泣くという行いを体の中から出す動きとして語られています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
体の中にたまった重たいものを、栓を開けて、すべて外へ流し出す。そんな蛇口の図を、system の「体内」という意味に重ねてみましょう。外へ出してしまえば、体は軽くなります。「出し切ってすっきりする」という意味は、この軽さに結びついています。
ヘイリーの言う all the crying は、体の中にたまっている「泣くこと」のかたまりです。それを your system の外へ get する、つまり流し出す。蛇口の絵と一緒に、get と out of の間にたまったものを置く語順も覚えておくと、形が崩れません。
例文で覚える「get something out of one’s system」
気持ちを出し切る場面を、日常会話の中で三通りに確かめましょう。
Go for a run and get it out of your system.
(走ってきて、もやもやを出し切ってきなよ。)
落ち込んだ友人にすすめる場面です。it が何を指すかは文脈で決まり、体を動かして気持ちを出し切る提案になります。
A: Why are you playing the same sad song again?
B: I just need to get it out of my system.
(A:どうして同じ悲しい曲をまた流してるの?)
(B:気持ちを出し切りたいだけなんだ。)
気持ちの整理をしている相手に理由を尋ねる会話です。I need to のあとに続けると、自分に必要なことを述べる言い方になります。
Once she got the travel bug out of her system, she settled down.
(旅に出たい気持ちが収まると、彼女は落ち着きました。)
知人の若い頃を振り返る場面です。the travel bug のような名詞を置くと、収まった衝動の中身を具体的に述べられます。
あわせて覚えたい関連表現
let off steam
(ガス抜きをする、うっぷんを晴らす)
let off steam は、たまった圧を少しずつ発散することに重心があります。get something out of one’s system は、気が済むまで出し切って、もう出てこない状態にすることに重心があります。
get something off one’s chest
(胸のつかえを下ろす、打ち明ける)
get something off one’s chest は、悩みや不満を人に話して楽になることに重心があります。get something out of one’s system は、話すことに限らず、体を動かすなど別の方法で出し切る場合も含みます。
burn off
((エネルギーなどを)使い切る)
burn off は、エネルギーや余った勢いを、動いて使い切ることに重心があります。get something out of one’s system は、気持ちや衝動を出し切る点が近い表現です。
Note|目的語は get と out of の間に入る。get it out of one’s system の語順
get something out of one’s system を使うときに、つまずきやすいのが語順です。「何を」出すのかを表す語は、get の直後、out of の手前に置きます。
get it out of your system なら、it が目的語です。it は短い語なので、前の文で出てきた気持ちを受けるときに便利です。ドラマの get all the crying out of your system では、all the crying が目的語に当たります。どちらの場合も、get のすぐあとに目的語を置き、そのあとに out of one’s system を続ける順は変わりません。
one’s の部分は、誰の体や心から出すのかによって入れ替わります。自分なら my、相手なら your、第三者なら his や her です。ヘイリーは、出すのがフィルの中にたまった気持ちなので、your を選んでいます。
文の形は、命令文にも to 不定詞にも過去形にも組み込めます。Go for a run and get it out of your system. は命令文、I just need to get it out of my system. は to 不定詞、Once she got the travel bug out of her system は過去形の例で、動詞の get だけが形を変えます。
get、目的語、out of、one’s system と順に口にして覚えると、語順が定着します。
まとめ|泣くことを体の外へ。ヘイリーが言い切った作戦の理由
get something out of one’s system は、たまった感情や衝動を出し切って、すっきりする表現です。something には出したいものを表す語が入り、one’s は主語や相手に合わせて入れ替わります。
フィルに写真と音楽を見てもらう理由を、ヘイリーは「卒業式で取り乱さないように、泣くのを全部出し切ってもらうため」と言い切りました。ルークの成長を見せる、という作戦の中身と、その目的が、get all the crying out of your system という言い方で語られていました。


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