海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
子どもを初めて学校へ送り届けた日の光景が、ふとしたきっかけで思い出されることはないでしょうか。
そんな思い出に出てくる「drop someone off」を、『モダンファミリー』シーズン10第5話の後半、フィルがキャメロンに初めてヘイリーを学校へ送った日を語る場面から、一緒に見ていきましょう。
「drop someone off」の意味とニュアンス
drop someone off
意味:(人を車で)送り届ける、降ろす
drop someone offは、車などで人を目的地まで運び、そこで降ろすことを表します。dropは「落とす、降ろす」、offは「離れる」を表す語で、人を降ろしてその場から離れる動きがそのまま形になっています。主語になるのは運転する側で、「誰を」はdropとoffのあいだに置きます。
見出しの形はdrop someone offですが、シーンではdropping Haley offの形で出てきます。someoneの位置にヘイリーの名前が入り、動詞がing形になっているだけで、意味は変わりません。目的語が代名詞のときは必ずdrop her offのようにdropとoffのあいだに入れ、drop off herとは言えません。名詞のときは、drop Haley offのほかdrop off Haleyの語順も使えます。
降ろす場所はatやoutsideなどで続けます。シーンのat schoolのように、どこで降ろしたのかを添えると一文が完成します。運ぶ側の視点の言い方なので、乗っていた側の立場から言うときは、get dropped off at schoolのように受け身の形も作れます。目的地まで運ぶ動作全体ではなく、降ろす地点に焦点を置く点が、日本語の「送る」との違いです。dropは単独だと「落とす」ですが、offが付くことで、人や荷物を目的地に置いてくる動きにまとまります。drop off the packageのように荷物を届ける場面にも同じ形が使えるので、人に限らず「届けて降ろす」動きを表せます。
【ここがポイント!】
- 「drop someone off」の核は、車で運んだ人を目的地で降ろして離れる動き
- 代名詞はdrop her offのようにdropとoffのあいだに置く
- 降ろす場所はat ~ で添え、運ばれた側から言うならget dropped offの受け身になる
『モダンファミリー』S10E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
フィルがキャメロンに、初めてヘイリーを学校へ送り届けた日の思い出を話します。大きな目で見つめて泣く娘に「大丈夫だよ」と告げて車へ戻り、そこで自分も泣き出したという語りです。フィルは「そこで待っててくれたのは誰だと思う?」と続け、語りの冒頭の一文にあるdropping Haley offに注目しながら見ていきます。
Phil: I remember dropping Haley off at school for the first time. Her staring at me with those giant eyes, her lips quivering, crying for me to stay. And I, uh I told her everything is gonna be all right, and then I stagger back to my car and I start crying.
(初めてヘイリーを学校に送っていった日のことを覚えてるよ。あの大きな目で俺を見つめて、唇を震わせて、行かないでって泣いてさ。それで俺は、その、「大丈夫だよ」って言って、よろよろ車に戻って、泣き出したんだ。)Cameron: Oh, gosh.
(ああ、まいったな。)Phil: And you know who was there waiting for me?
(そこで待っててくれたのは誰だと思う?)Cameron: Well, if it’s not Dede, it’s kind of a touching but pointless story.
(ええと、ディーディーじゃないなら、胸にはくるけど落ちのない話だね。)Phil: It was Dede. She knew it was gonna be a hard day for me. I can’t believe she’s gone.
(ディーディーだったんだ。俺がつらい日になるって分かってたんだな。彼女がいなくなったなんて信じられないよ。)Modern Family Season10 Episode5 (Good Grief)
シーン解説と心理考察
フィルの語りは、I remember dropping Haley off …という書き出しで始まります。remember ~ingは「〜したことを覚えている」という形で、過去の一場面をそのまま思い出す言い方です。大きな目、震える唇、行かないでという声と、細部がいくつも並んでいて、その日の光景が今もはっきり残っていることがうかがえます。Her staring at me with those giant eyes …は、動作の様子を名詞のかたまりで並べる書き方で、ヘイリーの表情を一枚ずつ切り取るように伝えています。
キャメロンの反応は「Oh, gosh.」と短く、続くフィルの問いかけに「ディーディーじゃないなら、胸にはくるけど落ちのない話だね」と返します。この返しは、話の行き先を探るやり取りです。フィルの答えは「It was Dede.」で、思い出の中にいた人物がここで明かされます。
最後にフィルは、She knew it was gonna be a hard day for me.と、その日がつらい日になると彼女が分かっていたと語り、I can’t believe she’s gone.で現在の気持ちに戻ります。子どもを送り届けた日の記憶が、ディーディーを失った実感へつながっていく流れが、一つの語りにまとまっています。
フィルの語りは長い一続きですが、キャメロンの「Oh, gosh.」を境に、後半は問いと答えの形に切り替わります。語りから会話へ戻る流れの中で、drop someone offを含む最初の一文は、思い出の入り口の役目を担っています。英語の形としても、人を送り届ける日常の動作を、一文の中で場所と時を添えて描いています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
車の座席から人をそっと地面へ降ろし、車だけがその場を離れていく。その絵がdrop someone offの形です。dropが「降ろす」、offが「離れる」なので、降ろしたあとで車が離れていく動きがそのまま形になっています。
フィルの語りにも、同じ動きが出てきます。ヘイリーを学校で降ろしたあと、フィルは一人で車へ戻っていきます。降ろす場面と、降ろした側が離れていく場面が一続きで描かれているので、drop someone offの絵がそのまま見える語りです。
例文で覚える「drop someone off」
送り届けるときの申し出、降ろす場所の頼み方、送ってもらう側の報告の3つを、語順の確認も兼ねて並べます。
I’ll drop you off at the station on my way to work.
(仕事に行く途中で、駅まで送っていくよ。)
送り迎えを申し出る場面です。代名詞のyouがdropとoffのあいだに入り、at the stationで降ろす場所が決まります。
Could you drop me off at the corner, please?
(角のところで降ろしてもらえますか?)
タクシーなどで降りる場所を頼む場面です。Could you ~?の形にすると依頼がていねいになり、場所をはっきり伝えられます。
A: How are you getting home tonight?
B: Mike said he’d drop me off.
(A:今夜はどうやって帰るの?)
(B:マイクが送ってくれるって。)
帰り道の手段を尋ねる会話です。主語を運転する人にして、送ってもらう側の自分をmeで受けています。
あわせて覚えたい関連表現
pick someone up
((人を)車で迎えに行く)
乗せる側の動作を表し、drop someone offと対になります。送る日と迎える日の往復を言い分けるときに、二つをセットで使えます。I’ll pick you up at six.のように、迎えの時刻を添える言い方もできます。
see someone off
((人を)見送る)
駅や空港などで、出発する人を見届けることを表します。drop someone offが車で運ぶ動作を含むのに対し、see someone offは見届ける行為に焦点があります。
give someone a ride / lift
((人を)車に乗せる)
乗せることを広く表す言い方です。drop someone offが降ろす地点に焦点を置くのに対し、give someone a rideは乗せて運ぶことそのものを指します。
Note|代名詞の位置と、dropとpick upの対
drop someone offは、語順と対の表現を押さえると使いこなしやすくなる表現です。送り届ける動きを一語ずつ分けて見ると、形のルールがはっきりします。I’ll drop off the kids at school.のように名詞を後ろに置いても、意味は同じです。運ばれた側から言うなら、I got dropped off at school.のように受け身で表せます。
dropとoffは句動詞で、目的語が代名詞のときはあいだに入れます。I’ll drop her off at five.のように言い、drop off herの形にはなりません。名詞の場合は、drop the package offとdrop off the packageのどちらも使えます。そして迎えに行く側の動きはpick someone upで言い表すので、I’ll drop you off at school and pick you up at five.と一文に並べると、送りと迎えの一日が描けます。日本語では「送る」で運ぶ動作全体を言えますが、drop someone offは降ろす地点に焦点があるため、「学校で降ろす」「学校まで送り届ける」のように訳し分けると、英語の焦点が伝わります。
シーンのI remember dropping Haley off at school for the first time.も、この形のままです。dropとoffのあいだにHaleyが入り、ing形になっているのは、remember ~ingで過去の出来事を思い出す形を作るためです。
まとめ|送り届けた日の記憶を、一語で言い表す
drop someone offは、車で運んだ人を目的地で降ろすことを表す表現です。代名詞はdropとoffのあいだに置き、降ろす場所をat ~ で添えると、送り届けた場面が一文で描けます。
迎えに行くpick someone upと並べると、送りと迎えの一日を言い分けられます。申し出にも、降りる場所の頼みごとにも使える、日常に近い一言です。
ヘイリーを学校へ送り届けた日の記憶が、ディーディーを悼む言葉へつながっていくフィルの語りは、送り迎えという日常の動作に、一人ひとりの思い出が重なっていることを伝えていると言えます。


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