海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン4第23話では、RVでの家族旅行を思い描くフィルに対し、クレアはある狙いから、子どもたちと車内で過ごす様子をそのままフィルに見せようとします。夫の計画をめぐる、2人の駆け引きが見どころです。
今回は、作戦の途中で出るとぼけた一言、相手の狙いを口調から言い当てる言い方、そして作戦を自分から打ち明ける表現までを、車内で交わされた会話の順に一つずつたどります。
「Didn’t mean to start a whole thing」ととぼける
家族を乗せたRVの車内で、娘2人の服をめぐる言い合いが始まりかけたところで、クレアは次のように口にします。
Claire: Didn’t mean to start a whole thing.
(大ごとにするつもりはなかったのよ。)Modern Family Season4 Episode23 (Games People Play)
Didn’t mean to ~ は、主語の I を省いた「〜するつもりはなかった」という言い方です。会話では I didn’t mean to … の I が落ちることが多く、軽い謝罪や言い訳の響きになります。
a whole thing は、「ひと騒ぎ、大ごと」を指すくだけた名詞句です。start a whole thing で「騒ぎの火種を作る」、make a whole thing out of it なら「それを大ごとにする」という意味になります。
- A: Sorry, I didn’t mean to start a whole thing.
(ごめん、騒ぎにするつもりはなかったんだ。) - B: It’s fine. They always argue about that.
(いいよ。あの2人、いつもそれでもめるから。)
この一言は、言葉どおりに受け取れば謝罪です。ただ、このあとクレア自身が明かす内容を知ってから見直すと、聞こえ方が少し変わってくるのが面白いところです。
Didn’t mean to は、本当にうっかりした場面でも、あえて軽く流したい場面でも使えるため、言い方や前後の流れで受け取り方が変わります。英語の謝罪表現は、言葉そのものより、誰がどんな状況で口にしたかと合わせて読むと意味がはっきりしてきます。
「You’re making a point」で相手の狙いを言い当てる
車内の騒ぎが大きくなったあと、クレアの口ぶりを聞いたフィルは、その意図に気づきます。
Phil: I know that tone.
(その口調は知ってるぞ。)Phil: You’re making a point.
(何か言いたいことがあるんだろ。)Claire: It’s better that you find out who they are now than when you’re halfway across the country.
(国の半分まで来てから知るより、今のうちにあの子たちの正体を知っておくほうがいいでしょ。)Phil: Well, I guess I’m just a naive boob who thought we liked each other! Obviously, it was too much to ask to think that we could take one magnificent trip in a tricked-out, state-of-the-art R.V. to see the sun dancing off the Pacific.
(そうか、俺はみんな仲良しだと思ってたおめでたいバカってわけだ! 改造済みの最新式RVで、太平洋にきらめく太陽を見に、一度くらい最高の旅ができるなんて、望みすぎだったってことだな。)Modern Family Season4 Episode23 (Games People Play)
I know that tone. は「その口調には覚えがある」と、言葉の中身より話し方から相手の考えを読み取ったことを伝える言い方です。続く make a point は「主張をはっきり示す、何かを分からせようとする」という意味で、進行形の You’re making a point. は「今まさに何かを示そうとしているね」と相手の狙いを言い当てる形です。You have a point.(一理あるね)とは働きが違うので、区別して覚えておくと便利です。
クレアの It’s better that A now than when B は、「Bのときより今Aのほうがいい」と、早めに知ることの利点を示す比較の型です。フィルの it was too much to ask は「望みすぎだった」という意味で、ここでは本心からの反省というより、がっかりした気持ちを皮肉まじりに表しています。naive boob と自分を呼ぶのも、自嘲を込めた言い方と言えます。
「prove a point」と「Don’t gloat」で作戦の結末を話す
その後、クレアは子どもたちを前に、自分のしたことをこう打ち明けます。
Claire: I goaded you guys into a fight to prove a point.
(言いたいことを分からせるために、あなたたちをけしかけてけんかさせたの。)Modern Family Season4 Episode23 (Games People Play)
goad ~ into … は「〜をけしかけて…させる」という動詞で、goad は家畜を追い立てる突き棒が由来とされる語です。prove a point は「自分の主張が正しいと示す」という意味で、make a point が「主張を示そうとする」ことに重心があるのに対し、こちらは実際の行動で証明する響きが強くなります。車内の最初の一言と並べると、作戦の全体像が見えてきます。
やがてクレアがフィルに声をかけると、フィルは先回りして負けを認めます。
Claire: Phil, I have to show you something.
(フィル、見せたいものがあるの。)Phil: Don’t gloat.
(得意がるなよ。)Phil: I get it.
(分かってる。)Phil: I keep trying to push this family closer together, but they need their space.
(この家族をもっと近づけようとしてきたけど、みんなには自分の空間が必要なんだ。)Claire: No, no, no.
(違う、違う、違うの。)Claire: We have too much space.
(私たちには空間がありすぎるのよ。)Claire: Being trapped in one room has forced us to actually talk to one another, and I have found out some incredible things about our kids.
(ひと部屋に閉じこめられたおかげで、みんなちゃんと話すしかなくなって、子どもたちのすごいことがいろいろ分かったの。)Modern Family Season4 Episode23 (Games People Play)
Don’t gloat. は「勝ち誇るな、得意がるな」と、相手が喜ぶ前に釘を刺す一言です。フィルの need their space を、クレアが We have too much space. とひっくり返して受けているのが見どころです。force ~ to … は「〜に…せざるを得なくさせる」で、狭い空間が会話を生んだという結論につながっています。作戦の結末は、クレアが最初に見込んでいた方向とは違う形に落ち着いたと読み取れます。
まとめ|分からせる作戦と見抜く言葉
Didn’t mean to start a whole thing. でとぼけ、You’re making a point. で狙いを見抜かれ、goad into と prove a point で作戦を明かす。最後は Don’t gloat. と space の受け渡しで、話が思わぬ着地を見せます。
言葉の裏の狙いに気づくと、『モダンファミリー』の家族のやり取りがいっそう楽しめます。
同じ回のほかのコラムやフレーズ記事でも、家族それぞれの場面から別の英語表現を拾っています。


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