海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン5第15話では、ヘイリーとアレックスの姉妹が、部屋に運ぶ鏡や家の中のオポッサムをめぐって、次々と困った事態に向き合います。
同じ出来事でも、大したことはないと言うのか、いよいよ本気だと言うのかで、選ぶ英語はがらりと変わります。言葉の大きさひとつで、話し手の温度も伝わります。姉妹の言い合いから、事態の深刻さを上げ下げする言い方を見ていきます。
「We’re trapped!」と「not such a huge disaster」姉妹の温度差
始まりは、姉妹が鏡をヘイリーの部屋へ運ぼうとする場面です。クレアに今それを動かす必要があるのかと聞かれ、ヘイリーはこう答えます。
Claire: Do you girls have to move that now?
(今それ動かさなきゃだめなの?)Haley: Well, I’ve been lonely.
(だって、寂しかったんだもん。)Haley: Having a mirror in my room will be like having company!
(部屋に鏡があったら、誰かがいてくれるみたいでしょ!)Alex: Ugh, your daughter’s a parakeet.
(うわ、ママの娘ってインコだね。)Modern Family Season5 Episode15 (The Feud)
company はここでは「会社」ではなく「一緒にいてくれる相手」という意味で、will be like having company で「誰かがいてくれるみたいになる」と言っています。アレックスは、鏡を話し相手のように言う姉をインコにたとえて、母親に向かって皮肉っています。
その後、アレックスが声を上げ、二人の言い合いが始まります。
Alex: Oh, my God! We’re trapped!
(うそでしょ! 閉じ込められた!)Haley: Well, it it’s it’s not such a huge disaster.
(まあ、そ、そ、そんな大惨事ってわけじゃないし。)Haley: You know, you’ll just be a little late for school.
(ほら、学校にちょっと遅れるだけだって。)Alex: Make up your mind! Which is it?!
(はっきりしてよ! どっちなの?!)Haley: Oh, my God.
(うそ。)Haley: I’m missing a text.
(メッセージ見逃してる。)Alex: Just got real, didn’t it?
(急にマジになったじゃん?)Modern Family Season5 Episode15 (The Feud)
アレックスの We’re trapped! に対し、ヘイリーは not such a huge disaster と軽く受け流します。ところが、ヘイリーが Oh, my God と言ってメッセージを見逃していると口にすると、今度はアレックスに Just got real, didn’t it? と突っ込まれます。同じ状況でも、何が困るのかで二人の深刻さが入れ替わる流れが見どころです。遅刻よりもメッセージを気にする姉と、それを見逃さない妹という組み合わせが、短いやりとりの中にはっきり出ています。
「not such a huge disaster」と「just got real」はどう違う?
not such a huge disaster は、such a(それほどの)を否定して「そこまで大ごとではない」と事態を小さく見せる言い方です。huge disaster(大惨事)という大きな言葉をわざと持ち出して打ち消すので、相手の大げさな反応をなだめるときによく合います。続く you’ll just be a little late も、just と a little を重ねて影響を小さく見積もる形です。
一方の get real には「現実を見なよ」という意味もありますが、It just got real. の形では「事態が急に本気になった」「冗談では済まなくなった」という意味で使われることが多いと言われます。アレックスは主語の It を省き、didn’t it? という付加疑問を添えて、姉の態度が変わった瞬間を突いています。
間に挟まる Make up your mind! は「どっちかに決めて」と相手の矛盾を突く言い方で、Which is it? は「結局どっちなの?」と二択を迫る一言です。ヘイリーの it it’s it’s という言いよどみを受けて、「it」はどっちなのかと返しているとも取れます。
| 表現 | 深刻さ | 働き |
|---|---|---|
| We’re trapped! | 上げる | 困った状況を大きく訴える |
| not such a huge disaster | 下げる | 大ごとではないとなだめる |
| you’ll just be a little late | 下げる | 影響を小さく見積もる |
| Just got real, didn’t it? | 上げる | 事態が本気になったと指摘する |
| Make up your mind! Which is it?! | ― | 言っていることの矛盾を突く |
深刻さを下げる側の言い方として、ほかに It’s not the end of the world.(この世の終わりじゃない)や It’s no big deal.(大したことない)もよく知られています。上げる側では、This is serious. のようにまっすぐ言う形もあります。
「she’s not leaving」状況を伝えて次の手を示す
別の場面で、姉妹は家の中のオポッサムを相手にしています。ヘイリーは状況を伝えたうえで、次にどうするかを口にします。
Haley: Okay, she’s not leaving.
(ねえ、あの子出ていかないよ。)Haley: You got to lure her away from the staircase.
(階段からおびき出してよ。)Modern Family Season5 Episode15 (The Feud)
she’s not leaving は進行形の否定で、「出ていこうとしない」という今の状態を伝えます。lure ~ away from … は「〜を…からおびき出す」という句で、you got to(=you’ve got to)を付けて「〜しなきゃ」と相手に役目を振っています。状況を一言で伝えてから、次の手を具体的に示す順番は、困ったときの頼みごとにそのまま使える組み立てです。
Haley: My God, is she gonna sleep all day long?
(もう、一日中寝てるつもり?)Alex: Okay, that, coming from you? The possum’s actually laughing.
(は? それをあんたが言う? オポッサムが笑ってるよ。)Alex: And, besides, I mean, it’s obviously not sleeping.
(それに、どう見たって眠ってないし。)Modern Family Season5 Episode15 (The Feud)
coming from you? は「それをあなたが言う?」と、言った本人にそのまま返す一言です。アレックスは、一日中寝ているのかと言った姉に、その言葉を投げ返しています。ヘイリーはオポッサムを she と呼び、アレックスは it と呼んでいるのも分かります。英語では動物を it で指すのが一般的ですが、親しみを込めて he や she を使うこともあると言われます。
まとめ|深刻さを上げ下げする英語
not such a huge disaster や just a little late は事態を小さく見せる言い方、We’re trapped! や Just got real は深刻さを引き上げる言い方です。姉妹の言い合いからは、同じ出来事でも言葉選びで温度がまったく変わることが分かります。
次回も『モダンファミリー』のにぎやかな会話から、使える英語を拾っていきましょう。
ライバルへの返しや、試合に送り出す言葉は、同じ回のほかのコラムやフレーズ記事でも扱っています。


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