海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン5第15話では、ルークがレスリングの試合に臨みます。試合の前に「楽しんでこい」とルークを送り出したのはフィルです。ところが試合のあと、フィルは、自分とジェイが因縁を試合に持ち込んでしまったとルークに謝ることになります。
子どもや後輩を本番に送り出すとき、そして大人の側が失敗を認めるとき、英語ではどんな言葉が使われるのか。二つの場面の言葉を並べて見ていきます。
「Just get out there and enjoy yourself.」本番前に送り出す言葉
試合を前にしたルークは、フィルに最後のひと言を求めます。
Luke: Got any final dad-vice?
(最後に何か”父アドバイス”ある?)Phil: Starting to sound natural, right? You know what? Just get out there and enjoy yourself.
(だいぶ自然に聞こえてきたろ? いいか、とにかく行って楽しんでこい。)Phil: You showed real character trying a new sport.
(新しいスポーツに挑戦したことで、お前は本物の気概を見せたんだ。)Phil: No matter what happens, I couldn’t be prouder.
(どんな結果になっても、これ以上誇らしいことはないよ。)Modern Family Season5 Episode15 (The Feud)
dad-vice は dad と advice を合わせた造語で、フィルはそれが自然に聞こえてきたと返しています。
get out there は「(試合や舞台など)本番の場に出ていく」という意味で、Just get out there and enjoy yourself. は「とにかく出ていって楽しんでこい」と、結果より気持ちの持ち方を伝える送り出しの言葉です。enjoy yourself は「楽しむ」を表す再帰の形で、have fun と並んで励ましの場面でよく使われると言われます。
You showed real character の character は「性格」ではなく「気概」「人としての芯の強さ」に近い意味です。新しいことに挑戦したこと自体をほめており、勝ち負けの前に取り組みを認める言い方と言えます。I couldn’t be prouder は比較級を否定して「これ以上誇らしく思うことはできない」、つまり最高に誇らしいという気持ちを表す形です。
ギルとのやりとりを挟んで、フィルはもう一度ルークに声をかけます。
Phil: You worked hard.
(お前は努力してきた。)Phil: I just want you to have fun.
(ただ楽しんでほしいんだ。)Luke: Thanks, dad.
(ありがとう、父さん。)Modern Family Season5 Episode15 (The Feud)
You worked hard. は、それまでの練習や準備をねぎらう一言です。I just want you to ~ は「ただ〜してほしいだけ」と、期待をひとつに絞って伝える形で、プレッシャーを和らげたいときになじみます。
「We really blew it.」大人どうしで失敗を認める
試合のあと、フィルとジェイは自分たちのふるまいを振り返ります。
Phil: We really blew it with Luke today.
(今日のルークのこと、俺たち完全にしくじりましたね。)Jay: How could I do that? My dad never missed an opportunity to let me know when I disappointed him, and I do it to my grandkid.
(なんであんなことができたんだ? 俺の親父は、俺ががっかりさせるたびに、それを必ず思い知らせてきた。それを俺は孫にやっちまった。)Phil: It’s just as much my fault.
(俺にも同じだけ責任があります。)Modern Family Season5 Episode15 (The Feud)
blow it は「しくじる」「台なしにする」を表すくだけた言い方で、We really blew it with ~ と言うと「〜に対して完全にしくじった」という反省になります。主語を we にしている点に、自分ひとりの話ではないという意識がにじみます。
ジェイの How could I do that? は「どうしてあんなことができたんだ」と自分を責める問いかけです。続けて、自分の父親が never missed an opportunity to ~(〜する機会を一度も逃さなかった)と振り返り、同じことを孫にしてしまったと認めています。
フィルの It’s just as much my fault. は「同じだけ自分にも責任がある」と、相手ひとりに責任を負わせない返し方です。just as much ~ as … の形で「…と同じくらい〜」を表し、謝罪の場面では責任を分け合う意思表示として使えます。
「That was wrong.」子どもにまっすぐ謝る英語
続く場面で、ルークの「Dang it.」を聞いたフィルとジェイが、ルークに話しかけます。
Luke: Dang it.
(ちぇっ。)Phil: Buddy, I know you’re upset.
(なあ、動揺してるのはわかるよ。)Phil: You’ve got every right.
(そうなって当然だ。)Phil: We made that wrestling match all about our stupid feud.
(俺たち、あの試合をくだらない因縁の話にしちまった。)Phil: That was wrong.
(あれは間違ってた。)Jay: Forget about those jerks.
(あんな連中のことは忘れろ。)Jay: We couldn’t be anything but proud of you, just like I’m super proud of your mom.
(お前のことは誇りに思う以外ないさ。お前の母さんをものすごく誇りに思ってるのと同じでな。)Modern Family Season5 Episode15 (The Feud)
フィルは I know you’re upset. と相手の気持ちを先に言葉にし、You’ve got every right.(そう感じて当然だ)と受け止めてから謝っています。make A all about B は「A を B の話にすり替える」という形で、本来はルークの試合だったものを、大人の因縁にしてしまったことを認める言い方です。最後の That was wrong. は、言い訳を付けずに非を認める短い一文として覚えやすい形です。
ジェイの couldn’t be anything but proud は「誇りに思う以外のことはありえない」という二重否定に近い強調で、ルークの母であるクレアのことまで付け加えています。送り出すときの I couldn’t be prouder と、謝る場面の couldn’t be anything but proud が呼応しているのが分かります。
| 場面 | 表現 | 働き |
|---|---|---|
| 送り出す | Just get out there and enjoy yourself. | 結果より楽しむことを伝える |
| 送り出す | You worked hard. | それまでの努力をねぎらう |
| 反省する | We really blew it with ~ | 大人の側の失敗を認める |
| 謝る | I know you’re upset. / You’ve got every right. | 相手の気持ちを受け止める |
| 謝る | That was wrong. | 言い訳なしに非を認める |
まとめ|送り出す言葉と、謝る言葉
Just get out there and enjoy yourself. や I just want you to have fun. のような送り出しの言葉と、We really blew it. から That was wrong. へ続く謝り方。フィルとジェイの言葉からは、励ますときも謝るときも、まず相手の気持ちを言葉にする英語の組み立てが見えてきます。
次回も『モダンファミリー』の会話を手がかりに、家族の英語を拾っていきましょう。
勝ち誇るライバルへの返しや、困った事態の深刻さを言い分ける英語は、同じ回のほかのコラムやフレーズ記事で読めます。


コメント