海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン5第1話には、ニューヨークへ戻る機内でジョーイがチャンドラーに相談を持ちかける場面があります。返ってくるのは、ほとんどが一語だけの返事です。帰国後の部屋では、ついて来ようとするフィービーをジョーイが短く止めます。
短い返事は簡単に見えて、言い方しだいで響きが変わります。一語の返事と、相手を止めるひと言の組み立てを見ていきます。
「Uh… no.」前置きの問いに「いや」と返しても話は続く
機内でモニカが席を立ったあと、その席にはジョーイが座っていました。ジョーイはこう切り出します。
Joey: Hey, can I ask you something?
(なあ、ちょっと聞いてもいいか?)
Chandler: Uh… no.
(えっと……だめ。)
Friends Season5 Episode1(The One After Ross Says Rachel)
Can I ask you something? は、本題に入る前に「聞いてもいい?」と許可を求める前置きです。この形の問いには Sure. や Go ahead. のように受ける返事が続くことが多く、本題はその後に来ます。
チャンドラーの返事は Uh… no. で、はっきりと断っています。ところがジョーイは、そのまま見ていた映画の話を始めます。前置きの問いは形式的な確認として使われることが多いため、断られても話し手が本題に進んでしまう、というずれが笑いになっている場面です。
返事の頭の Uh… は、言葉を探すときのつなぎの音です。すぐに No. と言い切らず、一拍置いてから断る形になっています。英語で頼みごとを断るとき、Uh… や Well… を前に置くと、いきなり突き放す響きがいくらか和らぐと言われます。それでも答えそのものは no なので、相手が引かなければ話は続いてしまいます。
「No.」と「Yes.」一語だけで返す相談の答え
映画の話のあと、ジョーイは自分の仕事についての不安を口にします。
Joey: Do you think I’m just wasting my life with this acting thing?
(俺、この役者って仕事で、人生を無駄にしてるだけなのかな?)
Chandler: No.
(いや。)
Friends Season5 Episode1(The One After Ross Says Rachel)
waste one’s life は「人生を無駄にする」という意味です。this acting thing の this ~ thing は、話題にしている物事をくだけてひとまとめに指す言い方で、ジョーイは自分の役者の仕事をこの形で呼んでいます。Do you think ~? で相手の考えを聞く形にすることで、自分の不安を打ち明ける相談になっています。
ジョーイの問いはさらに続きます。
Joey: You think I’ll ever get there?
(俺もいつか、そこまで行けると思うか?)
Chandler: Yes.
(うん。)
Friends Season5 Episode1(The One After Ross Says Rachel)
You think ~? は Do you think ~? の Do を落とした、会話で見られることの多い形です。疑問文の ever は「いつか」、get there は「目標とする地点や水準にたどり着く」という意味で、ここでは役者としてのその先を指しています。
チャンドラーの答えは、どちらも一語です。内容は「無駄じゃない」「行ける」という励ましの向きですが、理由も言葉も足していません。一語だけの Yes. や No. は、場面によってはそっけなく聞こえることがあり、相談に答えるときは No, not at all. や Of course you will. のように一言添える形もあります。このあともジョーイの相談は続きます。
「You’ve been feeding them for four days.」ついて来ようとする相手を一言で止める
場面はニューヨークのモニカとレイチェルの部屋に移ります。帰ってきた3人を、フィービーが迎えます。ジョーイとチャンドラーが飼っているひよことアヒルにあいさつしに行くという話になり、一緒に行こうとする声が上がると、ジョーイは会いに行く必要があるのかと問い返したうえで、こう続けます。
Joey: You’ve been feeding them for four days.
(4日間ずっと、エサやってたじゃん。)
Phoebe: Oh, right. Maybe I’ll just go home.
(あ、そっか。じゃあ、もう帰ろうかな。)
Friends Season5 Episode1(The One After Ross Says Rachel)
You’ve been feeding them は現在完了進行形で、「ここまでずっとエサをやってきた」という継続を表します。期間を for four days で示すことで、フィービーがこの4日間ひよことアヒルの世話をしていたことを持ち出しています。会いに行く理由はもうない、という指摘を、事実を挙げて裏づける形です。
「来なくていいよ」と伝えるなら You don’t need to come. のように直接言う方法もあります。ジョーイはそう言わずに、必要があるのかという問い返しに、その理由にあたる事実を添えています。
フィービーの Oh, right. は、言われて気づいたときの返事です。Maybe I’ll just ~ は「じゃあ〜しようかな」と、控えめに次の行動を決める言い方で、just が「それだけにしておく」という軽さを添えています。止める側も止められる側も短い言葉で済ませており、言い合いにならずに話が収まっています。
まとめ|一語の返事と、短く止めるひと言
Uh… no. で前置きを断り、No. と Yes. の一語で相談に答え、You’ve been feeding them for four days. で同行を止める流れを見てきました。どの返事も短いぶん、言い方と前後の流れで響きが変わります。
短い返事に注目して観ると、機内と部屋の場面のやりとりがより立体的に見えてきます。
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