海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
まわりが深刻な状況で青ざめているのに、その場の一人だけ、関心がまったく別のところにある。そんな温度差のある場面に出くわして、思わず笑ってしまったことはありませんか。
そんなときにもひょっこり登場する「no matter what」を、『フレンズ』シーズン5第1話の冒頭、大混乱に陥った結婚式の直後に、ジョーイがある一言を放つシーンから、一緒に見ていきましょう。
「no matter what」の意味とニュアンス
no matter what
意味:何があっても、どんなことになろうと
no matter what は、結果や状況がどう転んでも結論や態度は変わらない、という強い不変性を表す表現です。直訳すると「何が問題(matter)になろうと関係ない」で、後ろに happens などの節を続けて「no matter what happens(何が起きても)」とする形も、文末に単独で置いて「I’ll be there, no matter what.(何があっても行くよ)」とする形も取れます。
決意や覚悟、あるいは相手を励ますときに使われることが多く、揺るがない気持ちを一言で示せるのが特徴です。no matter who / when / where など、what の部分を入れ替えれば「誰が/いつ/どこで〜しようと」と応用も利きます。
【ここがポイント!】
- 核は「何が起きても関係ない」という揺るがなさを一言で示すところ
- 文末に単独でも、no matter what happens と節を続けても使える柔軟な表現
- what を who / when / where に替えれば応用が広がるのも覚えておきたい一言
『フレンズ』S05E01のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。ロスが誓いの言葉で花嫁の名前を言い間違えるという大失態のあと、エミリーはバスルームに閉じこもってしまいます。ドアの外でロスたちが立ち尽くす緊迫のなか、ただ一人ジョーイだけが、まったく別の心配を口にします。
Emily: You spoiled everything! It’s like a nightmare! My friends and family are out there! How can I face them? How could you do this to me?!
(何もかも台無しよ! 悪夢だわ! 外には友達も家族もいるのに! どんな顔で会えばいいの? どうしてこんなことができたの?!)Joey: Hey, no matter what happens with Ross and Emily, we still get cake, right?
(なあ、ロスとエミリーがどうなっても、ケーキはもらえるよな?)Ross: T-that’s all right. You, no, no, you take your time, sweetie. I’ll be right out here. She’s just fixing her makeup.
(だ、大丈夫だよ。ゆっくりでいい、スウィーティー。すぐ外にいるから。彼女、メイクを直してるだけなんだ)Emily: I hate you!
(大っ嫌い!)Ross: And I love you!
(そして、愛してるよ!)Friends Season5 Episode1(The One After Ross Says Rachel)
シーン解説と心理考察
no matter what happens with Ross and Emily(ロスとエミリーがどうなろうと)という、本来なら重く響くはずの前置きが、ジョーイの口では「それでもケーキはもらえるよね?」という卑近な願望につながっていきます。深刻な事態と自分の食い気を天秤にかけない、ジョーイらしさがこの一言ににじむ場面です。
no matter what が持つ「何があっても揺るがない」という強い調子と、その後に続く内容の軽さとのギャップが、緊迫した空気のなかで小さな笑いを生んでいます。フレーズ本来の力強さが、使い方次第でユーモアにも転じることが伝わってきます。ドア越しに必死でエミリーをなだめるロスと、その脇でケーキの心配をするジョーイ。同じ場に立つ二人の温度差が、この短いセリフをいっそう際立たせています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
結婚式が崩壊しても「ケーキだけは死守」というジョーイの姿と一緒に覚えると、no matter what の質感がつかみやすくなります。matter は「問題・重要なこと」。その手前に no を置いて「どんな問題(matter)が起きても関係ない」と、目の前の大混乱を丸ごと打ち消してしまうイメージです。
大きな嵐が吹き荒れても、その中心で一つだけ動かない一点がある。その揺るがない一点が no matter what だと思い浮かべると、「何があっても変わらない」という核が体に残ります。
例文で覚える「no matter what」
no matter what は、単独でも節を続けても使える便利な表現です。励まし・決意・約束など、気持ちを揺るがなく伝えたい場面で活躍します。
I’ll support you no matter what.
(何があっても私はあなたの味方だよ)
落ち込む友人を励ます場面で使えます。文末にぽんと置くだけで、揺るがない気持ちがまっすぐ伝わる形です。
We must meet the deadline no matter what it takes.
(何としてでも締め切りは守らなければならない)
仕事の追い込みの場面です。no matter what it takes とすると「どんな犠牲を払っても」と、覚悟の度合いがさらに強まります。
A: Are you sure about this?
B: Yes. I’m doing it, no matter what.
(A:本当にいいの?)
(B:ああ。何があってもやるよ)
覚悟を問われて答える場面です。短く言い切ることで、迷いのない決意が相手に伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
whatever happens
(何が起ころうとも)
no matter what とほぼ同義ですが、no matter what のほうがやや強い決意や力強さを帯びます。whatever happens はもう少し中立で、成り行きを受け入れる響きがあります。
come what may
(何が起ころうとも)
古風で格式ばった響きを持つ表現です。スピーチや文章では映えますが、日常会話では no matter what のほうが自然に収まります。
regardless
(それに関わらず、構わず)
regardless of 〜 の形で「何に」関わらずかを明示できます。no matter what は「何が」の部分が漠然としているのが特徴で、対象をぼかしたまま揺るがなさだけを示せます。
Note|no matter what と whatever happens ―「何があっても」の強さの違い
ジョーイの一言に登場した no matter what ですが、同じ「何があっても」を表す表現は英語にいくつもあります。せっかくなので、その微妙な違いを整理しておきましょう。
日本語にするとどれも「何があっても」になる三つの表現、no matter what / whatever happens / come what may は、実は決意の強さと使う場面がそれぞれ異なります。no matter what は最も口語的で汎用性が高く、励ましから固い約束まで幅広く使えます。whatever happens はやや中立で、「どうなるかはわからないが」という成り行きを受け入れるニュアンスが混じります。come what may は文語的・格式的で、結婚の誓いや決意表明のような改まった場面に登場することが多い表現です。同じ「何があっても」でも、カジュアルな励まし、成り行きの受容、厳かな覚悟と、話し手の姿勢が少しずつ違うわけです。
こうして並べてみると、ジョーイが軽い調子で no matter what を使えたのも納得できます。come what may だったら、あの緊迫した式のあとに「ケーキはもらえるよね?」とはつなげにくかったはずです。口語的で懐の深い no matter what だからこそ、決意にも冗談にも寄り添えます。
同じ意味の表現でも、選ぶ言葉で温度が変わる。そこに英語の面白さがあります。
まとめ|ジョーイの一言に見る「何があっても」
no matter what は、状況がどう転んでも変わらない気持ちを一言で示せる、揺るがなさの表現です。文末に単独で置いても、happens と節を続けても使える柔軟さを持っています。
この一言を覚えておくと、励ましたいとき、約束するとき、覚悟を伝えたいときに、迷いのない気持ちをまっすぐ差し出せるようになります。what を who や when に替えれば、表現の幅はさらに広がります。
深刻な場面でも軽い冗談でも寄り添えるこの表現を、あなたの会話のレパートリーに加えてみてください。


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