海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン5第17話で、ロスは新しい建物のロビーで、同じ建物に住む、まだ話したことのない女性に声をかけます。ところが名乗ったとたん、相手から「あの〜した人でしょ」と、思わぬ形で覚えられていたことが分かります。
名乗ったあとで自分の評判を持ち出されたら、どう返すか。知り合いへのとぼけた名乗りと比べながら、この場面の英語を順に見ていきます。
「I’m Ross.」知っている相手にわざと名乗る冗談
ロスの住む建物の廊下で、ジョーイはある部屋を探して戸を叩きます。戸を開けたのは、前にも行き当たったロスでした。
Joey: Did you move?!
(引っ越したのかよ!?)
Ross: Yes. I lived with you guys for a while and then I found this place.
(ああ。しばらくお前たちと暮らしてて、それからこの部屋を見つけたんだ。)
Ross: I’m Ross.
(ロスといいます。)
Friends Season5 Episode17(The One with Rachel’s Inadvertent Kiss)
ジョーイの Did you move?! は、同じ部屋に二度も行き当たったことへの問いです。ロスはこれを、初対面の相手に身の上を説明する場面のように受けます。you guys は複数の相手にまとめて呼びかける言い方で、ここではジョーイたちを指しています。ロスは I lived with you guys for a while と自分の経緯を語り、最後に自分の名前を告げます。ジョーイの問いには答えているものの、返事の形は見知らぬ人へのあいさつそのものです。
I’m 〜. は自己紹介の最も短い形で、本来は相手が自分を知らないときに使います。よく知っている友達に向けて言うことで、「初めまして」のふりをする冗談になっています。言葉そのものは普通の自己紹介でも、相手との関係によって意味が変わる例と言えます。この後のロビーの場面で、ロスは同じ名乗りを本来の使い方で口にします。
「I had just moved in. Thank you.」悪い評判を持ち出されたときの返し
場面は同じ建物のロビーに移ります。郵便受けを見ていたロスは、隣で郵便物を確かめている女性に話しかけます。
Ross: I don’t think we’ve met. I’m… I’m Ross.
(まだ会ったことないよね。俺……ロスっていうんだ。)
Jen: You’re the guy who wouldn’t chip in for the handyman.
(便利屋さんへのお金を出さなかった人でしょ。)
Ross: Never mind.
(今のは忘れて。)
Jen: No, I actually thought it was really unfair the way everyone reacted. I mean, you had just moved in.
(ううん、実はみんなの反応、すごく不公平だと思ったの。だって、越してきたばかりだったんだし。)
Ross: I had just moved in. Thank you.
(越してきたばかりだったんだよ。ありがとう。)
Friends Season5 Episode17(The One with Rachel’s Inadvertent Kiss)
I don’t think we’ve met. は、初対面の相手に話しかけるときの前置きとして使われることの多い言い方です。前の場面のとぼけた名乗りとは違い、今度のロスは、まだ言葉を交わしたことのない相手に名乗っています。I’m… I’m と同じ語を繰り返しているところにも、話しかける側の言いよどみが表れています。
女性の You’re the guy who ~. は「〜した人でしょ」と、相手を出来事で特定する言い方です。第15話でロスが便利屋へのお礼のお金を出さなかった件が、建物の中で知られていたことが分かります。ロスの Never mind. は「今のはなかったことに」と話を引っ込める一言で、郵便受けのほうへ向き直ります。
ところが女性は No, と打ち消し、みんなの反応のほうが不公平だったと言います。I mean, は直前の言葉を言い足すときのつなぎです。ロスは I had just moved in. と相手の言葉をそのまま繰り返し、Thank you. と礼を言います。自分の言い分を代わりに言ってもらえたときは、同じ言葉を返すだけで「その通り」と同意を示すことができます。
「Want to grab a cup of coffee sometime, or…?」名前を聞いて誘う
かばってもらったあと、ロスは女性の名前を知らないまま話を続けようとします。
Ross: Listen, um…
(あのさ、えっと……)
Jen: Jen.
(ジェンよ。)
Ross: Jen, I know this may sound a little…
(ジェン、こんなこと言うと、ちょっと……かもしれないけど。)
Ross: Want to grab a cup of coffee sometime, or…?
(今度コーヒーでも飲みに行かない?それとも……?)
Jen: That would be nice.
(いいわね。)
Friends Season5 Episode17(The One with Rachel’s Inadvertent Kiss)
Listen, um… で言いよどんだところで、女性のほうから Jen. と名乗ります。名前を呼ぼうとして詰まった相手に、名前だけを短く伝える返し方です。
I know this may sound a little… は、言いにくいことの前に置く前置きで、ロスは形容詞を言わずに切っています。grab a cup of coffee は「コーヒーを軽く一杯」という気軽な誘いで、sometime は「いつか」と日時を決めない言い方で、その場で予定を詰めずに誘えます。文末の or…? は言い切らずに終える形で、相手に返事の余地を残しています。ジェンは That would be nice. と受けます。
Jen: My number’s on there. Give me a call.
(番号はそこに書いてあるから。電話して。)
Ross: I will give you a call.
(電話するよ。)
Jen: I’ll see you later.
(じゃあ、またね。)
Friends Season5 Episode17(The One with Rachel’s Inadvertent Kiss)
ジェンは名刺を渡しながら Give me a call. と言い、ロスは I will give you a call. と同じ言葉で約束を返します。最後の I’ll see you later. は「またあとで」という軽い別れのあいさつで、具体的な時間を約束するものではありません。誘いに応じたあと、連絡の手段を渡し、次につなげて別れるまでが、短いやりとりの中に収まっています。
まとめ|名乗ってから誘うまでの英語
I’m 〜. のとぼけた名乗りと I don’t think we’ve met. からの名乗り、評判を持ち出されたときの Never mind. と Thank you. の返しを見てきました。相手の言葉を繰り返す形は、同意にも約束にも使えます。
ロビーでの短い会話に、初対面の英語がそろっています。ロスの言いよどみにも耳を傾けながら観てみると、この場面がより身近に感じられます。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事では、ジョーイの部屋探しなど、この回の別の場面の英語を扱っています。


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