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『メンタリスト』シーズン5第1話には、気乗りしない気持ちを二つの形で表す英語が出てきます。ひとつは気持ちの程度を底まで下げる言い方、もうひとつは嫌さを大げさな例で示したうえで承知する言い方です。似た気持ちを表しながら、言葉の組み立てがまったく違います。
二つの違いと、相手の願いを繰り返して切り返す三つ目の形を、それぞれの場面の英語から見ていきます。
「I could not be less happy to be back」程度を底まで下げる否定の比較
「戻ってきた」ことに触れるやりとりの中で、次の一言が出てきます。
— I could not be less happy to be back.
(戻ってきたことが、まったく嬉しくありません。)
The Mentalist Season5 Episode1 (The Crimson Ticket)
could not be less ~ は、「これ以上〜でなくなることはできない」という形です。less は little の比較級で「より少なく」、could not は「できない」にあたります。つまり happy の度合いをこれ以上下げられない、すなわちまったく嬉しくない、という意味になります。
単に I’m not happy と言うより、程度を最小まで下げたと言い切る分、強い言い方になります。逆向きの形に I could not be happier があり、こちらは「これ以上ないほど嬉しい」という意味です。less が more や -er に替わるだけで、向きが正反対になります。
後半の to be back は、感情の理由を示す to 不定詞で、「戻ってきて」という意味です。happy to ~ は「〜できて嬉しい」という形なので、この文は、その定型を否定の比較で裏返した作りになっています。文の形としては、気持ちの程度を最小にまで下げた否定の比較です。
「I’d rather eat spiders, but, yeah」嫌さを例で示して、承知する
もう一つは、取り決めがまだ有効かどうかを確かめる問いに、こう返す場面です。
— Hi. We still have a deal, right?
(どうも。取り決めはまだ有効ですよね?)
— I’d rather eat spiders, but, yeah, we still have a deal.
(クモを食べるほうがまだましですが、ええ、取り決めはまだ有効です。)
— Good, good.
(よし、よし。)
The Mentalist Season5 Episode1 (The Crimson Ticket)
We still have a deal, right? の still は「引き続き」、文末の right? は確認を求める付け足しです。deal は取り決めや約束を指しますが、この数行の言葉だけでは、どんな取り決めなのかは示されていません。
返事の I’d rather eat spiders は、I would rather ~ の形です。「〜するほうがまだましだ」という意味で、比べる相手の than ~ は省かれています。eat spiders という極端な行為を選ぶことで、取り決めを守ることがどれだけ気が進まないかを大げさに示しています。そのあとに but, yeah を続けて、承知に切り替えます。Yeah は肯定の口語形です。最後の Good, good. は、同じ語を重ねた軽い受けです。
ここで二つを並べます。I could not be less happy to be back は、less を使った否定の比較で、気持ちの程度そのものを最小に置きます。一方 I’d rather eat spiders, but, yeah は、would rather で極端な選択肢を引き合いに出し、そのうえで but 以降で同意する形です。前者は気持ちの表明で終わり、後者は気が進まなくても同意する返事になっている点が、分かれ目です。
「You got your wish」相手の願いを繰り返して切り返す
三つ目は、相手が口にした願いを、そのまま繰り返して返す形です。このやりとりの前に、相手方の捜査官たちが消えてくれたら、という趣旨の願いが口にされていました。容疑者を連れて行かれた場面で、次のやりとりが続きます。
— Hey, no need to be so grumpy. You got your wish.
(そんなに不機嫌にならなくても。願いはかなったでしょう。)
— You wanted them to vanish? Vanished.
(消えてほしかったんでしょう? 消えましたよ。)
— What is so funny? They took our suspect.
(何がそんなにおかしいんですか? 容疑者を連れて行かれたんですよ。)
— No, they took their suspect.
(いえ、連れて行かれたのは向こうの容疑者です。)
The Mentalist Season5 Episode1 (The Crimson Ticket)
no need to be ~ は「〜である必要はない」、grumpy は不機嫌な様子を指します。You got your wish. は「願いがかなったじゃないか」という言い方で、got は「手に入れた」にあたります。
続く You wanted them to vanish? は、相手の願いを疑問の形で繰り返しています。want 人 to ~ は「人に〜してほしい」という形です。そこへ Vanished. と、過去分詞の一語だけを返します。vanish は「消える」という動詞で、叶った事実だけを短く突きつける作りです。
What is so funny? は、笑っていることをとがめる問いです。They took our suspect. に対して、No, they took their suspect. と返す形は、同じ文型のまま our を their に替えています。語をひとつ入れ替えるだけで、持ち主の向きを変えた切り返しになっています。
まとめ|気乗りしない気持ちを伝える形
could not be less ~ で気持ちの程度を最小に置き、I’d rather ~, but で嫌さを例に託して同意し、You got your wish で相手の願いを返す。形によって、言葉の働きが変わります。
次回も『メンタリスト』と一緒に英語を学んでいきましょう。
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