海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『メンタリスト』シーズン6第9話には、読んでいる本を読み終えたら渡す、という申し出にたどりつく短い会話があります。あいさつのあと出身を尋ねる一言が続き、詫び、事情の説明、申し出、受け答えへと、短い言葉がつながっていきます。
声のかけ方、事情の切り出し方、申し出と受け方を、続くやり取りに沿って順に見ていきます。読み終えた本を譲ると言われたときの返し方も、あわせて整理します。
声をかけて詫び、事情を切り出す言い方
あいさつのあと、出身を確かめる一言が続きます。
— From the U.S.?
(アメリカの人?)
— You weren’t fooled by my impeccable Spanish?
(私の完璧なスペイン語にはだまされなかった?)
— No. Anyway…
(いや。まあ…)
— You’re reading. Sorry.
(読書中だね。ごめん。)
The Mentalist Season6 Episode9 (My Blue Heaven)
From the U.S.? は、Are you from the U.S.? の頭を省いた形です。語尾を上げるだけで質問になり、くだけた会話で短く尋ねるときの形だと言えます。続く impeccable は「非の打ちどころのない」という意味で、自分のスペイン語を「完璧な」と言ってみせる形の問いかけになっています。
その後の一言には You’re reading. と Sorry. の二文が続けて出てきます。前者は読書中であることを言葉にした文、後者は詫びの一言です。何について詫びているかは台詞にありません。
同じ会話は、このあとも続いていきます。
— Thing is, uh, I miss speaking English.
(実はその、英語で話すのが恋しくて。)
— Roger’s the only other English speaker, and he’s–well, he’s not a great talker.
(ロジャーはほかに英語を話すただ一人だけど、その、話し上手じゃなくて。)
— Turns out being understood is an underrated pleasure.
(言葉が通じるというのは、見過ごされがちな楽しみだとわかったんだ。)
— I can imagine. Mm.
(想像がつくよ。うん。)
— I’ll leave you alone.
(じゃあ、邪魔しないでおくね。)
— No problem.
(かまわないよ。)
The Mentalist Season6 Episode9 (My Blue Heaven)
Thing is, は、本題や事情を切り出す前に置く前置きです。miss ~ing は「〜することが恋しい」という形で、ここでは英語で話すことが対象になっています。Turns out ~ は、It turns out ~ から It を省いた形で、「〜だとわかった」という意味です。台詞では、ほかに英語を話す人がひとりしかいないことにも触れられています。
聞き手の側は I can imagine. と応じています。相手の話に「想像がつく」と返す、短い相づちです。そのあとの I’ll leave you alone. は、相手をひとりにしておくと言って身を引く言い方で、No problem. という受け流しが続きます。
「Do you want it when I’m finished?」申し出と、その受け方
さらに続くやり取りで、本の話が出てきます。
— Looks like you’re nearly finished.
(もうすぐ読み終わりそうだね。)
— Do you want it when I’m finished?
(読み終わったら、いる?)
— I wouldn’t mind it. It’s not easy to get books in English around here.
(いただけるなら助かるよ。このあたりは英語の本が手に入りにくいから。)
— Okay.
(わかった。)
The Mentalist Season6 Episode9 (My Blue Heaven)
Looks like ~ は、見た様子から判断を述べる形です。nearly finished は「もうすぐ終わる」で、読み終わりが近いことを指摘しています。
それを受けた Do you want it when I’m finished? は、want it で「それがほしいか」を尋ねる形です。when I’m finished は、先のことなのに現在形で書きます。時を表す when の節では、未来の内容でも現在形で表し、will は置きません。be finished は「終えた状態にある」を表す言い方で、全体としては「使い終わったら、いりますか」という申し出になります。
返事の I wouldn’t mind it. は、mind(気にする)を否定して「気にならない」と言う形です。would を添えることで、積極的に「ほしい」と言わず、控えめに受ける響きになります。同じ一言の次の文では、英語の本が手に入りにくいという事情が続いています。最後の Okay. は、短く話をまとめる一言です。申し出を受ける側の返事としては、Thank you. のように礼を述べる形のほかに、このように事情を添えて控えめに受ける形もある、と整理できます。
「Is it any good?」感想を聞き、軽く返す
同じ会話の続きでは、本の中身についての短いやり取りがあります。
— Is it any good?
(おもしろい?)
— You like murder mysteries?
(推理小説は好き?)
— Not really.
(そうでもない。)
— Then you probably won’t like it.
(それなら、たぶん気に入らないよ。)
The Mentalist Season6 Episode9 (My Blue Heaven)
Is it any good? の any は、疑問文で「多少なりとも」という程度を尋ねる働きをします。「良いかどうか」を軽く確かめる聞き方です。返ってきた You like murder mysteries? は、本のジャンルを挙げて問い返す形で、murder mysteries はここでは本の種類を指す語として使われています。
Not really. は、強く否定せず「それほどでも」と弱める返事です。続く Then you probably won’t like it. は、Then(それなら)で前の返事を受け、probably で断定をやわらげています。見立てを述べながらも言い切らない言い方が、会話のやわらかさを作っています。
四つの短いやり取りを並べると、それぞれの働きは次のように整理できます。
| 表現 | 働き |
|---|---|
| You’re reading. Sorry. | 相手の様子を言葉にして詫びる |
| Thing is, … | 事情を切り出す前置き |
| Do you want it when I’m finished? | 読み終えたら渡すと申し出る |
| I wouldn’t mind it. | 控えめに受ける |
まとめ|申し出と受け答えの組み立て
Do you want it when I’m finished? で申し出て、I wouldn’t mind it. で控えめに受ける流れでした。前置きの Thing is, や Turns out ~、感想を尋ねる Is it any good? も、会話をつなぐ短い型として並んでいます。
次回も『メンタリスト』と一緒に英語を学んでいきましょう。
読み終えた本をめぐるやり取りのように、同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事でも、場面ごとの英語を取り上げています。


コメント