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『フレンズ』シーズン6第1話では、結婚はまだ早いと考えたモニカとチャンドラーが、ニューヨークに戻ってから一緒に住むことを決める場面があります。チャンドラーは「結婚しちゃう?」と直接持ちかけたあと、仮定の形で少しずつ話を進めていきます。
大事な提案は、切り出し方によって相手の受け取り方が変わります。Should we just ~? と What if ~? の違いと、二人が繰り返す sign の使い方を見ていきます。
「Should we just get married?」直接持ちかける言い方と、今のままがいいと返す言い方
ラスベガスで結婚しないことにした二人は、荷造りに向かいながらこう話していました。
Chandler: We’re doing the right thing, right?
(俺たち、正しいことをしてるよな?)
Monica: Of course we are. We left it up to fate. If we were supposed to get married there would be a clear-cut sign.
(もちろん。運に任せたんだから。結婚するべきなら、はっきりしたサインがあるはずでしょ。)
Friends Season6 Episode1(The One After Vegas)
末尾の right? は「〜だよね?」と相手に同意を確かめる付け足しです。モニカは clear-cut sign(はっきりしたサイン)という言葉で、自分たちで決めるのではなく、何かのしるしを待つ考え方を示しています。be supposed to ~ は「〜することになっている」で、ここでは「そうなる定めなら」という含みで使われています。there would be ~ は、その仮定に対して「〜があるはず」と結果を述べる形です。
モニカとレイチェルの部屋で、チャンドラーは改めてこう切り出します。
Chandler: Should we just get married, you know? I mean, should we just do it? All the signs are telling us to do it.
(もう結婚しちゃう?ほら、しちゃおうか?サインが全部、そうしろって言ってるし。)
Monica: I’m sick of the signs. It’s too fast. I’m happy the way things are.
(サインはもううんざり。早すぎる。今のままで幸せなの。)
Chandler: Me, too.
(俺も。)
Monica: I don’t want things to change; do you?
(何も変わってほしくない。あなたは?)
Friends Season6 Episode1(The One After Vegas)
Should we just ~? の just は「いっそ〜しちゃう?」と、迷いを切り上げて決めてしまう響きを加えます。直接の提案なので、相手は yes か no で答えることになります。
モニカは I’m sick of ~(〜にはもううんざり)でサインに振り回されることへの不満を口にし、I’m happy the way things are. と返します。the way things are は「今の状態」を表します。チャンドラーが Me, too. と同意すると、モニカは変わってほしくないと続け、最後に do you? を添えて相手の気持ちも確かめます。結婚の話はここで止まります。
「What if all my stuff was here?」仮定で一歩ずつ持ちかける
いったん部屋を出たチャンドラーは、戻ってくると別の形で話を始めます。
Chandler: You know, I was thinking, what if I, uh, unpack here?
(あのさ、考えてたんだけど、ここで荷ほどきしたらどうかな?)
Monica: Then all your stuff would be here.
(そしたら、あなたの荷物が全部ここにあることになるじゃない。)
Chandler: Well… What if all my stuff was here?
(じゃあ……荷物が全部ここにあったら?)
Monica: Then you’d be going back and forth all the time. Doesn’t make any sense.
(そしたら、ずっと行ったり来たりすることになるでしょ。意味ないじゃない。)
Friends Season6 Episode1(The One After Vegas)
What if ~? は「〜したらどう?」「〜だったらどうなる?」と、仮定の形で案を差し出す言い方です。yes か no を求める Should we ~? に比べて、相手に想像してもらう余地が残ります。
| 言い方 | 働き | 作中の例 |
|---|---|---|
| Should we just ~? | いっそ〜しようと直接持ちかける | Should we just get married? |
| What if ~? | 仮定の形で案を差し出す | What if I unpack here? |
チャンドラーは unpack here(ここで荷ほどき)から all my stuff was here(荷物が全部ここに)へと、仮定の中身を少しずつ大きくしています。2つ目の was は、現実ではないことを想定するときの過去形です。
モニカは Then ~ would ~. の形で、仮定の結果を一つずつ返しています。back and forth は「行ったり来たり」で、自分の部屋とこの部屋を往復する様子を指しています。Doesn’t make any sense. は、主語の It を省いた会話の形です。その返事は、仮定を文字どおりに受けた答えになっています。
「Me asking is kind of a sign.」sign を使った切り出しと打ち消し
3つ目の What if で、チャンドラーはようやく本題を口にします。
Chandler: Okay. What if we live together and you understand what I’m saying?
(よし。一緒に住んだら……って、俺の言ってることわかる?)
Monica: Live together? There have been no signs for that.
(一緒に住む?そんなサイン、なかったけど。)
Chandler: Me asking is kind of a sign.
(俺が頼んでるのが、サインみたいなもんだろ。)
Friends Season6 Episode1(The One After Vegas)
チャンドラーは you understand what I’m saying? を続けて、ここまでの仮定の意味を察してほしいと伝えています。それを受けたモニカの Live together? のように、相手の言葉をそのまま聞き返すのは、驚きや確認を表すときに見られることの多い返し方です。
モニカの There have been no signs for that. は、ラスベガスからのサインの話を受けた返しです。チャンドラーは、自分が頼んでいること自体をサインと呼び直しました。kind of は「〜みたいなもの」と言い切りを和らげる言葉で、冗談めかしながら本題を伝えています。モニカはこの申し出を受け入れます。
その後、鍵を受け取ったチャンドラーが外から入り直そうとすると、鍵が鍵穴で折れてしまいます。ここで出てくるのが、サインを打ち消す言い方です。
Monica: No, no, no. It’s not a sign. It’s a very old key.
(違う、違う、違う。サインじゃない。すごく古い鍵なだけ。)
Friends Season6 Episode1(The One After Vegas)
It’s not a sign. は、二人が待っていた sign を否定する形です。続く It’s a very old key. で、鍵が折れた理由を古さに置いています。sign という1語が、結婚を見送る根拠にも、一緒に住む後押しにも、悪い予感を打ち消す言葉にも使われていく流れです。
まとめ|提案を切り出す2つの言い方
Should we just ~? で直接持ちかけると、相手は yes か no で答えることになります。What if ~? で仮定を一歩ずつ進め、Me asking is kind of a sign. で本題を伝えたチャンドラーの言い方から、提案の切り出し方の幅が分かります。
二人の sign をめぐるやり取りを思い出しながら観ると、同じ言葉の使い分けがより鮮やかに見えてきます。
このエピソードの英語は、ほかのコラムやフレーズ記事でも別の場面から取り上げています。


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