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『モダンファミリー』シーズン9第21話では、家族がジェイの妹ベッキーのもとを訪ねます。その中でクレアは、ジェイとグロリアの結婚式のときにベッキーに貸したネックレスをどうにか返してもらおうとします。
lend と borrow は、日本語ではどちらも「貸し借り」の話になるため、向きを取り違えやすい動詞です。この回のネックレスや釣り小屋をめぐる会話から、貸す・借りる・返す・取り戻すの言い方を整理していきます。
「lend」と「borrow」は向きが逆
話題になったネックレスについて、クレアはフィルにこう打ち明けます。
Claire: Phil, that is my necklace.
(フィル、あれ私のネックレスよ。)Claire: I lent it to her for Dad and Gloria’s wedding, and she never gave it back.
(パパとグロリアの結婚式のときに貸したのに、返してくれなかったの。)Claire: She said she lost it.
(なくしたって言ってたのよ。)Modern Family Season9 Episode21 (The Escape)
lent は lend(貸す)の過去形です。lend は「自分の物を相手に渡して使わせる」側の動詞で、lend it to her のように「物+to+人」、または lend her the necklace のように「人+物」の語順をとります。
一方、借りる側の動詞が borrow です。同じ回で、ベッキーはジェイにこう切り出します。
Aunt Becky: I’m fine.
(平気よ。)Aunt Becky: But I was wondering if, this summer, I could borrow your fishing cabin.
(でも、この夏、あなたの釣り小屋を借りられないかと思って。)Jay: My fishing cabin?
(俺の釣り小屋を?)Modern Family Season9 Episode21 (The Escape)
ジェイによれば、この小屋は父親がベッキーに遺したものです。ジェイは「俺の小屋を?」と、その言葉をそのまま聞き返しています。borrow は「相手の物を一時的に使わせてもらう」側の動詞で、borrow ~ from 人 の形をとります。
| 動詞 | 立場 | 形 |
|---|---|---|
| lend | 貸す側 | lend 物 to 人 / lend 人 物 |
| borrow | 借りる側 | borrow 物 from 人 |
Can you lend me your pen? と Can I borrow your pen? は、どちらも「ペンを貸してくれる?」の意味になります。主語が誰かで動詞が入れ替わる点が分かります。
日本語の「貸して」を英語にするときは、相手を主語にするなら lend、自分を主語にするなら borrow と考えると整理しやすくなります。ベッキーの I was wondering if I could ~ は、過去進行形を使って「〜できないかと思って」と控えめに頼む形で、Can I borrow ~? より丁寧に響きます。
「give back」「get back」「return」で返す・取り戻す
クレアは、ネックレスがどんな物なのかをこう説明します。
Claire: When I graduated, my mother gave me a very special necklace, which I returned so I could get that necklace.
(卒業のとき、母がすごく特別なネックレスをくれたの。それを返品して、あのネックレスを手に入れたのよ。)Claire: I’m getting it back.
(取り返すわ。)Modern Family Season9 Episode21 (The Escape)
return は「返す」の意味で広く使われますが、ここでは店に「返品する」の意味です。母親からもらった品を返品して、代わりに今のネックレスを手に入れた、という流れになります。I returned the shoes because they were too small.(小さかったので靴を返品した。)のように、買い物の場面でよく出てくる用法です。
ここまでのクレアの台詞には、「返す」に関わる句動詞が2つ出てきます。
| 表現 | 主語の立場 | 意味 |
|---|---|---|
| give it back | 借りた側 | 返す |
| get it back | 貸した側 | 取り戻す、返してもらう |
she never gave it back は借りた側が返さなかったことを、I’m getting it back は貸した側が取り戻すつもりであることを表します。進行形の I’m getting は、すでに決めた予定や決意を言うときの形です。
返してほしいと頼むときは、Could you give it back?(返してもらえる?)のように相手を主語にする言い方と、Can I get it back?(返してもらえるかな?)のように自分を主語にする言い方があります。後者のほうが、相手を責める響きが弱くなることが多いです。
「need ~ back」と、作り話を止める「Save it.」
ネックレスを返してもらうために、クレアはベッキーにこんな話を持ち出します。王子からの贈り物だという話が出ていたことを受けた作り話です。
Claire: Oh, Aunt Becky, I’m so sorry.
(ああ、ベッキーおばさん、本当にごめんなさい。)Claire: I just got off the phone with the Prince of Liechtenstein.
(今、リヒテンシュタインの王子と電話で話したところなの。)Claire: He’s having some terrible financial troubles.
(ひどくお金に困ってるらしくて。)Claire: He’s gonna need the necklace back.
(ネックレスを返してもらわなきゃいけないんですって。)Claire: You know, to feed his people.
(ほら、国民を食べさせるために。)Aunt Becky: Save it, princess.
(やめときなさい、お姫さま。)Modern Family Season9 Episode21 (The Escape)
前置きの I just got off the phone with ~ は「〜との電話を今終えたところ」という意味で、聞いたばかりの知らせを切り出すときに使われます。
need ~ back は「〜を返してもらう必要がある」という意味です。I’ll need my car back by Friday.(金曜までに車を返してほしいんだ。)のように、返す期限を添えて頼むときにも使えます。直接「返して」と言うより、事情があって必要になったという形をとるので、言い方がやわらかくなります。クレアはこの形を、架空の王子の事情に乗せて使っています。
ベッキーの Save it. は「(その話は)取っておいて」が直訳で、「もういい、言わなくていい」と相手の言い訳や作り話を遮る一言です。Save it for later. なら「あとで聞く」という穏やかな意味にもなりますが、単独の Save it. はかなりそっけない響きになります。最後の princess は、クレアの王子の話を受けた皮肉な呼びかけと読み取れます。
まとめ|貸し借りと返却の英語
貸す側の lend と借りる側の borrow、返す give back と取り戻す get back、返品の return、事情を添える need ~ back。ネックレス1本をめぐる会話から、貸し借りの動詞の向きが見えてきます。
貸し借りの場面に出会うたびに、誰が主語なのかを意識すると動詞を選びやすくなります。
同じ回のほかのコラムでは、相手の親に会う場面の英語や、エスケープルームにまつわる英語も取り上げています。


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