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『BONES』シーズン11エピソード6には、hell という語をそのまま言わず、つづりとホッケーのスティックを使って言い換える、ちょっと変わった言い回しが登場します。今回はこの言い方を入り口に、強い言葉をやわらげて言い換えるアメリカの文化を紹介します。
英語の会話には、強い言葉の「代わりの言い方」が数多くあります。仕組みを知っておくと、ドラマの台詞の温度感がつかみやすくなります。
「H-E-double-hockey-sticks」は hell の言い換え
捜査の進め方をめぐるやり取りの中で、ある頼みが強く退けられます。
— Cher, there is no way in H-E-double-hockey-sticks
(ねえ、どう転んでもありえない、)— I am allowing you to haul the Senate majority whip into the FBI
(上院の院内幹事をFBIに引っ張ってくるのを認めるなんて、)— without any evidence of her involvement.
(関わっている証拠もないのに。)BONES Season11 Episode6 (The Senator in the Street Sweeper)
no way in hell は「絶対にありえない」という強い否定です。ここではその hell を H、E と1文字ずつ読み、続く2つの L を、形が似ているホッケーのスティック(double hockey sticks)に見立てて言い換えています。小文字の l を爪ようじに見立てた H-E-double-toothpicks という形もあるとされています。
この言い方は、少しあとで突っ込まれます。
— If you have a whole bottle of antacids, your stomach’s gonna blow up. “H-E-double-hockey-sticks”? What the hell is that?
(胃薬を瓶ごと飲んだら胃が破裂しちゃう。それに「H-E-double-hockey-sticks」って?いったい何、それ。)BONES Season11 Episode6 (The Senator in the Street Sweeper)
突っ込みの文では hell が言い換えずにそのまま使われており、同じ語をぼかすかどうかで言葉の印象が変わることがよく分かります。
強い言葉をやわらげる「minced oath」の文化
このように強い言葉を別の音や形に置き換えたものは、英語で minced oath と呼ばれます。宗教にかかわる語や、ののしりの言葉をそのまま口にするのを避けるために生まれたものが多いとされています。代表的なものは次のとおりです。
| 言い換え | もとになったとされる語 | 使われ方の例 |
|---|---|---|
| heck | hell | What the heck? |
| darn | damn | Darn it! |
| gosh | God | Oh my gosh! |
| gee | Jesus | Gee, thanks. |
| H-E-double-hockey-sticks | hell | no way in H-E-double-hockey-sticks |
子どもの前や職場、テレビの放送などでは、こうした言い換えが選ばれやすいとされています。強い言葉が苦手な人や、場の空気を崩したくない場面で使われる、やわらかい言い方と言えます。
作中では、思いがけない知らせに対して、こんな声も上がります。
— Holy mother of pearl! Just bring me the whole bottle of antacids, right now.
(なんてこと!胃薬を瓶ごと持ってきて、今すぐ。)BONES Season11 Episode6 (The Senator in the Street Sweeper)
mother of pearl は真珠貝の内側の輝く層を指す語で、ここでは本来の意味とは関係なく驚きの声として使われています。Holy cow! や Holy moly! のように、Holy で始まる驚きの声にはやわらかな言い方が多いとされています。
「Gee」で軽く皮肉を返す
言い換えは、軽い皮肉にも使われます。家に向かう場面で、ブースがこう念を押します。
Booth: Once we get to the house, just let me do all the talking. You understand?
(家に着いたら、話は全部俺に任せろ。分かったな?)Aubrey: Gee, thanks, Dad, but I can handle myself.
(そりゃどうも、パパ。でも自分のことは自分でできるよ。)BONES Season11 Episode6 (The Senator in the Street Sweeper)
Gee は Jesus を短くした言い換えとされ、驚きや感心を表す軽い間投詞です。Gee, thanks. と言うと、本気のお礼のほかに、ここでのように「それはどうも」と軽く受け流す皮肉にもなります。念を押されたオーブリーが、ブースを Dad と呼んで返しているのが印象的です。
まとめ|言い換えに表れる言葉の温度
今回は『BONES』シーズン11エピソード6から、H-E-double-hockey-sticks や Holy mother of pearl!、Gee, thanks. を手がかりに、強い言葉をやわらげる minced oath の文化と、heck・darn・gosh などの言い換えを紹介しました。
同じ気持ちでも、どの言葉を選ぶかで響きは大きく変わります。そんな言葉の温度に耳を傾けながら、『BONES』の会話を楽しんでいきましょう。
このエピソードの英語は、人を「知っている」度合いのコラムや、「いつものあなたでいい」と伝えるコラムでも扱っています。


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