海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
うっかり火災報知器を鳴らしてしまって、慌てた経験はありませんか。
今回はそんな「(装置を)作動させてしまう」場面で使える「set off」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン1第11話の後半、病気のシェルドンに見つからないよう、レナードが自宅に忍び込む潜入作戦のシーンから、一緒に見ていきましょう。
「set off」の意味とニュアンス
set off
意味:(装置・警報などを)作動させる、引き起こす(別義:出発する)
set off は、いくつもの意味を持つ便利な句動詞です。代表的なのは、アラーム・センサー・花火・爆発などを「作動させる、発動させる」という意味。とくに、意図せずうっかり作動させてしまう場面でよく登場します。
このシーンで使われているのも、この「作動させる」の意味です。ほかにも、旅などに「出発する」(We set off at dawn.=夜明けに出発した)、ある出来事が騒動などを「引き起こす」(set off a chain reaction=連鎖反応を引き起こす)、色や特徴を「引き立たせる」など、文脈によって表情を変えます。
共通しているのは、「何かのスイッチをカチッと入れて、一気に動き出させる」という起動の感覚です。この芯さえつかんでおけば、複数の意味も一本の線でつながって見えてきます。
【ここがポイント!】
- 核は「スイッチを入れて、一気に作動・発動させる」イメージ
- アラームや花火を「鳴らす・打ち上げる」場面で特によく使う
- 出発する・引き起こす・引き立たせるなど、複数の顔を持つ一言
『ビッグバン★セオリー』S01E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
病気のシェルドンに見つからずに眼鏡を取りに帰るため、レナードはハワード自作のセンサーを使って、自宅アパートにスパイ映画さながらに「潜入」します。センサーに反応しないか心配するレナードに、ハワードが作戦を指示する場面です。
Howard: This is a subsonic impact sensor. If Sheldon gets out of bed and starts to walk, this device will register it.
(これは超低周波の衝撃センサーだ。シェルドンがベッドを出て歩き始めたら、この装置が検知する)Leonard: Won’t my footsteps set it off?
(僕の足音でそれが作動しちゃわない?)Howard: No, you’ll be on your hands and knees.
(いや、お前は四つん這いになってるからな)The Big Bang Theory Season1 Episode11(The Pancake Batter Anomaly)
シーン解説と心理考察
たかが自分の家に眼鏡を取りに帰るだけの行動が、ハイテク機器を駆使した一大潜入ミッションに仕立て上げられているところに、このシーンの楽しさが表れています。set it off(センサーを作動させてしまう)という言葉が、その大げさな緊張感をぴたりと支えています。
心配性で几帳面なレナードが「足音でセンサーが作動しないか」と真剣に気を揉み、装置好きのハワードが四つん這い前提の作戦を当然のように説明する。この二人の噛み合いっぷりが、オタク三人組らしさとして見どころになっています。シェルドンという「脅威」を、まるで侵入してはいけない要塞のように扱う発想が、シリーズらしいユーモアとして響く場面です。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
set off は、仕掛けたものの引き金を引いて、何かが一気に発動する瞬間をイメージすると覚えやすくなります。set(セットする・仕掛ける)+ off(スイッチが入る合図)で、「カチッ」とスイッチが入って動き出す、という動きが言葉の芯にあります。
レナードは、四つん這いで忍び込みながら「足音でセンサーを set off してしまわないか」と、終始ビクビクしていました。あの潜入作戦のスリルを思い出すと、set off が「スイッチを入れて作動させる」表現だという感覚が、自然と身につきます。アラームを鳴らす、花火を打ち上げる、騒動を引き起こす。どれも「起動の引き金を引く」イメージでひとまとめにできます。
例文で覚える「set off」
set off は「作動させる」を中心に、いくつもの意味で使えます。3つの場面で、その広がりを見ていきましょう。
The smoke from the toast set off the fire alarm.
(トーストの煙で火災報知器が鳴ってしまった。)
最もよく使う「作動させる」の用法です。うっかり警報を鳴らしてしまう、という日常のハプニングにぴったりです。
His comment set off a heated debate online.
(彼の発言が、ネット上で激しい論争を引き起こした。)
こちらは「引き起こす」の意味です。ある出来事が、騒動や反応のきっかけになる場面で使われます。
A: What time should we leave?
B: Let’s set off early so we can avoid the traffic.
(A:何時に出発する?)
(B:渋滞を避けたいから、早めに出発しよう。)
set off には「出発する」という意味もあります。旅行や移動に出かける場面で使う、軽やかな言い回しです。
あわせて覚えたい関連表現
trigger
(〜を引き起こす、作動させる)
「引き金を引く」が語源の一語動詞で、反応や事象、装置を「発動させる」点で set off とよく似ています。set off よりやや硬く、記憶や感情を呼び起こす、といった比喩的な使い方でも頻繁に登場します。
go off
(鳴る、爆発する)
アラームや爆弾などが「(自ら)作動する」ことを表す自動詞です。set off が「(人が)作動させる」他動詞なのに対し、go off は装置が主語になります。この主語の違いがポイントです。
set out
(出発する、着手する)
set off の「出発する」の意味と紛らわしい表現です。set out は「出発する」に加えて「(目的を持って)取りかかる」という意味も持ち、set off より目的志向が強いニュアンスがあります。
Note|set off と go off、作動させる側とされる側
set off を覚えるとき、セットで押さえておきたいのが go off との関係です。どちらも「アラームが作動する」場面で使えますが、実は文の組み立てがまるで逆になります。
カギは、他動詞か自動詞かの違いです。set off は他動詞で、「(誰かが)〜を作動させる」という形をとります。たとえば He set off the alarm.(彼がアラームを作動させた)では、人が主語で、アラームは作動させられる対象です。一方 go off は自動詞で、「(装置が自ら)作動する・鳴る」という形になります。The alarm went off.(アラームが鳴った)では、アラーム自身が主語です。同じ「アラームが鳴る」という出来事でも、誰かが作動させたことに焦点を当てるなら set off、装置がひとりでに鳴ったことに焦点を当てるなら go off、と使い分けられるわけです。煙でうっかり鳴らしてしまった場面なら、原因の人や物を主語にして set off、ただ鳴った事実を言うなら go off が自然です。
レナードのセリフ Won’t my footsteps set it off? も、「僕の足音が(主語)、それを作動させる(他動詞)」という、set off の典型的な形になっています。
作動させる側か、作動する側か。視点の置き方で動詞が変わる、英語らしい一面です。
まとめ|レナードの潜入作戦から学ぶ「作動させる」の一言
set off は、アラームやセンサー、花火などを「作動させる、発動させる」ことを中心に、「出発する」「引き起こす」など複数の意味を持つ表現でした。共通するのは、「スイッチを入れて一気に動き出させる」という起動の感覚です。
火災報知器をうっかり鳴らしてしまったとき、ある出来事が騒ぎのきっかけになったとき、この一言があれば状況をすっきり言い表せます。go off との使い分けを意識すると、表現の精度がぐっと上がるはずです。
四つん這いでセンサーに怯えながら忍び込む、レナードの大真面目な潜入作戦を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。


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