海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
予想もしていなかった一言をかけられて、一瞬「えっ」と言葉に詰まってしまった経験はありませんか。
そんな「不意を突かれた驚き」を表す「taken aback」を、シットコム『ビッグバン★セオリー』シーズン3第10話の中盤、ペニーが物理を教えてほしいとシェルドンに頼み込む場面から、一緒に見ていきましょう。
「taken aback」の意味とニュアンス
taken aback
意味:面食らう、不意を突かれて驚く
taken aback は、予想していなかった出来事や発言に直面して、一瞬たじろぐ「受け身の驚き」を表します。自分から驚くというより、外側から驚きを差し向けられて反応が一瞬遅れる、そんな感覚です。
良い驚きにも悪い驚きにも使えますが、共通しているのは「思っていた流れが急に変わって、ぐっと押し戻される」ニュアンス。be taken aback、look taken aback のように、be 動詞や look とともに使われることがほとんどです。
驚きの原因を示すときは by を続けて、be taken aback by 〜 の形になります。冷静でいたかったのに、予想外の展開に一瞬うろたえる——その「うろたえ」までを含んでいるのが、単なる surprised との違いと言えます。
【ここがポイント!】
- taken aback の核は「不意に後ろへ押し戻される」感覚
- 良い驚きにも悪い驚きにも使える、表情の広い表現
- 原因を添えるときは by を続けるのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S03E10のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
レナードと物理の話ができるようになりたいペニーが、こっそりシェルドンに「物理を教えてほしい」と頼みます。乗り気でないシェルドンは、皮肉まじりに「別の方法で驚かせたらどうだ」と切り返します。ここで taken aback が飛び出します。
Penny: ‘Cause I want to surprise him.
(だってレナードを驚かせたいんだもん。)Sheldon: Can’t you surprise him in some other way? For example, I’m sure he’d be delightfully taken aback if you cleaned your apartment.
(別のやり方で驚かせられないのかい? 例えば、君が部屋を掃除したら、彼はうれしさのあまり面食らうと思うよ。)The Big Bang Theory Season3 Episode10(The Gorilla Experiment)
シーン解説と心理考察
ペニーの「驚かせたい」という素直な願いに対して、シェルドンは delightfully(うれしいことに)と taken aback を組み合わせ、「掃除のほうがよっぽど彼を驚かせられる」とやり返します。ペニーの部屋が散らかっていることへの当てこすりを、さらりと一言に忍ばせているわけです。
シェルドンは頼みごとを断りたい一方で、相手を軽く小馬鹿にする一言を必ず添えるキャラクター。ここでも「面倒だ」という本音を、上から目線のユーモアで包んでいます。delightfully taken aback という、本来うれしい驚きを表す組み合わせを皮肉に転用しているところに、彼らしい知的ないやみが見て取れます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
aback はもともと帆船の用語で、向かい風を受けて帆が後ろ(a-back)へ押し戻される状態を指したとされています。順調に進んでいた船が、突風で一瞬たじろぐ——その「不意に押し戻される感覚」が taken aback の核です。
シェルドンの皮肉を浴びて、ペニーの会話のペースが一瞬止まる場面と結びつけてみてください。予想外の一言にぐっと押し戻される、あの感覚ごと覚えると定着します。
例文で覚える「taken aback」
実際の会話でどう使うのか、3つの場面で見てみましょう。
I was a little taken aback by how blunt his answer was.
(彼の答えがあまりに率直で、少し面食らった。)
思っていたよりずっと直球な返事をされたときの一言です。by のあとに驚きの原因を続ける、最も基本的な形です。
The committee was taken aback by the scale of the proposal.
(委員会はその提案の規模に面食らった。)
会議やビジネスの場面でも使えます。組織や集団を主語にしても自然に響きます。
A: I quit my job yesterday.
B: Wait, what? I’m a little taken aback, honestly.
(A:昨日、仕事辞めたんだ。)
(B:え、ちょっと待って? 正直、ちょっと面食らってるよ。)
予想外の報告を受けて、反応が一瞬追いつかないときの会話例です。honestly を添えると、戸惑いの素直さが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
caught off guard
(不意を突かれる)
taken aback が「驚いてたじろぐ」心理に寄るのに対し、caught off guard は「警戒していない隙を突かれる」状況に焦点があります。
startled
(びくっとする)
startled は物音などへの反射的・瞬間的な驚きです。taken aback はもう少し認知的な「面食らい」で、頭が状況に追いつかない感覚を含みます。
thrown
(動揺させられる、調子を狂わされる)
予想外の事態でペースを乱されるという、よりくだけた口語表現です。taken aback とほぼ置き換えられますが、トーンはカジュアル寄りになります。
Note|帆船から生まれた「aback」
taken aback の aback は、現代英語ではほとんど単独で使われませんが、その由来は帆船の時代にさかのぼるとされています。
aback はもともと「後方へ」を意味し、帆船が向かい風を受けて帆が突然マストへ押し戻される状態を指したと言われます。順風を受けて進んでいた船が、風向きの急変で一瞬制御を失い、後ろへ押される——船乗りにとっては肝を冷やす瞬間です。この「順調だったのに不意に押し戻される」という船の動きが、やがて人の心の動きへと転用され、「予想外のことに直面してたじろぐ」という比喩的な意味が生まれたとされています。be taken aback という受け身の形が今も残っているのは、もともと「(風によって)帆が押し戻される」という受動的なイメージが核にあったからだと考えられます。
シェルドンがペニーに放った delightfully taken aback も、「うれしさが向こうからやってきて、思わず押し戻される」という構図でとらえると、この語源とぴったり重なります。
風に翻弄される帆を思い浮かべると、この表現はぐっと身近になります。
まとめ|ペニーの「驚かせたい」から学ぶこと
taken aback は、自分から驚くのではなく、予想外のものに「驚かされて」一瞬たじろぐ——そんな受け身の驚きを切り取る表現です。
surprised よりも一歩踏み込んで、「反応が追いつかずにうろたえる」感覚まで伝えられるので、会話に自然な揺らぎを添えられます。良い驚きにも悪い驚きにも使える懐の広さも魅力です。
予想外の一言に「えっ」となったあの瞬間を思い出しながら、taken aback を表現の引き出しに加えてみてください。


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