海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
何度傷ついても、また誰かに本気で恋をしてしまう。理屈では「もうやめておけば」と分かっていても、心が勝手に夢を見る——そんな恋愛気質の人が、あなたの周りにもいるかもしれません。
そんな「懲りないロマンチスト」を運ぶ「a hopeless romantic」、つまり救いようのないロマンチスト・根っからの夢想家という意味の表現を、『CHUCK/チャック』シーズン4第12話の序盤、冷酷な武器商人ヴォルコフが意外にも自らをそう称するシーンから、一緒に見ていきましょう。
「a hopeless romantic」の意味とニュアンス
a hopeless romantic
意味:救いようのないロマンチスト、根っからの夢想家、懲りずに恋に夢を見る人
a hopeless romantic は、恋愛や理想に対して、現実的・打算的になりきれず、いつまでも純粋に夢を見てしまう人を表す表現です。何度失敗しても懲りずに愛を信じ、ロマンスを追い求める——そんな気質を、半ば呆れ、半ば愛おしむように言い表します。
鍵になるのは hopeless(望みがない・救いようがない)という語です。一見ネガティブですが、ここでは「もう手の施しようがないほど(ロマンチストだ)」という、程度を強める働きをしています。つまり「救えないレベルの根っからのロマンチスト」というわけです。
非難というより、自嘲や愛情を込めて使われることが多い表現です。I’m a hopeless romantic. と自分について言えば、「私、どうしようもなくロマンチストなの」という、照れ混じりの自己紹介になります。
【ここがポイント!】
- 核は「現実的になりきれず、懲りずに恋や理想に夢を見る気質」
- hopeless は「救いようがない」=「もう手に負えないほど」と程度を強める働き
- 非難ではなく、自嘲・愛情を込めて使われることが多い
『CHUCK/チャック』S04E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
CIAを裏切ったと称するサラに、ヴォルコフは動機を問います。「愛する人との未来を買うため」というサラの答えを聞いて、冷酷な武器商人であるはずの彼が、思いがけず人間味のある反応を見せます。
Sarah: It may sound foolish, but I’m trying to buy a future with the man that I love.
(馬鹿げて聞こえるかもしれないけど、私は愛する人との未来を、手に入れようとしているの。)Volkoff: You know, I’m a bit of a hopeless romantic myself.
(実はね、私自身、ちょっとした救いようのないロマンチストなんだよ。)Chuck Season4 Episode12(Chuck Versus the Gobbler)
シーン解説と心理考察
冷酷非情な武器商人として君臨するヴォルコフが、a hopeless romantic と自らを称する——その意外性が、この場面を忘れがたいものにしています。サラの「愛のための裏切り」という筋書きに、彼が思いのほか共鳴してみせるのです。
この一言が効いているのは、ヴォルコフという人物の不気味な多面性を一瞬で照らし出すからです。人を平然と手にかける男が、同じ口で「私もロマンチストでね」と微笑む。その温度差が、彼を単なる悪役以上の、底の知れない存在に見せています。サラにとっては、この共鳴こそが付け入る隙——危険な相手の意外な弱点を突いた、緊張と打算のにじむやり取りになっています。
『CHUCK/チャック』流・覚え方のコツ
何度恋に破れても、また胸をときめかせて次の恋に飛び込んでいく——そんな「もう治療不可能(hopeless)なほどのロマンチスト」の姿を思い浮かべてみてください。お医者さんが匙を投げるくらい、根っから恋に夢を見る人。その「救いようのなさ」が、この表現の核です。
劇中では、冷酷な武器商人ヴォルコフが、意外にも「私もロマンチストでね」と自称していました。悪役の口から出た、あの不釣り合いな一言ごと覚えておくと、hopeless が「ダメな」ではなく「救えないほど根っからの」という強調だというニュアンスが、印象とともに頭に残ります。
例文で覚える「a hopeless romantic」
恋愛気質を表すこの表現を、3つの場面で見てみましょう。
He’s a hopeless romantic who still believes in love at first sight.
(彼は、いまだに一目惚れを信じている救いようのないロマンチストだ。)
人物を評する典型的な使い方です。「現実を見ずに恋に夢を見る」という、この表現の核がよく出ています。
I’m a hopeless romantic — I cry at every wedding.
(私、どうしようもないロマンチストで、結婚式のたびに泣いちゃうの。)
自分について照れ混じりに語った例です。I’m a hopeless romantic で、愛嬌のある自己紹介になります。
A: You bought flowers again? For no reason?
B: What can I say? I’m a hopeless romantic.
(A:また花を買ったの?理由もなく?)
(B:しょうがないだろ、根っからのロマンチストなんだから。)
自嘲気味に弁解する会話です。I’m a hopeless romantic で、呆れられても憎めない雰囲気が伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
a dreamer
(夢想家、理想を追う人)
a dreamer は恋愛に限らず、「現実離れした理想を抱く人」全般を指します。a hopeless romantic は特に「恋愛・ロマンス」への夢に焦点がある点で、対象がより絞られています。
wear one’s heart on one’s sleeve
(感情を包み隠さず表に出す)
この表現は「気持ちを隠さず見せる」率直さを指します。a hopeless romantic が「恋に夢を見る気質」そのものを言うのに対し、こちらは「感情を表に出す態度」に焦点がある点が異なります。
head over heels
(首ったけで、夢中になって)
head over heels は、特定の相手に「すっかり夢中になっている状態」を表します。a hopeless romantic が恒常的な「気質・性格」を指すのに対し、こちらは一時的な「恋に落ちた状態」を指す点が違います。
Note|hopeless と romantic、矛盾する二語が結ぶ「純愛気質」
a hopeless romantic は、よく見ると不思議な組み合わせの言葉です。hopeless(望みがない)と romantic(情熱的・空想的)という、一見そぐわない二語が、なぜ「純愛気質の人」を表すようになったのでしょうか。
romantic はもともと、中世の騎士道物語(romance)に由来し、「空想的・理想的・情熱的」な性質を表す語として、19世紀初めから「ロマンチストな人」を指して使われてきました。一方の hopeless は「望みがない・救いようがない」という否定的な語です。この二つが結びついた a hopeless romantic という形は、1920年代の短編集に登場したのが早い例の一つとされ、「情熱的(romantic)でありながら、現実には報われない(hopeless)恋」を生きる人物像を描くのに使われました。やがてこの言い回しは、文学や雑誌を通じて広まり、「懲りずに、無謀なほど恋に身を投じる人」を表す定型として定着していきました。
興味深いのは、ここでの hopeless が、人物を貶めるのではなく、むしろ愛情の深さを強めている点です。「もう救いようがないほど」という否定の言葉が、「それほどまでに純粋で一途だ」という肯定の響きへと転じている——英語にはこうした、否定語で愛しさを強める発想がしばしば見られます。劇中で冷酷なヴォルコフが、自らを a hopeless romantic と称したのも、「理屈を超えて愛に動かされる」自分の一面を、半ば誇らしげに認めるニュアンスを含んでいます。
矛盾する二語が結びついて、かえって深い愛情気質を描き出す——その成り立ちを知ると、a hopeless romantic という表現の味わいが、いっそう豊かに感じられます。
まとめ|ヴォルコフの意外な一面に学ぶ「ロマンチスト」の一言
a hopeless romantic は、恋愛や理想に対して現実的になりきれず、いつまでも純粋に夢を見てしまう人を表す表現です。hopeless(救いようがない)が程度を強め、「もう手に負えないほど根っからのロマンチスト」という意味を生み出しています。
この一言を知っておくと、懲りずに恋に夢を見る人を、呆れと愛おしさを込めて言い表せるようになります。自分について照れ混じりに使えば、愛嬌のある自己紹介にもなる、便利な表現です。
冷酷な武器商人が見せた意外な一面——「私もロマンチストでね」というヴォルコフのあの微笑とセットで、この一言を、あなたの英語の引き出しに加えてみてください。
このエピソードを見るには
(タップすると各配信サービスの視聴ページへ移動します)
※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


コメント