海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
昔された仕打ちがどうしても忘れられず、心のどこかにわだかまりを抱え続けてしまう——そんな感情に覚えはありませんか。
その「根に持つ」気持ちを表す「bear a grudge」を、『CHUCK/チャック』シーズン4第13話の終盤、宿敵が復讐に燃える主人公を余裕たっぷりに挑発する場面から、一緒に見ていきましょう。
「bear a grudge」の意味とニュアンス
bear a grudge
意味:恨みを抱く、根に持つ、遺恨を引きずる
grudge は「恨み・遺恨・わだかまり」を意味する名詞で、bear は「(重いものを)抱える・背負う」という動詞です。この二語が合わさると、「恨みという重荷を心に背負い続ける」というイメージになります。単なる一時的な怒りではなく、過去の仕打ちに対する感情を長く手放さずに持ち続けている状態を指すのが特徴です。bear a grudge のほか、hold a grudge という形も同じ意味で頻繁に使われます。「against + 人」を続けると「〜に対して恨みを抱く」と対象を明示でき、bear a grudge against him(彼に恨みを抱く)のように使います。相手を許せずにいる、過去にこだわり続けている、というやや後ろ向きな心理を描く表現で、しばしば「いつまでも根に持つのは大人げない」といった文脈で登場します。
【ここがポイント!】
- 核は「恨み(grudge)という重荷を背負い(bear)続ける」イメージ
- 一時の怒りではなく、長く手放さない根深い感情を指すのが特徴
- hold a grudge も同義、against を続けて恨む相手を示せるのがコツ
『CHUCK/チャック』S04E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
長年の因縁に決着をつけるべく、主人公チャックが宿敵ヴォルコフと対峙します。父を奪われた恨みを胸に迫るチャックに対し、余裕を崩さないヴォルコフは、その復讐心そのものを子どもじみていると挑発します。ここで、相手の「根に持つ」姿勢を突く一言が飛び出します。
ヴォルコフ: His death was ages ago. Isn’t it time you moved on? Bearing grudges. A bit childish, isn’t it?
(彼の死はずっと昔のことだ。そろそろ前に進む頃合いじゃないか?恨みを抱えるとはね。少々子どもじみているんじゃないか?)チャック: This is because you took my mother from him. You took his whole life.
(これは、あなたが彼から母を奪ったからだ。あなたは彼の人生そのものを奪った。)Chuck Season4 Episode13(Chuck Versus the Push Mix)
シーン解説と心理考察
ヴォルコフが bear a grudge を持ち出すのは、心理的な揺さぶりの一手です。復讐に燃えるチャックの正当な怒りを、あえて「childish(子どもじみている)」と結びつけることで、その感情を幼稚なものへと矮小化しようとしています。move on(前に進む)という言葉とセットで使われている点も見どころで、「いつまでも恨みを背負っていないで水に流せ」という、加害者側からの身勝手な促しになっています。bear a grudge が持つ「過去の感情を手放せずにいる」というニュアンスを、ヴォルコフは相手を挑発する武器として利用しているわけです。それに対しチャックが、恨みではなく「奪われた事実」を淡々と突き返すことで、単なる私怨ではないと示す構図が、緊迫感を高めていると言えます。
『CHUCK/チャック』流・覚え方のコツ
このフレーズは、背中に重たいリュックサックを背負い、その中に古い石を一つずつ詰め込んでいく姿をイメージすると覚えやすくなります。bear は「背負う」、grudge はその中の重たい石です。手放せば身軽になれるのに、過去の仕打ちという石を捨てられずに背負い続けている——そんな絵を思い浮かべると、bear a grudge が「恨みを引きずる・根に持つ」という意味であることが、背中にかかる重さの感覚とともに残ります。ヴォルコフが「その荷物、重くないか?」とチャックをからかう構図とも重なります。
例文で覚える「bear a grudge」
過去へのこだわりを表す、やや重めの表現です。3つの場面でニュアンスを確認しましょう。
She still bears a grudge against her former boss for firing her.
(彼女は自分を解雇した元上司を、いまだに恨んでいる。)
仕事上の遺恨を表す場面です。against + 人を続けて、恨みの向かう相手を明確にする典型的な使い方です。
He’s not the type to bear a grudge; he forgives and forgets quickly.
(彼は根に持つタイプじゃない。すぐ許して忘れてしまうんだ。)
人柄を説明する場面で、否定形で使われています。bear a grudge が「引きずる」性質を指すからこそ、その反対の「さっぱりした性格」を際立たせられます。
A: Are you still upset about what happened last year?
B: No, I don’t bear grudges. It’s all in the past now.
(A:去年のこと、まだ怒ってる?)
(B:ううん、根に持ったりしないよ。もう全部過去のことだから。)
わだかまりを確認し合う日常会話です。I don’t bear grudges と言うことで、「過去を引きずらない」という自分の姿勢を穏やかに伝えられます。
あわせて覚えたい関連表現
hold a grudge
(恨みを抱く、根に持つ)
bear a grudge とほぼ同義で、日常会話ではむしろ hold の方が使用頻度が高いほどです。bear がやや文語的で「重荷を背負う」響きを持つのに対し、hold は「握って離さない」イメージで、どちらも「手放せない恨み」を表します。
move on
(過去を乗り越えて前に進む)
bear a grudge とは正反対の方向を向く表現です。今回のシーンでヴォルコフが両者を並べて使ったように、「恨みを引きずる」のをやめて「前に進む」という対比で語られることが多く、セットで覚えると理解が深まります。
nurse a grudge
(恨みを抱き続ける、遺恨を温める)
nurse は「(病人を)介抱する」の意味で、恨みを大事に育てるように抱え続けるニュアンスが加わります。bear や hold より「意図的に恨みを温存している」響きが強い、一段深い表現です。
Note|grudge が「不平のつぶやき」から「恨み」になるまで
bear a grudge の中心にある grudge という言葉は、今でこそ「根深い恨み」を意味しますが、その出発点は意外にも、もっと軽い「つぶやき」でした。今回のフレーズの重みがどこから来たのか、言葉の来歴をたどってみます。
grudge の語源は、中英語の grutchen(または grucchen)という動詞にさかのぼるとされています。これは「不平を言う・ぶつぶつつぶやく・小言をこぼす」といった意味で、もとをたどれば古フランス語の grouchier(つぶやく、不満を漏らす)に由来すると言われます。興味深いことに、現代英語で「不機嫌な人」を指す grouch(グラウチ)も、同じ語根から枝分かれした言葉です。つまり grudge は、はじめは口先の小さな不満を表す言葉だったのが、時代とともに「心の奥にため込まれた根深い感情」へと重みを増していったと考えられています。ぶつぶつと漏らしていた不平が、外に出しきれずに内側へ沈殿し、やがて長く手放せない「恨み」へと熟していった——語の意味の変化そのものが、恨みという感情の性質を映しているようにも見えます。
この来歴を知ると、bear a grudge が単なる一時の怒りではなく、「長い時間をかけて心に降り積もった感情を背負う」ことを表す理由がよく分かります。ヴォルコフがチャックの grudge を「childish」と嘲ったのも、その感情の根深さを軽んじてみせる挑発だったわけです。
つぶやきが恨みに変わるまでの時間の長さが、この一語には畳み込まれています。
まとめ|宿敵の挑発に込められた一言
bear a grudge は、過去の仕打ちに対する感情を長く手放せずに「背負い続ける」状態を表す表現です。grudge が「不平のつぶやき」から「根深い恨み」へと重みを増してきた歴史を知れば、なぜこの言葉が一時の怒りとは違う重さを持つのかが見えてきます。
このフレーズを使えるようになると、「根に持つ」「遺恨を引きずる」といった、日本語では説明的になりがちな心理を、英語で的確に描けるようになります。hold a grudge や move on とセットで押さえておくと、感情のありようをより立体的に語れます。
背中の重荷を下ろすか背負い続けるか——そんなイメージとともに、あなたの表現の引き出しに加えてみてください。
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※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


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