海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰かの提案に「それには大賛成なんだけど、ただ一つだけ……」と、賛成の気持ちを示しつつ条件をつけたくなる場面はありませんか。
そんなときにぴったりの「be all for」を、『フレンズ』シーズン3第3話の中盤、恋人との寝方の悩みを女性陣に相談するチャンドラーが、本音をこぼすシーンから、一緒に見ていきましょう。
「be all for」の意味とニュアンス
be all for
意味:〜に大賛成である、〜を全面的に支持する
ある考えや提案に、もろ手を挙げて賛成することを表す表現です。all が「完全に・全面的に」という強調を、for が「〜に賛成して」という方向を担っていて、二つが組み合わさることで、ただの agree よりずっと熱量の高い賛意になります。日本語の「賛成です」よりも「大賛成!」「もう大歓迎!」に近い、前のめりな肯定のニュアンスです。会話では、この表現のあとに but を続けて「賛成はするんだけど、ただ……」と条件や本音をやわらかく差し込む使い方もよく見られます。まず全面的に肯定してみせることで、続く注文が角の立たない言い方になる、という会話上の働きも持っています。
【ここがポイント!】
- all + for で「全面的に賛成」という、熱量の高い肯定を表す一言
- but と組み合わせて「賛成だけど、ただ…」と本音を添える使い方が定番
- for の後ろには名詞も動名詞も置ける、使い勝手のいい表現
『フレンズ』S03E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
恋人ジャニスとの就寝時の悩みを、恋愛巧者のモニカとレイチェルに相談するチャンドラー。「一緒にくっついて寝るのは好きなんだけど、いざ眠るときには少し距離が欲しい」という微妙な本音を、相手を傷つけずにどう伝えればいいか探しています。相談を受けたレイチェルの返しとあわせて見ていきましょう。
Chandler: Okay, this is good. This is good. All right. Listen. I have one. Janice likes to cuddle. At night—which, you know, I’m all for, but when you want to go to sleep, you want some space.
(よし、いいぞ、いいぞ。よし、聞いてくれ、俺にもひとつある。ジャニスは寄り添って寝るのが好きなんだ。夜にな——それはまあ、俺も大賛成なんだけど、いざ寝ようってときには、ちょっと距離が欲しくなる。)Rachel: Oh, honey, I’m sorry. We can’t help you there because we’re cuddly sleepers.
(あら、ごめんね。そこは手伝えないわ。私たち、寄り添って寝る派なの。)Friends Season3 Episode3 (The One with the Jam)
シーン解説と心理考察
チャンドラーは「くっついて寝るのは好き」という点をまず I’m all for と全面的に肯定してから、but で「でも眠るときは距離が欲しい」という本音へつないでいます。いきなり不満を口にするのではなく、先に賛成の気持ちを見せておくことで、続く注文がわがままに聞こえないようにしている——気配り屋のチャンドラーらしい話し方がにじむ場面です。相手を「太っている」となじる形になりはしないかと気に病む姿にも、彼の繊細さが表れています。賛成と本音がせめぎ合う心の揺れが、この短いセリフの中に自然と重なっています。恋愛の悩みをコミカルに描きつつ、言いにくいことを伝えるときの人間らしい遠回りが伝わってくるやり取りです。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
賛成か反対かで、人がすっと二手に分かれて立つ場面を思い浮かべてみてください。all for は、迷いなく賛成側の陣地へまるごと体を運ぶイメージです。片足だけ賛成、ではなく、全身で賛成の側に立っている——その体の向きが all の強調にあたります。チャンドラーが「くっついて寝るのは大賛成(all for)」とまず全面的に肯定してから、but で本音をそっと足す。まず賛成の側に立ってみせる、その一歩の動きとセットで覚えると、この表現の前のめりな肯定感が記憶に残ります。
例文で覚える「be all for」
提案への熱い賛意を示す表現で、for の後ろには名詞も動名詞も置けます。会話では but と組み合わせて本音を添える形も覚えておくと便利です。
I’m all for trying something new.
(新しいことに挑戦するのは大賛成だよ。)
友人の思いつきに前向きに乗る場面です。for の後ろに動名詞を置く、基本の形になります。
We’re all for reducing plastic waste, but the budget is tight.
(プラスチックごみの削減には全面的に賛成ですが、予算が厳しくて。)
会議で理念に賛同しつつ現実的な制約を示す場面です。劇中と同じ、but につなぐ譲歩の型が使われています。
A: How about we start the meeting an hour earlier?
B: Honestly, I’m all for it. Let’s do it.
(A:会議を1時間早めるのはどう?)
(B:正直、大賛成だよ。そうしよう。)
提案を即決で後押しする、職場でのやり取りです。for it だけでも「それに賛成」と完結できます。
あわせて覚えたい関連表現
be in favor of
(〜に賛成である)
より中立的でややかたい表現で、会議や投票の場面に合います。be all for のほうが熱量が高く口語的で、「大賛成」の勢いがある点が違います。
be up for
(〜する気がある、乗り気だ)
「参加する気がある」という自分の意欲を表します。be all for は「その考えや案を支持する」という賛意で、対象が提案や方針であることが多い点で使い分けられます。
support
(支持する)
動詞一語で幅広く、かたい場面にも使えます。be all for は口語的で熱っぽい賛意なので、日常会話でこそ生きる表現です。
Note|”I’m all for it, but…” という譲歩の話法
チャンドラーのセリフをもう一度見ると、I’m all for のあとに but が続いていることに気づきます。実はこの並び方には、英語の会話ならではの知恵が隠れています。
英語圏の会話では、反対意見や条件を口にする前に、まず相手の案へ全面的な賛意を示す「クッション話法」がよく好まれます。I’m all for it, but… はその代表例です。いきなり「でも」と切り出すと、相手には自分の提案が否定されたように響いてしまう。そこで先に「その考えには大賛成なんだ」と伝えておくことで、続く but 以下の条件や注文が、攻撃ではなく前向きな調整として受け取られやすくなります。日本語で「いいと思うんですけど、一点だけ……」とワンクッション置くのと、発想はよく似ています。チャンドラーが「くっついて寝るのは大賛成、でも……」と切り出したのも、恋人への気遣いから生まれた、まさにこの話法でした。
be all for を覚えるときは、単体の「大賛成」だけでなく、この but とセットの使い方まで押さえておくと、実際の会話でぐっと使いやすくなります。
言いにくいことほど、まず賛成から入る——そんな会話の呼吸が、この一言には宿っています。
まとめ|「大賛成」をやわらかく伝える一言
be all for は、ある考えや提案に全面的に賛成する気持ちを、熱量たっぷりに伝える表現です。単なる「賛成」よりも前のめりで、口語的な温かさがあります。さらに but と組み合わせれば、賛意を示しながら本音や条件をやわらかく差し込むこともできる、会話の潤滑油のような一言でもあります。何かに強く賛同したいとき、あるいは反対意見をなるべく角を立てずに伝えたいとき、この表現があると気持ちの機微まで乗せられます。日々の会話で賛成の気持ちを伝える引き出しに、加えてみてくださいね。


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