海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
「これだけは絶対にやり遂げる」と、腹をくくって前に進もうとする瞬間、ありますよね。
そんなときにぴったりの「whatever it takes」を、『フレンズ』シーズン5第5話、ロスがレイチェルに重い決断を打ち明けるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「whatever it takes」の意味とニュアンス
whatever it takes
意味:何としてでも、どんな手を使ってでも
whatever it takes は、目的のためなら手段を選ばず、あらゆる犠牲や努力を払う覚悟を表す表現です。直訳すると「それが必要とするものが何であれ」。ここでの takes は「(時間や労力を)必要とする」という意味の take で、It takes time.(時間がかかる)などと同じ使い方です。「達成のために必要なものは、それが何であっても全部引き受ける」という強い意志が込められています。
目標への固い決意を示すとき、「絶対にやり遂げる」と宣言するときに使われます。do whatever it takes to 〜(〜するためなら何でもする)の形が特に頻出です。スポーツ、ビジネス、日常会話まで場面を選ばず登場する、覚悟を語るための定番句と言えます。
【ここがポイント!】
- 「必要なものが何であれ全部引き受ける」という強い決意を表す一言
- do whatever it takes to 〜 の形で「〜のためなら何でもする」と使える
- 手段を尽くす覚悟が核。日常でもビジネスでも幅広く使えるのが特徴
『フレンズ』S05E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
エミリーとの結婚生活を守ろうと悩むロスは、以前レイチェルがくれた助言を思い出します。ところがその助言に従うことが、レイチェル自身を遠ざける結果につながってしまう。ロスは苦しい胸の内を切り出します。
Ross: You know how you told me I should do whatever it takes to fix my marriage?
(前に、結婚生活を立て直すためなら何でもしろって言ってくれたよね?)Rachel: Yeah. I told you to give Emily whatever she wants.
(ええ。エミリーが望むものは何でもあげなさいって言ったわ)Ross: And while that was good advice you should know that what she wants is for me not to see you anymore.
(それはいいアドバイスだったんだけど……彼女が望んでるのは、俺がもう君に会わないことなんだ)Friends Season5 Episode5(The One with the Kips)
シーン解説と心理考察
ロスは、レイチェル自身がくれた「結婚を守るためなら whatever it takes(何でもしろ)」という助言を、そのまま彼女に突き返す形になっています。ところがエミリーが望んでいるのは「ロスがレイチェルに会わないこと」。善意の助言が、皮肉にも二人を引き離す結論へたどり着いてしまう構図が、この一言に重なっています。
whatever it takes という強い決意の言葉が、ここでは喜びではなく痛みを運んでいるのが見どころです。「どんな犠牲を払ってでも」という覚悟の重さと、それがまっすぐレイチェルに向かってしまう切なさが、同時ににじむ場面と言えます。コメディの流れの中に置かれた、静かにシリアスな山場です。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
ゴールまでの道に、いくつもの障害物が並んでいる様子を思い浮かべてみてください。whatever(何であれ)+ it takes(それが必要とするもの)で、「道に何が立ちはだかっても、かかるものは全部払う」という覚悟のイメージがつかめます。
ロスが震える声で「whatever it takes to fix my marriage」と、レイチェル自身の言葉を静かに突きつける、あの重い場面と結びつけると、この表現が持つ決意の強さごと記憶に残ります。言葉の重さと場面の重さが、そのまま一つに重なっています。
例文で覚える「whatever it takes」
固い決意を一言で示せるのが、この表現の強みです。場面を変えた3つの例文で、使い方の幅を見ていきましょう。
I’ll do whatever it takes to pass this exam.
(この試験に受かるためなら、何としてでもやるよ)
大事な試験を前に、自分の覚悟を口にする場面です。do whatever it takes to 〜 は、この表現の最も基本的な形になります。
We’ll do whatever it takes to win this contract.
(この契約を勝ち取るためなら、どんな手も尽くします)
商談やプレゼンの場で、本気度を相手に示すときに使えます。ビジネスの決意表明として、そのまま通用する言い回しです。
A: This surgery won’t be easy. Are you sure?
B: She’s my daughter. I’ll do whatever it takes.
(A:この手術は簡単ではありません。本当によろしいですか?)
(B:娘のためです。何としてでもやります)
困難を前に、揺るがない覚悟を返す会話です。単独で I’ll do whatever it takes. と言い切ると、それだけで強い決意が伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
by any means necessary
(必要なあらゆる手段を使って)
意味はほぼ同じですが、こちらはより硬く、時に強引・過激な手段も辞さない響きがあります。whatever it takes のほうが、日常でも使える柔らかさを持っています。
no matter what
(何があっても)
「どんな状況でも気持ちが変わらない」という、継続の決意を表します。whatever it takes が「手段を尽くす」という行動面に重心があるのに対し、こちらは心の揺るがなさを指します。
go to any lengths
(どんなことでもする、労を惜しまない)
目的のために極端なことまでする、という含みがあります。whatever it takes と近い表現ですが、go to any lengths は「そこまでやるか」という、やや否定的な文脈でも使われます。
Note|「決意」を語るときの万能フレーズ
whatever it takes は、英語圏で「覚悟」を語るときに、驚くほど幅広い場面に顔を出す表現です。どんな温度感で使われているのか、少し見ていきましょう。
このフレーズは、スポーツ選手が優勝への意気込みを語るインタビュー、企業が目標達成を宣言する場、映画やドラマで主人公が困難に立ち向かう決めゼリフまで、あらゆる場面に登場します。実際、スポーツドキュメンタリーやビジネス書のタイトルにも繰り返し使われてきました。共通しているのは、「結果を出すためなら、必要なことは何でも引き受ける」という前のめりの姿勢です。日本語の「石にかじりついてでも」に近い熱量を持ちながら、堅苦しくならず、日常会話でもすっと使える。この幅の広さが、whatever it takes が長く愛される理由と言えます。ただし裏を返せば「手段を選ばない」という含みもあるため、文脈によっては危うさをまとうこともあります。強い決意の言葉であるぶん、どんな場面で誰が言うかによって、響きが変わってくるわけです。
ロスがこの言葉を口にするとき、その「手段を選ばない覚悟」が、皮肉にも自分の望まない結末へ向かっていました。同じ一言でも、置かれた状況によって重さがまるで変わる。それがこの表現の奥行きです。
覚悟を語る言葉が、これほど日常に溶け込んでいる。そう思うと、味わい深い一語です。
まとめ|ロスの切ない決意から学ぶ「何としてでも」
whatever it takes は、目的のためなら手段を選ばず、必要なものは何でも引き受けるという強い決意を表す表現です。「何としてでも」「どんな手を使ってでも」というまっすぐな覚悟が込められています。
この表現を持っておくと、目標への本気度を示したいときや、揺るがない意志を相手に伝えたいときに、一言で力強く言い切れます。do whatever it takes to 〜 の形をそのまま覚えておくと、決意を語る場面で自然に使えるようになります。
強い決意の言葉が、喜びではなく切なさを運んでいたロスの場面は、このフレーズの重みを静かに教えてくれます。表現の幅を広げてみてください。


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