海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
同じことを何度も言わされたり、あきれる状況に出くわしたりして、思わず「もう、まったく!」と声が出そうになること、ありますよね。
そんな気持ちにぴったりの「for crying out loud」を、『フレンズ』シーズン5第8話の場面、高校時代にモニカを傷つけたことをチャンドラーが謝りながら、当時の自分の愚かさを釈明するシーンから、一緒に見ていきましょう。
「for crying out loud」の意味とニュアンス
for crying out loud
意味:いいかげんにして、まったくもう
for crying out loud は、いらだち・驚き・強調を込めた感嘆表現です。文字どおりに訳せば「大声で泣くために」となりますが、その本来の意味はほとんど残っていません。今では、あきれた気持ちや、じれったさ、強い訴えを込めて「まったく」「勘弁してよ」と言いたいときの決まり文句として使われます。
似た言い回しの “for God’s sake” の、角を取った言い換えとしても使われる表現です。文頭にも文末にも置け、置く位置によって感情の乗せ方を調整できます。文頭なら「もう、まったく〜」と苛立ちを先に出し、文末なら「〜だぞ、まったく」と念押しの呆れを添える。強い感情を、少しユーモラスに包んで出せるのが持ち味です。
【ここがポイント!】
- 「大声で泣くために」が原義ながら、意味はほぼ消えた感嘆の決まり文句
- あきれ・じれったさ・強調を「まったく」「勘弁して」と込める一言
- for God’s sake の角を取った、無難な言い換えとして使えるのがコツ
『フレンズ』S05E08のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
現在の場面に戻り、チャンドラーは高校時代にモニカを傷つけたことを謝ります。当時いかに自分が未熟だったかを強調しようと、突拍子もない過去のエピソードを持ち出します。
Chandler: I called you fat? I don’t even remember that.
(僕が君をデブって呼んだ?そんなの覚えてもいないよ)Monica: Well, I do.
(私は覚えてる)Chandler: I’m so sorry. I really am. But, come on, I was an idiot back then. I rushed the stage at a Wham concert, for crying out loud.
(本当にごめん。ほんとに。でもさ、あの頃の僕はバカだったんだ。ワムのコンサートでステージに突撃したくらいだぞ、まったく)Phoebe: Oh, I can’t believe you called her fat.
(信じられない、彼女をデブって呼んだなんて)Ross: I can’t believe you let George Michael slap you.
(信じられない、ジョージ・マイケルに平手打ちされたなんて)Friends Season5 Episode8(The One with All the Thanksgivings)
シーン解説と心理考察
謝罪の場面でありながら、チャンドラーが自虐ユーモアで空気を和らげようとしているのが見どころです。「ステージに突撃したくらいバカだった」という極端な例に for crying out loud を添えることで、自分自身への呆れと強調を、少しおどけた調子でにじませています。
深刻に頭を下げ続けるのではなく、過去のイタさをネタにして笑いに変えていく。ここにチャンドラーらしい照れ隠しの語り口が表れています。続くフィービーとロスの突っ込みが、その弁明をさらにコメディへと押し進めています。謝罪という重くなりがちな場面を、仲間の茶々入れで軽やかにほどいていく空気が、この掛け合いに響きます。反省の気持ちは本物でも、それを湿っぽくせずに差し出すのが、このグループの距離感だと言えます。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
チャンドラーが「あの頃はバカだったんだ、まったく」と、過去の自分に呆れながら弁明する場面と結びつけると覚えやすくなります。for crying out loud は、「思わず声を上げたくなるほどの呆れ・じれったさ」を吐き出す表現です。
両手を軽く広げて天を仰ぎ、「もう、まったく!」とため息をつくジェスチャーを思い浮かべてみてください。あの、感情が思わず口をついて出る瞬間の身振りと、この決まり文句をセットにすると、「強い呆れを込めて言う」という機能が体の感覚ごと定着してきます。
例文で覚える「for crying out loud」
いらだちやあきれを込めたいときに活躍します。3つの例文で、感情の乗せ方を見ていきましょう。
For crying out loud, just answer the question!
(いいかげんに、質問に答えてよ!)
じれったさをぶつける場面です。文頭に置くことで、「もう、まったく」という苛立ちを先頭に押し出す使い方になります。
It’s midnight, for crying out loud. Go to bed.
(もう真夜中だぞ、まったく。寝なさい)
あきれて注意する場面です。文末に置くと、「〜だぞ、まったく」と念押しの呆れを添えるニュアンスになります。
A: I’ve explained this three times already.
B: For crying out loud, then let me try it myself.
(A:もう3回も説明したんだけど。)
(B:もう勘弁してよ、じゃあ自分でやらせて。)
繰り返しにうんざりした場面です。会話の切り返しに入れることで、じれったさが自然ににじみ出ます。
あわせて覚えたい関連表現
for God’s sake
(お願いだから、まったくもう)
意味はほぼ同じですが、God を含むぶん響きが強めです。今回のフレーズは、その角を取ったより無難な言い換えとして使えます。
come on
(ちょっと、勘弁してよ)
軽い抗議や励ましに使える万能フレーズです。for crying out loud のほうが、より強いいらだちやあきれを込める点で違いがあります。
give me a break
(勘弁してよ)
「もう許して、信じられない」と自分の負担を訴える表現です。状況全体への呆れを叫ぶ for crying out loud とは、感情の向き先が少し異なります。
Note|for crying out loud / for God’s sake / give me a break の使い分け
呆れやいらだちを表す英語は、一つではありません。for crying out loud とよく似た場面で聞こえてくる表現に、for God’s sake と give me a break があります。三つを分けるのは、感情の「向き先」です。
for crying out loud は、状況全体への呆れを空に向かって吐き出す表現です。特定の誰かを責めるというより、「もう、まったく」と事態そのものにため息をつく感覚が中心にあります。for God’s sake は、意味はほぼ同じでも、相手への懇願や要求が混ざりやすくなります。「頼むから〜してくれ」と、目の前の人に行動を求める圧が一段強いのが特徴です。また God という語を含むぶん、宗教的な感覚から避けたい場面もあり、そうしたときに角の取れた for crying out loud が選ばれます。そして give me a break は、自分に向かってくる負担への抗議です。「もう勘弁して」と、自分が受けている圧を押し返す方向で使われ、「信じられない、冗談でしょ」という不信の表明にも広がります。
チャンドラーの場面に戻ると、彼は誰かを責めているのでも、負担を訴えているのでもありません。過去の自分のイタさという「事態」に呆れている。だからこそ、状況全体へのため息である for crying out loud がぴったりはまっているわけです。
同じ呆れでも、どこへ向かうかで言葉が変わります。
まとめ|チャンドラーの弁明から学ぶ「まったく」の一言
for crying out loud は、いらだち・あきれ・強調を込めて「まったく」「いいかげんにして」と言いたいときの感嘆表現です。for God’s sake の婉曲的な言い換えとして生まれ、意味より音の響きで感情を運びます。
この一言を覚えておくと、じれったい場面やあきれた瞬間に、少しユーモラスな呆れを添えて気持ちを表せるようになります。強い感情を、角を立てずに差し出せるのが便利なところです。
天を仰ぐあのため息のイメージとともに、表現の引き出しに加えてみてくださいね。


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