海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『BONES』シーズン10エピソード13の終盤には、短い言い合いの中で「そんなことは言っていない」「でも、そう匂わせている」という応酬が出てくる場面があります。今回はこのやり取りを手がかりに、口に出して言う say と、はっきり言わずにほのめかす insinuate の違いを読み解きます。
日本語でも「言ってない」「いや、言ったも同然」という言い合いはよくあります。英語でこの2つを言い分けられると、誤解を解きたい場面でも、相手の含みを指摘したい場面でも、言葉を選びやすくなります。
「I didn’t say that.」は、口に出した言葉を基準にする
終盤の会話では、ある考えを口にしたことに対して、人類学者のようだという感想が向けられ、そこから次のようなやり取りが続きます。
— You sound like an anthropologist, Booth.
(まるで人類学者のような口ぶりだね。)— Yeah, look, that’s not gonna make me hang out in the lab, if that’s what you’re thinking, okay?
(言っておくけど、だからといって研究所に入りびたるようにはならないよ。そう考えているならね。)— I didn’t say that.
(そんなことは言っていない。)— That’s kind of what you’re insinuating.
(でも、それとなくそう言っているようなもの。)BONES Season10 Episode13 (The Baker in the Bits)
I didn’t say that. の say は、実際に口に出した言葉を指します。「研究所に入りびたれ」とは一言も口にしていない、という事実を根拠にした言い方です。
それに対して出てくるのが insinuate です。辞書では「はっきり言わずに、それとなく相手に悟らせる」という意味で、多くの場合、相手にとってうれしくない内容や、ずるさを感じさせる含みについて使われるとされています。ここでは kind of(どちらかというと、半分は)が前に付いていて、「言葉にはしていないけれど、言いたいことは伝わっている」という意味の一文になっています。
途中の if that’s what you’re thinking は「もしそう考えているなら」と、相手の頭の中を先回りして打ち消す言い方です。まだ口にされていないことを先に打ち消す言葉があるからこそ、その次の I didn’t say that. が自然につながって聞こえる流れが見どころです。
insinuate・imply・hint の使い分け
「ほのめかす」にあたる英語はいくつかあり、響きの強さが少しずつ違うとされています。
| 表現 | 意味 | ニュアンス |
|---|---|---|
| say | 口に出して言う | 実際の言葉そのもの |
| imply | 暗に示す | 中立的。よい意味にも悪い意味にも |
| hint | それとなく伝える | 軽い。わざと手がかりを出す感じ |
| insinuate | 匂わせる | 否定的・とげのある含みが多い |
たとえば Are you implying that I’m lazy?(私が怠けていると言いたいの?)は、相手の言葉の裏にある意味を確かめる言い方です。これを What are you insinuating?(何を匂わせているの?)にすると、「嫌みを言われた」という受け止め方がより強く出ます。
一方 She hinted that she wanted a dog.(彼女は犬が欲しいとそれとなく伝えた)のように、hint は悪い含みのない場面でもよく使われます。言われた側が身構えるかどうかで、選ぶ語が変わってくるのが分かります。
誤解を解きたいときは That’s not what I said.(そうは言っていない)や I didn’t mean it that way.(そういうつもりで言ったんじゃない)が使いやすい形です。say が「言った言葉」、mean が「言うつもりだった中身」を指すので、2つを組み合わせると I said it, but I didn’t mean it that way.(言いはしたけれど、そういう意味ではない)のように整理して伝えられます。
insinuate は相手を責める響きになりやすいため、普段の会話では imply のほうが角が立ちにくいとされています。
まとめ|言ったのか、匂わせたのかを言い分ける
今回は『BONES』シーズン10エピソード13の終盤の会話から、口に出した言葉を指す say と、言葉にせず含みで伝える insinuate の違いを読み解きました。imply や hint とあわせて覚えると、「言ってない」「言ったも同然」の言い合いも英語で追えるようになります。
短い応酬の中に、言葉と含みの境目が表れている場面です。次回も『BONES』と一緒に英語を学んでいきましょう。
同じ回の探し物の場面やベーカリーを扱ったコラムでも、この回の英語を別の角度から読み解いています。


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