海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン9第17話では、ヘイリーが交際している天体物理学の教授が、家族に会いにダンフィー家へやって来ます。その昼食を前に、フィルとクレアのあいだで「どちらが賢いか」という張り合いが始まります。
答えにくい質問をかわす返し、相手の知ったかぶりを突く皮肉、客の前で身内を取りなす一言まで、夫婦の言い合いから使える英語を拾っていきます。
「smart enough not to」で答えをかわす
昼食の前の会話で、フィルは夫婦の賢さについてこう話し始めます。
Phil: Lots of happy couples aren’t the exact same level of smart.
(幸せな夫婦だって、賢さがぴったり同じってわけじゃないさ。)Claire: That’s true.
(そうね。)Claire: We work.
(私たちはうまくいってるし。)Phil: Yeah.
(だよね。)Phil: Wait.
(待って。)Phil: When you say, “We work,” do you think you’re smarter than me or I’m smarter than you?
(「うまくいってる」って言うとき、君は自分のほうが俺より賢いと思ってる? それとも俺のほうが賢いと思ってる?)Claire: I think I’m smart enough not to have this conversation.
(この話をしないでおくくらいには、賢いつもりよ。)Modern Family Season9 Episode17 (Royal Visit)
We work. の work は「働く」ではなく「うまくいく、成り立つ」という意味です。This plan works.(この計画はうまくいく)と同じ使い方で、主語を夫婦にすると「私たちは相性がいい」という言い方になります。
フィルが引っかかったのは、その一言の裏側です。do you think A or B? は、二つのうちどちらかを選ばせる聞き方です。答えにくい二択を突きつけられたクレアは、smart enough not to ~(〜しないでおくくらいには賢い)で返します。enough to ~ を not で打ち消した形で、「その話には乗らない」と線を引く言い方です。
ただし、この返しは「自分は賢い」とも聞こえます。フィルはすぐに You do!(やっぱりそう思ってるんだ!)と返し、クレアが自分のほうが賢いと思っていると受け取ります。さらに Okay, hotshot. と言って、自分の特許の数まで持ち出します。hotshot は「やり手、自信家」で、得意げな相手を皮肉って呼ぶときにも使われます。答えをかわす返しが、かえって張り合いに火をつけてしまう流れになっています。
「what was your second choice?」で知ったかぶりを突く
家族が集まった場で、教授のアーヴィンは、自分がキャリアの土台にしてきた理論が否定されたと打ち明けます。アレックスがその理論の名前を挙げたあと、フィルも話に加わります。
Phil: Me, too.
(俺もだよ。)Phil: That was the density theory I thought really worked.
(あれは、本当に成り立つと思ってた密度理論だったのに。)Claire: Really, Phil, what was your second choice?
(へえ、フィル。じゃあ、二番目に推してた理論は何だったの?)Modern Family Season9 Episode17 (Royal Visit)
フィルの言葉は、その理論をよく知っているかのような口ぶりです。ここでも work が「理論が成り立つ」の意味で出てきます。クレアの what was your second choice? は「第二候補は何だったの?」という問いです。本当に詳しいなら答えられるはずの質問を返すことで、話を合わせているだけだと指摘する働きをしています。冒頭の Really に名前の呼びかけを続ける形は、驚いたふりをする皮肉の前置きになっています。
フィルがクレアにアーヴィンの冗談の意味を解説し始めた場面でも、応酬が続きます。
Claire: I got it.
(分かってるわよ。)Claire: You know, Phil used to think it was “duck” tape.
(ねえ、フィルなんて昔は「ダック」テープだと思ってたのよ。)Claire: Like, duck.
(アヒルのダックね。)Phil: Claire didn’t understand the ending of “La La Land”.
(クレアは『ラ・ラ・ランド』の結末が分からなかったんだよ。)Modern Family Season9 Episode17 (Royal Visit)
I got it. は「分かってる」で、相手の説明を途中で止めるときの短い返しです。クレアは続けて、配管などに使う粘着テープの duct を、アヒルの duck だと思い込んでいたフィルの昔の勘違いを持ち出します。used to think ~ は「昔は〜だと思っていた」で、今はそう思っていないことを含みます。言われたフィルも、クレアの話を持ち出して言い返しています。
「They’re not normally like this.」で身内を取りなす
客の前で言い合いを続ける両親について、ヘイリーはこう話します。
Haley: Sorry.
(ごめんね。)Haley: They’re not normally like this.
(いつもはこんなじゃないの。)Haley: Clearly, they’re going through something they can’t even drop for one important lunch.
(どう見ても、大事なランチの一回のあいだすらやめられない何かを抱えてるみたい。)Luke: They’re arguing over who’s smarter, and there’s only one way to settle it.
(どっちが賢いかでもめてるんだ。決着をつける方法はひとつしかない。)Haley: Another time, in the presence of a marriage counselor?
(それは今度、夫婦カウンセラーの立ち会いのもとでやったら?)Luke: Nope.
(だめ。)Luke: Brain Battle.
(ブレイン・バトルだ。)Modern Family Season9 Episode17 (Royal Visit)
They’re not normally like this. は「普段はこうじゃない」で、身内の振る舞いを人に詫びるときに使える形です。go through something は「何か大変なことを抱えている、経験している」、drop は「(こだわりや話題を)やめる」という意味で、Just drop it.(もうその話はやめて)のようにも使われます。ルークの settle it は「決着をつける」です。ヘイリーの返しは「今はやめて」という含みのある皮肉ですが、ルークは引かず、家族はクイズで勝負することになります。
昼食のあと、クレアはこう振り返ります。
Claire: I mean, today our whole goal was to impress you.
(つまりね、今日の目標はとにかく、いいところを見せることだったの。)Claire: We made fools of ourselves.
(なのに、私たちったらばかなまねをしちゃって。)Modern Family Season9 Episode17 (Royal Visit)
make fools of ourselves は「恥をさらす、ばかなまねをする」で、自分たちの失敗を認めるときに使われます。張り合いの始まりから、取りなし、反省までの流れが一つの昼食の中で描かれている点が分かります。
まとめ|答えにくい問いをどう返すか
smart enough not to ~ で答えをかわす返し、what was your second choice? の皮肉、They’re not normally like this. の取りなし、make fools of ourselves の反省。張り合いの場面から、返しの英語が見えてきます。
答えにくい質問を受けたときの言い回しを、『モダンファミリー』の家族の会話とあわせて覚えておくと、英語でのやり取りに幅が出てきます。
ジェイが息子の友だちの父親に張り合う話や、キャメロンが野球の春のキャンプを見に行く話は、同じ回のほかのコラムで取り上げています。


コメント