海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン9第17話では、ジェイが、幼い息子ジョーの友だちであるヘンリーの父親に張り合います。ジョーがその父親に感心する一方で、ジェイの口からはやっかみ混じりの言葉が続きます。
「cool(かっこいい)」をめぐる張り合いの言葉から、最後に父親としてジョーに伝える一言まで、親子の会話の流れに沿って、子どもと話すときにも使える英語をたどっていきます。
「prove how cool he is」と「stay with it」
ジェイは、ヘンリーの父親についてこう話します。
Jay: Who cares? He was a stunt double in a couple of “Bourne” movies.
(だからどうした。『ボーン』の映画の何本かでスタントマンをやってたってだけだ。)Jay: From the first time Joe went over there, that guy’s been trying to prove how cool he is.
(ジョーが初めてあの家に行ったときから、あいつは自分がどれだけかっこいいか見せつけようとしてるんだ。)Modern Family Season9 Episode17 (Royal Visit)
Who cares? は「誰が気にする?」が直訳で、「だから何だ」と相手の話を軽く扱う言い方です。言い方しだいでは突き放した響きになるため、使う相手と場面を選ぶ表現と言えます。stunt double は、危険な場面で俳優の代わりを務めるスタントマンを指します。
prove how cool he is は、prove(証明する)のあとに how + 形容詞 + 主語 + 動詞を続けた形で、「自分がどれほどかっこいいかを示そうとする」という意味です。prove how smart you are(自分の賢さを見せつける)のように、形容詞を入れ替えて使えます。
ジェイはグロリアとの会話で、自分の父親の思い出も口にします。
Jay: Growing up, I thought my dad was the coolest.
(ガキのころ、俺は親父が一番かっこいいと思ってた。)Jay: And that made me feel good about myself.
(それで、自分にも自信が持てたんだ。)Jay: I mean, I try to stay with it.
(だから俺だって、時代に遅れないようにはしてる。)Gloria: Exactly! Look at you, you even have a smart watch.
(そのとおり! ほら、スマートウォッチまでしてるじゃない。)Modern Family Season9 Episode17 (Royal Visit)
Growing up, は「子どものころ」「育つ過程で」を表す文頭の決まった形です。feel good about oneself は「自分に自信が持てる、自分を肯定できる」という意味になります。stay with it は文脈によって意味が変わる表現で、ここでは「流れについていく、時代に取り残されない」という意味で使われています。父親がかっこよく見えた子ども時代の記憶が、今の自分の張り合いにつながっていることが伝わってきます。
「I wouldn’t count on ~」で負け惜しみを言う
ヘンリーの父親は、子どもたちの誕生日パーティーも開いていました。別の場面で、ジョーがその父親の話をすると、ジェイはこう返します。
Joe: Henry’s dad climbed the wall with one hand! It was awesome!
(ヘンリーのパパ、片手で壁を登ったんだよ! すごかった!)Jay: Yeah, well, his career rides on Matt Damon not doing any artsy, think-y movies, so I wouldn’t count on Henry going to your school much longer.
(ああそうかい。あいつの仕事は、マット・デイモンが芸術っぽい、頭を使う映画に出ないかどうかにかかってるんだ。だから、ヘンリーがいつまでもお前の学校にいるとは思わないほうがいいぞ。)Modern Family Season9 Episode17 (Royal Visit)
ジョーの awesome は「すごい、最高」で、子どもが感動を伝えるときによく出てくる語です。それに対するジェイの返事には、負け惜しみの言い回しが三つ重なっています。
一つ目の Yeah, well, は、相手の話をいったん受けてから反論に移る出だしです。「まあね、でも」というニュアンスで、相手の話をそのまま認めたくないときに口をつきます。二つ目の ride on ~ は「〜次第である、〜にかかっている」という意味で、Everything rides on this meeting.(すべてはこの会議にかかっている)のように使われます。
三つ目の I wouldn’t count on ~ は「〜は当てにしないほうがいい」です。count on は「頼りにする、当てにする」で、I wouldn’t を付けると「私なら当てにしない」と、相手に忠告する形になります。I wouldn’t count on it.(それは期待しないほうがいいよ)は、相手の期待をやんわり打ち消す返しとして単独でも使えます。
ジェイは、ヘンリーの父親を直接けなすのではなく、その仕事の先行きの話にすり替えています。相手をすんなり認めない返事が、遠回しな言い方になっています。
「There are more important things than being cool.」で大事なことを伝える
ちょっとした騒ぎのあと、ジョーは両親にこう言い出します。
Joe: I can’t wait to tell everyone how cool you guys are!
(パパとママがどんなにかっこいいか、早くみんなに話したい!)Jay: We’re not cool, Joe.
(かっこよくなんかないぞ、ジョー。)Jay: That’s not what people do when a policeman pulls them over.
(警官に車を止められたら、普通はあんなことはしないんだ。)Jay: In fact, there’s nothing cool about us.
(それどころか、俺たちにかっこいいところなんてひとつもない。)Gloria: Well, I don’t think we should be lumped into
(あら、私たちを一緒くたにするのは——)Jay: Joe, there are more important things than being cool.
(ジョー、かっこいいことより大事なことがあるんだ。)Modern Family Season9 Episode17 (Royal Visit)
ジョーの I can’t wait to ~ は「早く〜したい、〜するのが待ちきれない」です。それまで張り合っていたジェイが、ここでは We’re not cool. と自分から否定します。there’s nothing cool about ~ は「〜にはかっこいいところがまったくない」で、nothing + 形容詞 + about の形は There’s nothing special about it.(特別なところは何もない)のようにも使えます。グロリアの be lumped into ~ は「〜と一緒くたにされる」で、言葉は途中で途切れます。
There are more important things than ~. は「〜より大事なことがある」と、価値の優先順位を伝える言い方です。ジョーはすぐに続きを尋ねます。
Joe: Uh, like what?
(えっと、たとえば?)Jay: Look, the point is, Joe, we love you too much to let you think dumb moves like this are okay.
(いいか、ジョー、要するにだな、俺たちはお前が大好きだから、こんなばかなことをしていいなんて思わせるわけにはいかないんだ。)Joe: So, what do we do now?
(じゃあ、これからどうするの?)Jay: We’re gonna do the right thing.
(正しいことをするんだ。)Modern Family Season9 Episode17 (Royal Visit)
the point is は「要するに、大事なのは」と、話の核心を切り出すときの前置きです。too much to ~ は「あまりに〜なので…できない」の too … to 構文で、「大好きだからこそ、そう思わせるわけにはいかない」という気持ちを一文で表しています。do the right thing は「正しいことをする」で、迷ったときの判断を示す決まった言い回しです。かっこよさを張り合っていたジェイが、最後は父親として伝えるべきことを言葉にしているのが分かります。
まとめ|かっこよさより大事なこと
prove how cool he is、I wouldn’t count on ~、We’re not cool.、そして There are more important things than being cool.。張り合いから子どもへの言葉までが、cool の一語でつながっています。
親子の会話に出てくるこうした言い回しは、『モダンファミリー』の家族を観ながら拾っていくと、場面ごとの温度とともに覚えやすくなります。
フィルとクレアの賢さ比べや、キャメロンが野球の春のキャンプを見に行く話は、同じ回のほかのコラムで扱っています。


コメント