海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
進めてきた計画を、土壇場で全部白紙に戻すかどうか。そんな決断を迫られる場面があります。
今回の「call the whole thing off」は、(計画や約束などを)全部取りやめる、白紙に戻すという意味の表現です。『CHUCK』シーズン1第13話の後半、モーガンがチャックの指輪をめぐって勘違いし、「まだ引き返せる」と止めようとする場面に登場します。どんなふうに使われているのか、一緒に見ていきましょう。
「call the whole thing off」の意味とニュアンス
call the whole thing off
意味:(計画や約束などを)全部取りやめる、白紙に戻す
call the whole thing off は、進行中の計画や約束、イベントなどを「すべて中止する」「白紙に戻す」という意味の表現です。中心にあるのは call off という句動詞で、「(予定されていたことを)中止する、取りやめる」を表します。
ここで注目したいのが語順です。call off は目的語を間に挟むことができる「分離型」の句動詞で、the whole thing(その件すべて)を call と off の間に置いて call the whole thing off となっています。call off the whole thing という語順も可能ですが、目的語が代名詞的なまとまり(the whole thing など)の場合は、間に挟む形が好まれます。
予定の取りやめ全般に使える便利な表現で、結婚式・契約・イベントなど幅広い場面で登場します。
【ここがポイント!】
- 核は「進めてきたことを、まるごと中止して白紙に戻す」イメージ
- 中心は call off(中止する)という句動詞
- 目的語を call と off の間に挟める「分離型」の語順がポイント
『CHUCK』S01E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
チャックが預かっていた婚約指輪を、親友のモーガンがサラへのプロポーズ用だと勘違いしてしまう場面です。チャックの様子を心配したモーガンが、「まだ引き返す時間はある」と婚約話を止めようとします。そのすれ違いのおかしさの中で call the whole thing off が使われています。
Morgan: Do nothing. You haven’t given Sarah the ring yet.
(何もするな。まだサラに指輪を渡してないんだろ。)Morgan: Dude, there’s plenty of time to call this whole thing off.
(なあ、この話を全部白紙に戻す時間はたっぷりあるって。)Chuck Season1 Episode13(Chuck Versus the Marlin)
シーン解説と心理考察
このセリフの面白さは、モーガンが盛大に状況を取り違えている点にあります。指輪は本当はデヴォンがエリーに贈るためのもので、サラとは何の関係もありません。それを知らないモーガンが、親友を案じて真剣に「やめておけ」と説得する。その熱意と勘違いのギャップが、call the whole thing off という重い決断の言葉に可笑しみを添えています。
モーガンの口調は終始くだけていて、Dude(なあ)という呼びかけにも親友らしい距離の近さがにじみます。彼にとっては本気の忠告でも、事情を知る観客には噛み合わなさが筒抜けで、その温度差がコメディとして響きます。call the whole thing off は本来、人生を左右するような重大な中止に使われる表現ですが、ここでは勘違いの上に成り立っているぶん、軽やかに聞こえるのが見どころです。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
電話を「ガチャンと切る」動作を思い浮かべてみてください。call off の off には、進んでいたものをスイッチのように「切る・止める」感覚があります。そこに the whole thing(まるごと全部)が挟まることで、「進行中の計画を丸ごとオフにする」イメージが完成します。
モーガンが、勘違いとはいえ「まだ全部オフにできる」とチャックを止めようとする場面を思い出すと、call … off の語順が記憶に残りやすくなります。間に挟んだ the whole thing を「オフにする対象」として捉えると、分離型の句動詞の仕組みが体で覚えられます。
例文で覚える「call the whole thing off」
予定や計画の中止を伝える場面で活躍します。3つの例文で使い方の幅を見ていきましょう。
The couple called the whole thing off just a week before the wedding.
(そのカップルは、結婚式のわずか一週間前に、すべてを白紙に戻した。)
婚約破棄の場面です。直前での全面中止という、重い決断を表す典型的な使い方です。
If the weather gets any worse, we’ll have to call the whole thing off.
(これ以上天気が悪くなったら、全部中止にするしかないな。)
イベント運営の場面です。状況次第で計画全体を取りやめる、という判断に使えます。
A: Are we still going ahead with the launch event?
B: Actually, management decided to call the whole thing off.
(A:例のローンチイベント、まだ予定通り進めるの?)
(B:それが、経営陣が全部取りやめることにしたんだ。)
職場での会話です。組織としての中止決定を共有する、ビジネスの場面でも自然に使えます。
あわせて覚えたい関連表現
cancel
(中止する、キャンセルする)
最も一般的で中立的な動詞です。call off が口語的で「進行中のものを止める」響きを持つのに対し、cancel は予約や契約など事務的な取り消しにも広く使えます。
back out (of something)
(〜から手を引く、約束を反故にする)
合意していたことから自分だけ離脱する表現です。call the whole thing off が計画全体の中止を指すのに対し、back out は「当事者の一方が抜ける」点に焦点があります。
pull the plug (on something)
(〜を打ち切る、中止する)
プラグを抜く、という比喩表現です。call the whole thing off と同じく進行中のものを止める意味ですが、こちらは「継続していたものを断ち切る」決定的なニュアンスが強くなります。
Note|call off と cancel はどう違うのか
call the whole thing off と言うとき、なぜ cancel ではなく call off が選ばれるのでしょうか。この二つの違いを知ると、表現の使い分けが見えてきます。
cancel は、予約・契約・購読など、もともと「取り消す」ことが想定されている事柄に広く使える、事務的で中立的な動詞です。一方 call off は、いったん動き出している計画やイベント、捜索、ストライキなどを「途中で止める」ニュアンスを持ちます。たとえば「捜索を打ち切る」は call off the search が自然で、cancel the search とはあまり言いません。進行中のものに「ストップをかける」感覚が call off の核にあるからです。さらに call off は口語的で、会話の中で生き生きと使われる傾向があります。
語順の面でも call off は学びどころです。分離型の句動詞なので、目的語が名詞なら call off the event / call the event off のどちらも可能ですが、目的語が it のような代名詞のときは call it off の語順しか取れません。call it off とは言えても call off it とは言えない、という規則は、句動詞を使いこなすうえで重要なポイントです。
ドラマのモーガンが call this whole thing off と言うとき、この「進行中のものを丸ごと止める」感覚と分離型の語順が、自然に一文に収まっているのです。
まとめ|モーガンの勘違いから学ぶ「白紙に戻す」一言
call the whole thing off は、進めてきた計画や約束をまるごと中止して白紙に戻す、という決断を表すフレーズです。call off が分離型の句動詞で、目的語を間に挟める点も、覚えておきたいポイントでした。
このフレーズを身につけておくと、イベントや計画の中止を伝える場面で、自然で口語的な英語が使えるようになります。海外ドラマで誰かが土壇場の決断を口にするシーンも、より聞き取りやすくなるはずです。
勘違いのまま親友を本気で止めようとするモーガンの一言の後ろに、すれ違いコメディならではの温かいおかしみが、ふっと顔をのぞかせる場面でした。
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