海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
出発時刻ぎりぎりで電車に飛び乗って、「危なかった、間に合った」と胸をなでおろした経験はありませんか。
そんな瀬戸際の感覚にぴったりの「cut it close」を、『チャック』シーズン4第24話の終盤、タイムリミットが迫る中で、間に合うかどうかの瀬戸際を仲間たちが見守るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「cut it close」の意味とニュアンス
cut it close
意味:時間や余裕がぎりぎりで、危ういところだ
布や紙を、端すれすれのところで切る——そうすると余白がほとんど残りません。その「余白ゼロ」のイメージから、時間や余裕がほとんどない、ぎりぎりの状態を表すようになりました。とりわけ、締め切りや出発・到着の時間について「余裕なく間に合う(あるいは間に合わない)」場面でよく使われます。close は「近い」の意味で、締め切りや限界に近づきすぎている、という感覚がこもっています。過去形で「危なかった」と振り返ったり、進行形の be cutting it close で「今まさに危うい」と言ったりと、時制で場面を細かく描き分けられるのも特徴です。
【ここがポイント!】
- 核は「端すれすれで切って余白がほとんど残らない」というイメージ
- 締め切りや時間の余裕がない、瀬戸際の状態を表す表現
- close(近い)=限界に近づきすぎている、と押さえるのがコツ
『チャック』S04E24のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
タイムリミットが刻一刻と迫る中、仲間たちはある人物の帰還が間に合うかどうかを、固唾をのんで見守っています。「ぎりぎりだ」と焦りをこぼす者、状況の厳しさを告げる者、それでも信じて楽観を崩さない者——張り詰めた空気の中で、このフレーズが登場します。
Ellie: My brother is cutting it close.
(兄さん、ぎりぎりだわ。)Morgan: No, he’ll have a plan. Chuck will come up with something.
(いや、あいつには策があるさ。チャックなら何か思いつく。)Chuck Season4 Episode24(Chuck Versus the Cliffhanger)
シーン解説と心理考察
残された時間がわずかとなる中、間に合うかどうかの瀬戸際を見守る仲間たちの緊張が、この短いやりとりににじむ場面です。エリーの「兄さん、ぎりぎりだわ」という一言には、身内としての焦りと、祈るような気持ちが重なっています。それに対してモーガンが「あいつには策がある」と返すことで、緊迫の中にも揺るがない信頼が表れています。時計を気にして不安をこぼすエリーと、根拠なく彼を信じ切るモーガンの対比が、チームの結束と張り詰めた空気を同時に描き出しています。cut it close という「余白のなさ」を表す表現が、まさに時間との勝負を強いられたこの場面の切迫感をやわらかく見せています。
『チャック』流・覚え方のコツ
紙を線ぎりぎりのところで切ると、余白がほとんど残りません。その「もう少しずれたら失敗していた」という薄氷を踏むような感覚が、時間や余裕がぎりぎりの状態にそのまま重なります。ハサミの刃が線すれすれを進むイメージを思い浮かべてみてください。劇中でも、タイムリミットが迫る中、エリーが「兄さん、ぎりぎりだわ」と時計と扉を交互に気にします。端すれすれで切る=余裕がない、と結びつけ、close は「(締め切りに)近すぎる」と押さえると、意味が手の感覚として残ります。
例文で覚える「cut it close」
「余裕なくぎりぎりだった」という瀬戸際の感覚を、時制を変えていろいろな場面で使えるフレーズです。三つの例文で見ていきましょう。
We caught the train, but we really cut it close.
(電車には間に合ったけど、本当にぎりぎりだった。)
間一髪で間に合った場面を振り返る、もっとも定番の使い方です。過去形で「危なかった」という安堵をにじませられます。
Submitting the report five minutes before the deadline is cutting it close.
(締め切り5分前の提出なんて、ぎりぎりすぎるよ。)
余裕のない仕事ぶりを指摘する場面です。be cutting it close の進行形で「今まさに危うい」という感覚を出せます。
A: Don’t worry, I’ll be there right at nine.
B: That’s cutting it close—try to leave a little earlier, okay?
(A:大丈夫、9時ちょうどには着くから。)
(B:ぎりぎりすぎるよ。もう少し早めに出てね。)
相手に余裕を持たせたい場面です。That’s cutting it close と指摘して、やんわり早めの行動を促せます。
あわせて覚えたい関連表現
a close call
(危機一髪、間一髪)
名詞句で「危なかった出来事」そのものを指します。cut it close が「余裕なく事を進める」動作を表すのに対し、こちらは結果としての「危ない場面」を名指しします。
down to the wire
(最後の最後まで、土壇場まで)
結果が最終盤まで決まらない緊迫に焦点があります。時間の余裕のなさというより、「決着がぎりぎりまでもつれる」ニュアンスです。
in the nick of time
(間一髪で、すんでのところで)
「ぎりぎり間に合った」という結果を強調する言い方です。cut it close が「余裕がない」状態そのものを指すのに対し、こちらは無事に滑り込んだ安堵を伝えます。
Note|「端すれすれで切る」から生まれた cut it close
cut it close の cut(切る)は、なぜ「ぎりぎり」の意味を持つのでしょうか。その手がかりは、この表現の身体的な成り立ちにあります。
もともとは、布や紙、木材などを、縁のすれすれのところで切る動作を指していたとされています。仕立てや工作の場面を想像するとわかりやすいのですが、素材を端ぎりぎりで裁つと、余白(margin)がほとんど残りません。少しでも刃がずれれば、必要な部分まで切り落としてしまう——そんな余裕のない切り方が、「余白=ゆとりがほとんどない」という感覚を生みました。ここから、対象が「時間」に移り、締め切りや出発時刻すれすれで物事を進める、という比喩へと広がったと考えられます。英語には margin(余白/余裕)という語が「ゆとり」の意味でも使われるように、「端の余り」と「余裕」を重ねて捉える発想が根づいており、cut it close はその発想を動作の形で映した表現だと言えます。
面白いのは、この表現の it が特定の何かを指さず、「その場の状況・タイミング」を漠然と受けている点です。英語ではこうした漠然とした it が、cut it close(ぎりぎりでやる)や call it a day(切り上げる)など、日常のこなれた言い回しに数多く登場します。
こう見ると、cut it close の一語一語に、素材を裁つ手つきと、時間に追われる感覚の両方が畳み込まれているのがわかります。
余白すれすれの一切りに、ぎりぎりの緊張が宿っているのですね。
まとめ|「余白ゼロ」で言い表す、ぎりぎりの感覚
cut it close は、時間や余裕がほとんどない瀬戸際の状態を、「端すれすれで切って余白を残さない」というイメージで表す表現です。
過去形で「危なかった」と振り返ったり、進行形で「今まさに危うい」と言ったりと、時制を変えて場面を細かく描けます。締め切りや到着時刻をめぐる、あの薄氷を踏むような感覚を、ひとことでくっきり伝えられる表現だと言えます。
間に合うかどうかの瀬戸際を言い当てたい場面で、その緊張感を添える言葉として、会話のレパートリーに加えてみてください。
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※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


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